2019年1月22日、Googleは15秒スキップ不可のYouTube動画広告をオークション型で購入可能にすることを発表しました。
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これまで、15秒スキップ不可のフォーマットは予約型の標準インストリームのみで購入可能でした。この場合、固定インプレッション単価(CPM)ベースでの購入で、かつ最低利用額が設定されるなど、Google 広告やDisplay & Video 360といったオークション型での購入と比較して利用ハードルが高いものとなっていました。
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今回のアップデートにより、Google 広告やDisplay & Video 360で15秒スキップ不可のフォーマットが購入可能となります。筆者のGoogle 広告の管理画面で確認したところ、キャンペーンの目標を「ブランド認知度とリーチ」に設定したうえで、キャンペーンタイプ「動画」を選択すると、キャンペーンのサブタイプで以下赤枠にあるように「最大15秒間のスキップ不可の広告」と表示されており、すでに今回のアップデートが反映されていました。(本アップデートは今後数週間かけて全アカウントへ展開予定とのことですので、まだ反映されていないアカウントもあるかと思います)
広告在庫の拡大を見据えたアップデートか
2018年4月、GoogleはTrueView動画広告の新たなフォーマットとしてTrueViewリーチを発表しました。従来、Google 広告の動画キャンペーンにおいて、インプレッション単価(CPM)での入札はバンパー広告のみ可能でしたが、TrueViewリーチの登場により、広告主はCPM入札によるリーチ目的のキャンペーンを6秒という制限なしに展開することができるようになりました。
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しかしながら、あくまでスキップ可のインストリーム広告であり、広告主の要望にも応えながらユーザーにも配慮するかたちを採っていました。これまでになくYouTubeで広告を見る機会は増えたように感じますが、スキップ可であることで動画の視聴体験が大きく損なわれることは最小限に抑えられていたかと思います。
本アップデートにより、15秒スキップ不可の動画広告を見る機会が増え、YouTube上でのユーザー体験にもある程度影響が出ることが予想されますが、これに関してGoogleの動画広告のプロダクトマネージャーのAli Miller氏は、今回のアップデート発表の中で以下のように述べています。
Meanwhile, we continue to have protections in our ad system to cap the number of ads a user sees, to ensure users have a great experience while watching YouTube.
一方で、YouTubeを視聴しているユーザーの素晴らしい体験を保証するために、私たちは広告システムにおいて一人あたりのユーザーが見る広告の数に制限をかける保護を続けます。
ユーザーへの一定の配慮は示しつつも、広告主の側に寄り添うアップデートを実施した背景には、広告在庫の拡大を見込んでいることが考えられます。DIGIDAYが報じるところによれば、YouTubeはそのサブスクリプション・モデルであるYouTube Premium会員限定で配信しているYouTube Originals(YouTubeのオリジナル番組)を、今後広告を表示するかたちで無料で視聴できるようにしていくとのことです。
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また、OTTサービスのプレーヤーがAVOD(Ad Supported video-on-demand:広告付きビデオ・オン・デマンド)を強化してきていることも、今回のアップデートの背景のひとつにあるのではないでしょうか。1月にAmazon傘下のIMDbが無料のAVODサービス「IMDb Freedive」を米国内のユーザー向けにリリースしたことは記憶に新しいかと思います。こういったAVODの競合が増えている状況下で広告商品を拡充することは頷けます。
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ブランド認知度アップやリーチを目的とする動画キャンペーンの選択肢が広がる今回のアップデートを受けて、運用者や広告主は、引き続きユーザーに寄り添ったキャンペーンの設計やクリエイティブの構成を考えることを忘れずに、15秒スキップ不可というフォーマットを有効に活用したいものですね。