Google 広告の2019年主要アップデートまとめ

Google広告の2019年主要アップデートまとめ

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目次

逆風の中、アップデートの多かった1年

GDPR(General Data Protection Regulation)の施行から1年が経過し、2020年1月にはCCPA(California Consumer Privacy Act)の施行が控え、 Apple の ITP(Intelligent Tracking Prevention)を筆頭にWebブラウザのプライバシー保護強化も続いた2019年は、Googleに限らずデジタル広告の様々なプレイヤーにとってある種逆風の吹いた年であったといえるのではないでしょうか。

このような状況下で、GoogleはGoogleプロパティならびに機械学習を活用したスマート自動入札関連のアップデートを頻繁に行った印象を受けます。加えて、コマースプラットフォームとして台頭するAmazonやInstagramを意識したショッピング関連のアップデートも数多くあり、2019年も例にもれずアップデートの多い年となりました。

そこで本記事では、2019年のGoogleの広告関連の主要アップデートを以下5カテゴリーに分類したうえでピックアップしました。Unyoo.jpで取り上げたアップデートはもちろんのこと、それ以外についても触れておりますので、2019年の復習ならびに2020年の予測も兼ねてぜひご一読ください。

検索

モバイルのYouTube検索結果に検索テキスト広告を表示

1月に米国で開催されたSMX Westにて、GoogleはモバイルのYouTube検索結果に検索テキスト広告を表示することを発表しました。2019年12月時点では、デスクトップのYouTube検索結果にも表示されるようになっており、検索パートナーのひとつとしての存在感は日に日に増していくのではないでしょうか。

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完全一致に加えて、フレーズ一致と絞り込み部分一致に関しても、登録されたキーワードと同じ意味を持つ検索語句にも広告が配信されるようになるアップデート

7月には、完全一致に加えて、フレーズ一致と絞り込み部分一致に関しても、登録されたキーワードと同じ意味を持つ検索語句にも広告が配信されるようになるアップデートが発表されました。まずは英語のみの適用となり、他言語については2020年にかけてロールアウト予定です。

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ギャラリー広告(ベータ版)が世界11か国語で利用可能に

8月には、Google Marketing Live 2019(以下GML 2019)で発表されたギャラリー広告(ベータ版)が世界 11 か国語で利用可能になりました。画像とテキストを併用した広告フォーマットで、画像はカルーセルの様にスワイプすることができ、検索結果の上部に表示されます。アセットは、4~8つの画像、最大70文字のイメージタグライン、3本の見出しを登録することになります。

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平均掲載順位の提供が終了

9月には、平均掲載順位の提供が終了しました。広告が自然検索結果の右側に表示されていた時代は、自然検索結果の下部には広告が表示されていなかったため、平均掲載順位をおおよその表示位置として把握できましたが、2016年2月より右側広告枠はなくなり、現在のような自然検索結果の上下に広告が表示されるように変更となったため、平均掲載順位をおおよその表示位置として扱うことはより難しくなりました。長く慣れ親しまれてきた指標だけに提供終了に対する反響は大きかったですが、自然な流れといえるでしょう。

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レスポンシブ検索広告がフルローンチ

10月には、長らくベータ版として提供されてきたレスポンシブ検索広告がフルローンチしました。最大15の広告見出しと4つの説明文を登録でき、広告のコンテンツと見込み顧客の検索語句との関連性が高まるように機械学習を活用して調整された広告(最大3つの広告見出しと2つの説明文)が表示されます。掲載結果列の提供や広告バリエーションの適用も開始となり、以前にもまして一定の透明性とコントロールを担保したうえで機械学習を最大活用できる仕様となりました。

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「アフィニティカテゴリ」ならびに「購買意向の強いオーディエンス向け季節限定イベントのセグメント」がオーディエンスとして設定可能

同じく10月には、「アフィニティカテゴリ」ならびに「購買意向の強いオーディエンス向け季節限定イベントのセグメント」がオーディエンスとして設定可能となりました。フォルクスワーゲンは、アフィニティカテゴリを使用することでコンバージョン率を250%向上させることに成功、トヨタは、購買意向の強いオーディエンス向け季節限定イベントのセグメント(購買意向の強いオーディエンス>季節的な買い物)の「ブラック フライデーに買い物」と「クリスマスの買い物」を使用することで、コンバージョン率が67%向上し、コンバージョン単価が34%抑制されたとのことです。

