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検索エンジンマーケティングをテーマにした大規模イベントSMX Advancedに参加してきた
検索エンジンマーケティングをテーマにした大規模イベント「SMX(Search Marketing eXpo)」の上級者向けカンファレンスである「SMX Advanced」が2019年6月4・5日の2日間にわたり、米国西海岸のシアトル市で開催されました。
当イベントの議題としてはまだまだ割合が少なかったものの、BIツール/ダッシュボード活用をテーマとしていたスロット(15分ほどで登壇者が入替わる形式のセッションの一部のこと)についてご紹介します。
「報告と説得に使える優れたBIツール/ダッシュボードの作成」セッション
「報告と説得に使える優れたBIツール/ダッシュボードの作成」という本スロットでは、DeepCrawl社にてSEO&コンテンツマネージャーを務めるSam Marsden氏が登壇。
なお、SMXにGoogleが参加していることも踏まえてか、BIツール/ダッシュボードとして話題に上るのは基本的にGoogleデータポータル(現 Looker Studio)のことを指しているケースが多く、今回もそのパターンでした。
※本スロットの記事化にあたり、Sam Marsden氏から内容の引用について承諾を頂いてます。This article quotes contents from the session “Creating Killer Dashboards That Inform & Persuade”, and we have permission to quote from Sam Marsden,SEO & Content Manager of DeepCrawl.
そもそも今回の登壇について、Marsden氏はSMXスタッフと「インパクトのあるBIツール/ダッシュボード作成によってレポートに革命を起こせば、より効率的なSEO(活動)が可能になる、ということをご紹介できますよ」と話していたようですが、SMX側の回答は「いいね!8~12分程ほどの枠になるけどいい?」というもの。
これまであらゆるメディアでGoogleデータポータルについて紹介し語ってきたMarsden氏。
「紹介したいことがとにかくたくさんあるのに!」
「生産性と効率にこだわる私にとって、Googleデータポータルはその中毒に拍車をかけるほど便利なのに!」
「なんて短い時間なんだ!」
と笑いを交えつつも、BIツール/ダッシュボードの有用性に助けられていることを語りました(本セッションの各スロットで登壇者が用意したスライドの中でも一番ボリュームがあり、本気度が伺えました)。
彼がGoogleデータポータルに助けられている点は以下の3点です。
1.Saving time with reporting. (レポーティング時間の節約)
2.Combining data sources.(データソースの結合)
3.Uncovering insights.(インサイトの発見)
「(Google)Data Stadio love」を広めたい…と再び念押ししたMarsden氏は、レポート自動化の時間節約の力を受け入れ、(あなたの)ビジネスにおけるBIツール/ダッシュボードのエバンジェリストになろう、と語りました。
あらゆる立場とのコミュニケーションを円滑に、効率的に
一方で、BIツール/ダッシュボードは組織の中で不可欠なコミュニケーションをも円滑にしてくれます。
Marsden氏によれば、経営陣との仕事においても「手に負えない、繰り返しだらけ、非効率的」とされる作業や、トラフィックデータの頻繁な報告依頼への対応、会議直前に必要となるスクリーンショットも、BIツール/ダッシュボードによって非常に助けられているとのことでした。
一般的にも広く言われている通り、BIツール/ダッシュボードの強みの一つに、見る側のちょっとしたリクエストの違いにも、柔軟に対応することができる点が挙げられます(期間設定や、フィルターによる集計結果の更新)。
一つのBIツール/ダッシュボードに概要さえわかりやすく書いておけば、それが何のデータであるかが見る側に伝わると同時に、様々なフィルタを画面上に用意することで、それぞれが見たい条件に沿った結果を柔軟に表示させることが可能になります。
逆に、見る側にとって共通する主要なKPIについては、画面上部にひと目で分かる形で可視化すると、チームが追うべき目標がずれることなく、データを確認した後のチーム会議でもネクストアクションについてすぐに語り合うことができるのではないでしょうか。
経営陣との仕事においてもBIツール/ダッシュボードを活用することで、不要な会話や混乱を避けることができます。その結果、彼らとの間に繰り返し摩擦が生じていたポイントを取り除くことができ、結果的に我々の働きについてより多くの関心を寄せてもらうことに繋がっているとMarsden氏も語っていました。
また、BIツール/ダッシュボードは切り口や比較対象を変化させることで、それぞれが見るべきポイントが明らかになるため、別のチームとの共同作業、現場メンバーへの伝達や新人の育成にも大いに役立っているようです。
データを手動で準備する時間が短縮できていることや、次の打ち手を考えるべきポイントがすぐに分かる状態にあることで、チーム全体のパフォーマンスが向上できているのです。
ほとんどが開発途中のツールであるという前提意識をもって活用すること
Googleデータポータルに限らず、多くのBIツール/ダッシュボードは、まだまだ開発途中といえる段階です。
今後も多くの機能追加や仕様変更が行われることがあり、それが私達の仕事の効率化に大いに役立つケースもあるでしょう。
他のセッションにおいても、BIツール/ダッシュボードの有用性を紹介されるシーンがありました。
SEM関連のセッションでは、これまでの報告によくあるような表形式で、現在の結果を数字だけで見せることに留まらず、時系列のグラフ形式を採用し、更には未来の予測値まで可視化することで、必要な施策や予算に対する経営陣の納得を得やすくしよう、というものでした。BIツール/ダッシュボードは、より説得力のあるレポーティングを行うことが肝要という点がMarsden氏のメッセージとも共通しています。
その他、便利な機能紹介の具体例として、今年に入ってGoogleデータポータルに機能追加された、期間の詳細設定の機能が取り上げられていました。「本日から過去○○日間」など起点となる日を動かしながら固定の期間を指定するレポーティングを行いたい方は、ぜひ活用してほしい機能です。
過去、Unyoo.jpでも紹介しているため手順は省略しますが(リンク参照)、著者もこの機能追加が行われた当時、BIツール/ダッシュボード構築中にまさにそれが解決策となり救われた一人として、イベント中最も強く頷きながらセッションを聞きました。
リンク:
最後に、Marsden氏の発表の締めくくりとなったメッセージをご紹介します。
「時間を節約するために、定期的なレポート作成の自動化に投資しよう」
「同僚や顧客とのワークフローを効率化するために、BIツール/ダッシュボードとソリューションを構築しよう」
「BIツール/ダッシュボード、活用したガイド、自身の経験を共有し、(Google)Data Stadioコミュニティに貢献しよう」
もちろんGoogleデータポータルに限らず、BIツール/ダッシュボードの有用性は自身の経験やBIツール/ダッシュボードそのものを閉じた環境で蓄積するだけでは伝わらないといえます。情報シェアへの注力が今後の発展のカギとなりそうです。