Amazon広告 スポンサープロダクト広告の支出はCOVID-19の影響下で前年同期比67%増:Merkleレポートより

Amazon広告 スポンサープロダクト広告の支出はCOVID-19の影響下で前年同期比67%増:Merkleレポートより

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Merkleのデジタルマーケティングレポートとは

米マーケティングエージェンシーの Merkle は2020年4月28日(米国時間)、2020年第1四半期(1-3月:以下「Q1」)版のデジタルマーケティングレポートを発表しました。
本レポートは毎四半期にデジタルマーケティング(特に運用型広告分野)についての各種指標を定点観測したレポートで、近年はAmazon広告も調査対象に入っています。
今回は本レポートからAmazon広告に関するグラフの一部をピックアップして、Amazon広告の現状について考えてみます。

参考リンク:

 

※文中の資料は Merkle の承諾を得て引用しています。 We have permission to quote the following charts from Merkle.

 

スポンサープロダクト広告とスポンサーブランド広告の広告支出は加速

スポンサープロダクト広告への支出は2020年Q1に前年同期比 +67%増加、2019年Q4の+63%からさらに上昇しました。
対してクリック単価(CPC)は10%低下しています。これは元々多くの広告主がROI向上のために支出を抑制していたところにCOVID-19によるさらなる抑制、Amazon利用ユーザー数の増加が影響したと考えられます。ROIは2019年Q4の調査で前年同期比26%上昇、2020年Q1は前年比横ばいのまま安定しています。
CPC低下にも関わらず広告支出が増加しているのは、クリック数が前年同期比87%増加と大きく伸びたためです。


Image Source: Merkle’s Digital Marketing Report for Q1 2020

 

スポンサーブランド広告への支出は2020年Q1に前年同期比 +118%と、スポンサープロダクト広告以上に大きく増加しました。
CPCが2019年Q3まで前年比マイナスが続いていたのは、ROI向上目的での最適化と広告在庫が大幅に追加された影響を受けています。その後2019年Q4、2020年Q1と広告支出もCPCも伸びていったのは、プライムデーやサイバーマンデーといったセール、商品ターゲティングの開始や クリエイティブ形式の変更 (2019年末よりテストを開始、CTRの向上が確認されたため2020年1月より新形式に切り替え)などが影響していそうです。


Image Source: Merkle’s Digital Marketing Report for Q1 2020

 

米Amazonが2020年4月30日(米国時間)に発表した 2020年Q1の決算 でも、広告事業を含む「その他」項目は前年同期比 +44%で39億1000万ドルの売上と好調な実績が出ています。
そんな中、3月下旬からは日当たり広告支出が1月の半分程度まで減少しました。COVID-19のパンデミックです。


Image Source: Merkle’s Digital Marketing Report for Q1 2020

 

COVID-19の流行を受けてAmazonの利用が急増、倉庫作業・配送に大きな負荷がかかり、Amazonは3月から医薬品や家庭用品など「必需品」の在庫と配送を優先しています。
フルフィルメントサービスを利用している出品者、Amazonに製品を卸しているベンダーがこの影響を受け、そもそも在庫不足や商品生産量の低下・停止などもあり広告支出の減少につながりました。
なお、米Amazonでは需要急増に対応するため17万人を超える大規模な追加雇用を行っており、状況は徐々に改善していくと見込まれています。

参考リンク:

 

広告支出のうち、スポンサープロダクト広告のシェアが80%を占める

Amazon スポンサー広告のうち、スポンサープロダクト広告のシェアは80%、スポンサーブランド広告は18%、スポンサーディスプレイ広告が2%でした。構成比は前期とほぼ変わらず、スポンサープロダクト広告の強さが際立ちます。


Image Source: Merkle’s Digital Marketing Report for Q1 2020

 

