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新しいビジョン「Open Internet」
2019年1月11日(金)、Criteoは記者向けに「Criteoの新ビジョンと2019年の事業方針」について説明会を開催しました。
Criteoは、「どのような企業でもオープンなインターネットで、自由にモノを売ることができる。そして企業規模にかかわらず、あらゆる企業が最高水準のテクノロジーを使って、ビジネスを成長させる機会を与えられるべき」という考えに基づき、今回の新しいビジョン「Open Internet」を発表しました。
また、新しいビジョンを実現するためのコアコンピタンスとして、自社が保有する「質の高い消費者行動データと分析能力」を挙げています。
質の高い消費者行動データについては、上図のようなビックデータを指しており、日本のオンラインユーザーの92%をカバーしている状況です。また分析能力に関しては、「AIラボ」をパリに設立し2020年までの3年間で約25億円を投資すると、2018年7月に発表しており、力の入れようがわかります。
AIテクノロジーに関しては、Criteo 本社のあるフランスも国策としており、2018年3月にマクロン大統領が、AI立国に向けた戦略を発表しました。AIの開発支援のために国として15億ドル(約1600億円)を支出することを宣言しており、Criteoの動き含めとても期待が高まります。
2019年は、2つの事業領域を拡大
Criteoは、インターネットビジネスを進めたいあらゆるマーケティング担当者にとって、魅力的なeコマースマーケティングプラットフォームに進化するという方針のため、2つの領域の拡大を推進していくようです。
1.プロダクトポートフォリオの拡大
今までCriteoはダイナミックリターゲティング(レコメンド広告)に注力し、その分野においては圧倒的な地位を確立していると言えます。しかしリターゲティングのみでは、見込み客は狙えるものの、潜在客や顧客育成としての配信はできない状況でした。これからは、潜在層から既存顧客までを一気通貫で配信できるプロダクトを目指すとのことです。
潜在客への拡大については、昨年より進めており、その一環として、Criteo Customer Acquisition(以下、CCA)がβ版としてリリースされています。
既存顧客への拡大については、2回目3回目の購入を促し、ロイヤルカスタマーに育てるプロダクトを考えているとのことでした。具体的なプロダクトの紹介はなかったため、どのような配信になるかはまだわかりませんが、例えばGoogleでは、自社のCRM情報を提供して、優良顧客などランク付けし、その類似ユーザーに広告を配信するプロダクトが一部広告主には提供されています。そのため、Criteoに関しても同様の方向で進む可能性が考えられます。
CCAもリリースされて間もないこともあり、広告は配信されつつも、技術開発も同時に進んでいると考えられます。将来的に、フルファネルでCriteoの配信ができるようになった際は、どういうユーザーが潜在客からロイヤルカスタマーに繋がるかのデータがCriteoに貯まっていくことが考えられます。例えば、潜在客から見込み客または見込み客からロイヤルカスタマーに育成するのに、どういったプレースメント、興味関心、広告配信時の商品の組み合わせ、フリークエンシー、リーセンシーが成果につながりやすいかというデータをアナリティクスツールとして、マーケティング担当者が閲覧できるようになると、他の広告媒体やマーケティング施策にも利用できるため、期待したい部分であります。
2.クライアント領域の拡大
これまでCriteoといえば、小売り・旅行・不動産・人材の広告主が多い状況でした。今後は、大手総合代理店とパートナーシップを強化して、自動車・消費財といったナショナルブランドや、アプリファースト事業者(ゲーム・電子書籍・サブスクリプションなどのエンターテイメント・ソーシャル)に対象を広げていくとのことです。
Criteoの国内セールス部門統括 コマーシャルディレクターの小野氏は、「業種毎に、それぞれのマーケティング課題というのがあると思うのですが、その課題に沿った形の、従来のリターゲティングのようなディスプレイ広告の延長線上にはない、まったく新しいソリューションを開発し、市場に導入していく予定でございます。特に、(上図)右側のナショナルブランド向け・アプリ事業者向けの新しいソリューションに関しては、この2019年の第一四半期(1月~3月)の間に、さらに詳細な情報をご発表できる機会を設けたいと考えております。」と話しており、新しいソリューションの発表が待ち望まれます。
福袋とブラックフライデーの購買動向の調査結果
今回の記者説明会では、福袋とブラックフライデーについてのCriteoの調査結果も同時に発表しており、さっそく新ビジョンである「Open Internet」のアクションを垣間見たと感じました。
今後もOpen Internetという新ビジョンのもと、新しい機能や調査結果の発表を待ちつつ、今後のマーケティングに活かしていければと思います。またCriteoは、自動最適化が優れている反面、どういった調整(フリークエンシー、リーセンシー、配信面など)が行われたかは、ブラックボックスとなっているため、他のマーケティング活動に活かせる範囲で開示されていくことも期待したいと思います。