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配信拡大に関する2つのアップデート
2019年7月31日(水)、Googleは2つのアップデートを発表しました。
・アプリ広告の配信先にDiscover、YouTube検索結果などを追加
・フレーズ一致と絞り込み部分一致の類似パターン拡大
本記事では、それぞれのアップデート内容を紹介します。
アプリ広告の配信面にDiscover、YouTube検索結果などを追加
今までのアプリ広告の配信先は、Google検索、Google Play、YouTube、300万以上のサイトやアプリでした。
本発表と同時に、アメリカにおけるアプリ広告では、上記に加えて、自社アプリの潜在的なユーザーに対して、Discover上にも自動的に広告が配信されるようになりました。
今後数ヶ月のうちに日本などの他の国にもDiscoverへの配信を拡大し、2019年内にすべての市場に導入を計画しているとのことです。
Image: Google Ads Blog
また、Discoverに加えてYouTube検索結果画面上部への配信先の追加と、ディスプレイネットワークでのインストリーム動画広告への配信追加も発表されました。ディスプレイネットワークでのインストリーム動画広告とは、Googleネットワーク内のサイトやアプリ上で視聴されている動画の前、途中、または後に再生されるスキップ可能な動画広告です。
Image: YouTube検索結果への広告掲載例(Google Ads Blog)
YouTube検索結果画面上部へのアプリ広告は、執筆時点において筆者のスマートフォンで既に配信が確認できています。一方で、ディスプレイネットワークへのインストリーム動画広告配信については、2019年8月から配信予定とのことなので、まもなく確認できるようになるでしょう。
フレーズ一致と絞り込み部分一致の類似パターン拡大
完全一致のキーワードの類似パターンは2018年9月に変更があり、同じ意味を持つ検索語句が検索された場合も広告が表示されるようになりました。
これにより、例えば「東京 内科」という完全一致のキーワードに対して、「東京 内科 クリニック」という検索語句で広告が表示されるケースも確認できています。
今回のアップデートにより、フレーズ一致と絞り込み部分一致に関しても、登録されたキーワードと同じ意味を持つ検索語句にも広告が配信されるようになるとのことです。※数週間内に英語のみアップデートされ、2020年までに他の言語もアップデートされる予定です。
どのように類似パターンが拡大されるのか
■絞り込み部分一致「芝刈りサービス(lawn mowing service)」の場合
今までの絞り込み部分一致の定義では、プラスが付与されたキーワードと同じ語句または表記ゆれが検索語句に含まれる場合に広告が表示されました。
下図は絞り込み部分一致の類似パターン変更前後の比較表ですが、プラスが付与されたキーワードが含まれていない、表記ゆれでもない検索語句でも、同じ意味であれば広告が表示されるようになることがわかります。
■フレーズ一致「芝刈りサービス(lawn mowing service)」の場合
今までのフレーズ一致の定義では、指定したキーワードと完全に一致するフレーズや、その類似パターンの前後に他の語句が含まれるフレーズが検索された場合に広告が表示されました。
下図はフレーズ一致の類似パターン変更前後の比較表ですが、やはり同じ意味であれば、今までの定義とは異なっても広告が表示されるようになることがわかります。
本アップデートでキーワードにマッチする検索語句が増えます。しかし柔軟な制御も可能となるよう、アカウントに登録済みの完全一致・フレーズ一致・絞り込み部分一致キーワードが特定の検索語句とぴったり一致する文字列を含む場合、それ以外のキーワードではトリガーしない仕組みとなるそうです。
例えば、「芝刈りサービス」と「草刈りサービス」というフレーズ一致キーワードを登録しているとします。検索語句「近くの芝刈りサービス」は意味としては「草刈りサービス」にも一致しますが、「芝刈りサービス」が優先してトリガーされます。
なぜ類似パターンが拡大しているのか
Googleの報告によると、毎日行われている検索の約15%は新しい語句による検索とのことです。このため、気がつかないうちに全く新しい検索語句で商品やサービスが検索され、既存のキーワードではカバーできないケースも発生します。
網羅的なキーワードリストを必要とせずに、より多くのユーザーにリーチするために今回のアップデートに至りました。
Googleの予測では、今回のアップデートにより部分一致キーワードとフレーズ一致キーワードによるクリック数とコンバージョン数が3~4%増加するとしています。
アップデートに伴い、私たちがやるべきこと
今回のアップデートに伴い、Googleは以下3つの対策を推奨しています。
- 掲載結果の監視:トラフィックの変動が予想されるため、必要に応じて入札単価の変更やキーワードの一時停止などを実施
- スマート自動入札の導入: Googleの機械学習技術を使用して、すべてのオークションにおいてリアルタイムで単価を最適化
- 除外キーワードの設定:定期的に検索語句レポートを確認し、不要な検索語句を除外
※除外キーワードには、今回の類似パターン拡大に関するアップデートは反映されないため、これまでと同様の仕様です。
今回の変更はどちらも配信拡大に関するものでした。Google Marketing Live 2019で触れられたように、ユーザーのカスタマージャーニーの経路は、より複雑に、より多様になっています。人力で及ばない部分を機械学習で補い、機械学習では行き過ぎる部分を人力で抑えられるように、仕組みを理解して適切な広告運用をしていきたいですね!