スポンサーディスプレイ広告はベータ版かつ今まではベンダーにしか利用資格がなかったため、シェアが極端に低いのも仕方のないことかもしれません。しかし2019年Q3の5%強から2019年Q4には3%、2020年Q1に2%とどんどんシェアが低下していることが気になります。
もちろんMerkleの観測範囲内なので業種の傾向もあるでしょうが、そのほかのプロダクトの伸びを考えると相対的にスポンサーディスプレイ広告は取り残されている状態と考えられます。利用資格の狭さや管理効率の低さ(ポートフォリオやレポート機能に未対応、APIはBeta状態)が足枷になっている一面もありそうです。
2020年4月からはセラーにも開放が始まり(米国のみ)、Q2以降シェアが回復するのか注目したいと思います。
なお、筆者が日本でテストしている限りはCPCが安くコンバージョン率も安定しており、前身である「商品ディスプレイ広告」に比べてもROIの改善が見られます。Amazon外に配信ができる「Views」ターゲティングを持つ強みもありますし、いずれ日本でもセラーへの開放やターゲティングフルローンチされる際は、管理性の向上にも期待したいですね。

参考リンク:

 

検索結果上部が売上の大半を生み出す

スポンサープロダクト広告・スポンサーブランド広告ともに、売上のほとんどはTop of search(検索結果ページの上部)で発生していました。
表示回数は商品詳細ページやその他で非常に多いものの、クリック数で大きく劣っていることからCTRの改善が必要そうです。

 

 

スポンサーブランド広告を中心に広告枠の増加は随時続いていますが、それは以下の図で示したところのQuantityが増えている状態です。RPMの向上のためにはQuality、すなわちAd CTRの改善ももちろん検討されているでしょうから、今後は広告枠の増加だけでなくCTRに大きく影響するようなテストも続くはずです。(実際、スポンサーブランド広告のフォーマット変更によってCTRの向上が確認されています)

 

スポンサープロダクト広告の平均コンバージョン率はGoogle ショッピング広告の約5倍

あくまでMerkleの観測範囲ですが、2020年Q1のスポンサープロダクト広告の平均コンバージョン率は、Google ショッピング広告の約5倍という驚異的なデータが出ています。2019年Q4では約4倍だったため、さらに差が広がったことになります。
スポンサーブランド広告のコンバージョン率はスポンサープロダクト広告に比べれば劣るものの、それでもGoogle ショッピング広告よりも高かったようで(グラフを見る限り、3倍以上の差がついている様子)、Amazon スポンサー広告の強力さが際立ちます。

Googleは商品検索の起点でAmazonは検討後に訪れるサイトだ、と考えられる方も多いかもしれませんが、2019年6月にCivicScienceによって行われた調査によれば、米国の13歳以上のインターネットユーザーがオンラインで商品を購入する際、半数弱が「まずAmazonを訪れる」と回答しています。
さらにプライム会員の場合は8割が最初にAmazonで検索すると回答しており、商品と出会う場所・購入場所としてAmazonがオンラインショッピングに欠かせないプラットフォームであることは言うまでもないでしょう。

 

 

広告主としてのAmazonはGoogle テキスト広告、ショッピング広告への出稿をほぼ停止中

Amazonは広告主としての側面もあり、Google 広告に出稿していました。
しかし上述したとおりCOVID-19の影響でAmazonはリソースを必需品に集中させており、これに伴いGoogle 広告への出稿も3月にほぼ停止したようです。
以下はGoogle テキスト広告、ショッピング広告におけるAmazonのインプレッションシェア推移です。テキスト広告では2020年1月の最終週から、ショッピング広告は2020年3月中旬から大きくインプレッションシェアを落とし、3月最終週までに0%となっています。

※参考までに、同様の調査結果がTinuitiからも出ており、それによると3月11日が出稿停止日と見られます

 

2020年3月後半から旅行業を中心に広告支出を大きく落としたGoogle検索ですが、小売業については3月からクリック数・広告支出ともに伸びており、これはオンラインショッピング需要の高まりのほか、AmazonがGoogle 広告の出稿を停止した影響もあると見られています。
マーケットプレイスとして商品を売買する市場を提供しつつ、その内外でユーザーと商品の接点をつくるAmazon。その動向によってGoogle 広告の支出にまで影響するとは、改めて巨人の影響力の強さに驚嘆します。

 

今回はAmazon広告のレポートを中心に取り上げましたが、本レポートにはGoogle 広告、オーガニック検索、ディスプレイ&ソーシャル広告の調査結果も掲載されています。
フォームに必要事項を入力すれば無料でダウンロードできるので、興味がある方はぜひ全文をご覧ください!

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