Q1はアナリストの予測を上回る売上高だが
ケンブリッジアナリティカ問題に端を発したプライバシー問題など何かと話題ののぼる機会が大きかったFacebookですが、今月中には2018年第二四半期の決算発表が発表されます。取締役の変更など、なにかと大きな動きが多かったQ2の決算が発表される前に、改めてQ1の決算を振り返りたいと思います。
2018年第一四半期(1−3月:以下「Q1」)の決算報告によれば、今期の売上高は119.7億ドル、1株あたりの利益は1.69ドルで、アナリスト予想の114.1億ドル/1.35ドルを上回りました。
プライバシー問題の渦中でも優れた広告プラットフォームとしての存在は揺るがないものだったと言えるでしょう。
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Q1では各地域で過去最高の売上に
ブラックフライデーやサイバーマンデーといった年末商戦を含む前期の売上からは当然減少していますが、Q1の売上高としては各地域で過去最高をマークしました。
地域合計の前年同期比としては49%もの伸びを見せており、地域別では北米が +43%、ヨーロッパが +59%、アジア太平洋が +49%、その他地域も +49% と満遍なく伸長しています。
DAU、MAUともに逆風をはねのけ回復
全四半期ではバイラルビデオの表示を減らしたことで、創業以来初となる北米地域の1日あたりのアクティブユーザー数(Daily Active Users:以下「DAU」)の減少を経験することになった Facebook ですが(※)、Q1で2017年第三四半期の水準まで回復させ、全地域での DAU も4,800万人増の14.49億人(前期比 +3.42%)と増加しました。
DAU/MAU月間アクティブユーザー数(Monthly Active Users)はも図の下にある通り 66% と高止まりしています。
月間アクティブユーザー数(Monthly Active Users:以下「MAU」)の成長率は +3.14%で、6,700万人増の21.96億人と増加しています。
前四半期の3.39%よりも成長率は微減したものの、前年同期比では +13%となっており、Q1については一連の騒動がプラットフォームの成長の妨げにはなっていないことを示しています。
今後はサードパーティーデータの締め出しとGDPR対策の影響に注目
上述の通り Q1 は売上、ユーザー成長ともに順調な滑り出しとなり、CEOのマーク・ザッカーバーグ氏も
重要な課題に直面しているにもかかわらず、私たちのコミュニティは成長を続けています
とコメントしてます。投稿の中では「我々の責任について広い視野を持ち、利用者に強力なツールを提供するだけでなく、開発したツールが良い目的で使われるようにする(意訳)」と伝えており、具体的な対策がサードパーティのアクセス制限などに該当するでしょう。
2013年にスタートさせたパートナーカテゴリ(サードパーティーのユーザーデータを使ったターゲティング機能)を2018年3月に終了させたこともユーザープライバシーを保護する目的だったと考えられますが、こういった動きが広告収益にどのように影響してくるのかが気になるところです。
また、GDPR(EU一般データ保護規則)遵守の一環として実施するプライバシー保護に関する取り組みを発表していますが、CFOのDavid Wehner氏は「Q2でヨーロッパのユーザー数が横ばいか減少となる可能性があり、広告収益にも影響するかもしれない」とコメントしています。
※参考:
また、Q2にあたる4-6月は上記のGDPR対策に加え、ファミリーの一角を担う「WhatsApp」の創設者であるJan Koum氏が社を去ることが決まり、Facebookの取締役も辞任すると報じられています。
同氏の強い意向もあり、これまで WhatsApp は広告でマネタイズすることを避けてきましたが、今後の体制変更によって広告の表示やユーザーデータの取扱に注目が集まっています。
今月中には2018年第二四半期の決算発表も発表されることと思いますので、プライバシー騒動の他にも大きな動きが比較的多かった時期の売上がどうなるか、楽しみに待ちたいと思います。