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組み合わせオーディエンスが利用可能に

11月には、組み合わせオーディエンスが利用可能になりました。以下画像の通り、「ユーザーの属性(詳しいユーザー属性)」、「ユーザーの興味や関心、習慣(アフィニティとカスタムアフィニティ)」、「ユーザーが積極的に調べている情報や立てている計画(購買意向強)」、「ユーザーがお客様のビジネスを利用した方法(リマーケティングと類似ユーザー)」を組み合わせてオーディエンスを定義できます。

なお、ユーザーのプライバシー保護の観点で、1,000 人以下となる組み合わせオーディエンスへの広告配信はできない仕様となっているので、組み合わせオーディエンスを作成する際は条件の過度な絞り込みには注意が必要です。2019年12月時点では、検索ならびに動画キャンペーンのみで利用可能となっています。

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「説明」(ベータ版)機能が提供開始

12月には、「説明」(ベータ版)機能が提供開始となりました。クリック数、費用、表示回数の変化要因を説明する機能で、個別単価設定もしくは拡張CPCを適用しており、かつ過去90日間における連続する同じ長さの期間を比較した際にのみ利用できます。また、比較した期間の中で掲載結果に大幅な変化がなかった場合は説明は表示されません。


Image Source:Google 広告ヘルプ

今後数カ月で機能を拡張できるよう取り組んでいるとのことですので、対象となる入札戦略や指標の拡大にも期待したいところです。週次や月次の掲載結果分析において非常に有用な機能となるでしょう。

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スマート自動入札

 

キャンペーン毎に最適化させるコンバージョンを選択できる機能が提供開始

6月には、キャンペーン毎に最適化させるコンバージョンを選択できる機能が提供開始となりました。2019年12月時点では、検索、ディスプレイ、動画キャンペーンで利用可能です。これにより、目標が異なるキャンペーンをスマート自動入札を活用して同一アカウント内で管理・運用することが容易になりました。また、「コンバージョンアクショングループ」を設定することで、最適化対象とするコンバージョンアクションを複数選択可能です。

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「コンバージョン値の最大化」の提供範囲がショッピングキャンペーンから全検索キャンペーンへと拡大

8月には、「コンバージョン値の最大化」の提供範囲がショッピングキャンペーンから全検索キャンペーンへと拡大されました。また、検索ならびにディスプレイキャンペーンにおいて、スマート自動入札の「季節性の調整」機能が提供開始されました。これらのアップデートもスマート自動入札の柔軟性を高めるもので、スマート自動入札の利用促進に大きく貢献するでしょう。

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検索とショッピングキャンペーンにおけるスマート自動入札の最適化対象として来店コンバージョンも選択可能に

9月には、検索とショッピングキャンペーンにおけるスマート自動入札の最適化対象として来店コンバージョンも選択可能になりました。来店数をKPIに含む場合は「目標コンバージョン単価」もしくは「コンバージョン数の最大化」、収益をKPIとする場合は「目標広告費用対効果(ROAS)」もしくは「コンバージョン値の最大化」を入札戦略として設定します。

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来店コンバージョンの活用方法と来店の価値の算出方法については、以下動画で分かりやすく説明されています。

上位の入札戦略のシグナルの一部をポートフォリオ入札戦略の入札戦略レポートで確認できるように

11月には、上位の入札戦略のシグナルの一部をポートフォリオ入札戦略の入札戦略レポートで確認できるようになりました。対象となる入札戦略は「目標コンバージョン単価」ならびに「コンバージョン数の最大化」で、以下画像の通り、入札に大きな影響を与えているキーワードや位置情報、端末の種類等を確認することが可能です。

Image Source:Google 広告ヘルプ

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YouTube

 

15秒スキップ不可のYouTube動画広告がオークション型で購入可能に

1月には、15秒スキップ不可のYouTube動画広告がオークション型で購入可能になりました。以前は、固定インプレッション単価(CPM)ベースでの購入で、かつ最低利用額が設定される予約型の標準インストリームのみで購入可能でしたが、本アップデートによりGoogle 広告やDisplay & Video 360で15秒スキップ不可のフォーマットが購入可能となっています。

