Facebook 広告のテスト機能がアップデートされ、広告パフォーマンスの最適化だけでなく、ブランド認知度やブランド想起に対する広告の効果や、広告のインクリメンタルリフトなど複数タイプのテストを一箇所で実施・測定できるようになりました。機能名も「テストと分析」という名称に一新しています。
統合されたテスト機能。実装する前に
今回のアップデートによって、これまで分断されていた各種テスト機能が統合され、複雑だったインターフェースも合理化されたことで実装のハードルが下がったのではないかと思います。
活用が容易になったことで、テスト機能は広告がビジネスにもたらす効果を知るための強力な手段としてますます活躍することと思いますが、発表の中では実装にあたっての注意書きが添えられていましたのでこちらでも紹介したいと思います。
Before implementing any testing strategy, it’s important to evaluate how different social and environmental factors may influence the scalability of insights. Changes in consumer behavior will impact how people interact with advertising, so it’s important for advertisers to consider these influences and adjust their plans accordingly.
どのテスト戦略を実装する場合でも、さまざまな社会的・環境的要因がインサイトのスケーラビリティにどのような影響を与えるかを評価することが重要です。消費者行動の変化は、人々の広告との関わり方に影響を与えるため、広告主はこれらの影響を考慮し、それに応じて計画を調整することが重要です。
(太字は筆者強調)
どのマーケティング活動においても緻密な計画とそれを実行する力は成否を分ける一因ですが、外部要因による影響も十分に考慮し、柔軟に対応することが重要とコメントしています。
A/Bテストで広告キャンペーンを最適化
A/Bテストを作成すると、2つ以上の広告キャンペーンを比較し、設定したビジネスの目的に対するパフォーマンスが最も高い広告を確認可能です。
テストの作成にあたっては、2つ以上の既存のキャンペーンを使うことも、既存のキャンペーンを複製することも可能で、広告クリエイティブ(画像・動画・テキスト)、オーディエンス、などの変数を比較し、何が効果的かを判断しながらキャンペーンを最適化できます。
ホールドアウトテストで広告のインクリメンタルリフトを測定
ホールドアウトテストでは、コンバージョンリフトを測定できます。Facebook 広告を見る機会が与えられたユーザーのグループと、その機会が意図的に与えられなかったホールドアウト(コントロール)グループのユーザーを比較し、Facebook 広告がコンバージョンアクティビティに及ぼした増分効果を計算することで、コンバージョンリフト(インクリメンタルコンバージョン)を測定する仕組みです。
コンバージョンアクティビティには、購入や、その他の標準イベント、カスタムイベントなどが網羅されています。
「テストと分析」のホールドアウトテストでは、10%のホールドアウトグループとテストグループのパフォーマンスを換算して比較します。特定の Facebook 広告キャンペーン、または掲載している Facebook 広告のすべてに対して、コンバージョンリフトのホールドアウトテストを行うことができます。
ブランドアンケートでブランド認知度などを測定
ブランドアンケートでは、Facebook 広告を見たユーザーとホールドアウトグループに含まれるユーザーを対象にアンケートを実施して、ブランドの認知度、ブランドパーセプション、ブランド想起における Facebook 広告のインクリメンタル効果を計算・測定するブランドリフト調査が実施できます。
このテストは、広告がどのくらい顧客の関心を引いたのかを知りたい場合や、コンバージョンイベントを直接測定できない場合に便利です。
なお、「テストと分析」の機能はすべて追加費用無しで実装可能ですが、ブランドアンケートのみ一定量以上のサンプル数を必要とするためか最小予算が設けられており、日本に関しては$15,000がミニマムとして設定されています。
すでに日本においてもローンチされていますので、広告マネージャの [分析とレポート] セクション内の [テスト] を選択するとA/Bテスト、ホールドアウトテスト、ブランドアンケートの開始が可能です。
また、日本語版のヘルプページも提供されていましたので、実装の前にご一読いただければと思います。
アップデートによって Facebook の科学的に厳密な実験テクノロジーを用いてすばやくテストを設定、分析できるような環境が整いましたので、適切な戦略・戦術に投資しているかどうかを見定めやすくなったのではないかと思います。
なお、上述のとおり Facebook 上でテストを作成するのに料金は発生しませんが、テストのタイプと入札戦略によっては、[テストと分析] の使用によってテスト内の広告キャンペーンの全体的なインプレッション単価(CPM)に影響する可能性があります(コンバージョンリフトまたはブランドリフトの単価を測定するテストでホールドアウトが実行され、ターゲットに設定したオーディエンスへの広告の露出が意図的に停止されるため)。
実施の際には、発表内にあったコメントと併せて注意しつつ、明確なプランと柔軟な対応力を持って望みたいところですね。