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TrueView アクションキャンペーンでコンバージョン数の最大化の入札戦略が利用可能に

2月には、TrueView アクションキャンペーンでコンバージョン数の最大化の入札戦略が利用可能になりました。TrueView アクションキャンペーンでは、 過去7日間で1日あたり5件以上のコンバージョンを獲得し、かつ1日のコンバージョン単価の変動が20%以内に収まることを目標コンバージョン単価を設定する推奨条件としていますので、まずはコンバージョン数の最大化を利用してコンバージョン件数を増やし、コンバージョン単価の変動を見ながら必要に応じて目標コンバージョン単価に切り替えるという運用手法が可能となります。

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バンパー広告を自動作成するツール「Bumper Machine」が発表

5月のGML 2019では、バンパー広告を自動作成するツール「Bumper Machine」が発表されました。機械学習を活用して90秒以下のYouTube動画から3~4つの異なるバンパー広告を作成するツールで、筆者は製品デモコーナーで Bumper Machine のデモを見てきましたが、ほんの数十秒でそれぞれ異なるパターンのバンパー広告が4つ作成されていました。2020年の早い段階でのフルローンチに期待したいところです。

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TrueView アクションキャンペーンの配信先をGoogle動画パートナーへ拡大

7月には、TrueView アクションキャンペーンの配信先をGoogle動画パートナー(ディスプレイネットワークの動画パートナー)へ拡大することを発表しました。英文校正ツールを提供するGrammarlyは、TrueViewアクションキャンペーンの配信先としてGoogle動画パートナーを追加したことにより、以前と比較して8%低いCPAでツールのインストール数を20%増加させることに成功したとのことです。すでにYouTube動画で実績のあった同カテゴリの製品を積極的に調べているユーザーにYouTube外でリーチできたことが功を奏したのでしょう。

マストヘッド広告におけるインプレッション単価制の正式ローンチ

同じく7月には、マストヘッド広告におけるインプレッション単価制の正式ローンチが発表されました。マストヘッド広告はYouTubeのホーム画面最上部に掲載される予約型の動画広告で、一国につき一社の広告主が、固定の一日の費用(cost-per-day (CPD))でのみ購入することが可能でしたが、2019年2月から開始されたインプレッション単価制の試験導入(ベータ版)の成功を受け、正式ローンチとなりました。

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マストヘッド広告のテレビ画面配信をグローバルで試験導入(ベータ版)

9月には、マストヘッド広告のテレビ画面配信をグローバルで試験導入(ベータ版)することが発表されました。2019年7月のアップデートにより、固定の一日の費用(cost-per-day (CPD))に加えて、広告のターゲット設定を活用できるインプレッション単価制(CPM)での購入が可能となりましたが、本アップデートで対象デバイスとしてテレビ画面が追加されたかたちとなります。試験導入の成功を受けて、11月に本機能はフルローンチとなっています。

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バンパー広告にCTA(Call-to-Action)表示オプション、TrueViewアクションキャンペーンにサイトリンク表示オプションを追加

11月には、バンパー広告にCTA(Call-to-Action)表示オプション、TrueViewアクションキャンペーンにサイトリンク表示オプションを追加していくことが発表されました。いずれも動画視聴によるユーザー行動を促す機能で、動画広告をフルファネルで活用するケースは今後増えていくでしょう。

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リーチプランナーにNielsenのテレビデータを追加

12月には、リーチプランナーにNielsenのテレビデータを追加することが発表されました。これにより、マーケターはテレビも含めたプランニングをリーチプランナー上でできるようになります。本機能は、リーチプランナーを利用している米国のすべてのユーザーで利用可能となり、2020年には米国以外の国でも利用可能になる予定とのことです。リーチを目的としたキャンペーンにおいて、YouTubeファーストの時代の到来を感じさせる象徴的なアップデートでした。

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ショッピング

Google画像検索に表示されるショッピング画像広告の提供範囲拡大

3月には、Google画像検索に表示されるショッピング画像広告の提供範囲拡大が発表されました。加えて、ショーケース広告の配信先にGoogle画像検索結果を追加することも発表され、画像検索をしているユーザーに対するアプローチが強化されました。ショーケース広告は2019年12月時点でも日本未対応となっており、今後の日本での提供開始に期待したいところです。

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Google画像検索に加えて、Discoverがショーケース広告の配信面として追加

5月のGML 2019では、Google画像検索に加えて、Discover(Googleのモバイルアプリならびにモバイルブラウザからgoogle.comにアクセスした場合に表示)がショーケース広告の配信面として追加されました。Discoverはユーザーの過去のアクティビティに基づいておすすめコンテンツを表示する機能を持っており、GML 2019でもユーザーが検索行動を起こす前に次のアクションを促すことができると強調されていました。

ローカルキャンペーンにおけるGoogle Maps 内での広告在庫拡大

同じく5月のGML 2019では、ローカルキャンペーンにおけるGoogle Maps 内での広告在庫拡大も発表されました。ユーザーがGoogle Maps で経路を調べると経路付近の店舗がピンで強調され、そのピンをタップすると画面下部に広告を表示するタイプと、現在地付近を検索する際に画面上部に広告表示するタイプが発表されています。

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ショッピング広告の配信面をYouTubeホーム画面とYouTube検索結果画面へ拡大

11月には、ショッピング広告の配信面をYouTubeホーム画面とYouTube検索結果画面へ拡大することが発表されました。ショッピングキャンペーンのターゲティング設定で、対象ネットワークとして「ディスプレイネットワーク上のYouTubeやDiscover」を選択している場合、YouTubeホーム画面とYouTube検索結果画面へもショッピング広告が配信されるようになります。

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「自動フィード」の機能が提供開始

同じく11月には、「自動フィード」の機能が提供開始されました。対象のウェブサイトをクロールすることにより構造化データやサイトマップの情報を読み取り、ウェブサイトから関連商品に関する最新情報を抽出したうえでフィードを自動作成するというものです。ショッピング広告を開始するうえで、フィードの作成は広告主にとってひとつのハードルになるかと思いますが、ウェブサイトに構造化データのマークアップが正しく実装されている場合は、ショッピング広告を容易に開始することができるようになるでしょう。

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その他

ポリシーマネージャが提供開始

4月には、ポリシーマネージャが提供開始されました。「ツール」テーブルの「設定」配下からアクセスでき、ポリシー違反となった項目毎に該当する広告ならびに広告表示オプションの数が一目でわかるようになっています。併せて、不承認もしくは承認済み(制限付き)の理由説明機能の拡大、管理画面上での再審査リクエスト、リアルタイムでのポリシー違反検知等、広告主のポリシー準拠を支援するアップデートとなっています。

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新しいキャンペーンタイプとしてファインドキャンペーン(ベータ版)が発表

5月のGML 2019では、新しいキャンペーンタイプとしてファインドキャンペーン(ベータ版)が発表されました。YouTubeのホームフィード、Gmailのプロモーションタブとソーシャルタブ、Discoverにひとつのキャンペーンで広告配信でき、Googleプロパティを最大限活用した広告商品といえるでしょう。こちらも2020年の早い段階でのフルローンチに期待したいところです。

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クリエイティブリソースに特化したプラットフォーム「Create with Google」が発表

6月には、クリエイティブリソースに特化したプラットフォーム「Create with Google」が発表されました。プロダクト毎のクリエイティブ概要やTips、クリエイティブの最新事例や制作をサポートするツールにアクセスすることが可能で、「Googleトレンド」、「Think with Google」、「YouTube Studio」といったGoogleツール群のひとつとなります。

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アプリキャンペーンの広告配信面として、Discover、YouTube検索結果画面上部、ディスプレイネットワークでのインストリーム動画広告枠を追加

7月には、アプリキャンペーンの広告配信面として、Discover、YouTube検索結果画面上部、ディスプレイネットワークでのインストリーム動画広告枠を追加することが発表されました。Discoverに関しては、2019年12月時点で、英語版のAndroidスマートフォンでのみ対応とのことです。本アップデートでも、Discover、YouTubeといったGoogleプロパティの広告在庫が強化されています。

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以上、2019年のGoogleの広告関連の主要アップデートまとめでした。GML 2019で発表された新機能のフルローンチはもちろんのこと、ユーザー、広告主、パブリッシャーの三方よしとするアップデートに2020年も期待したいですね!

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