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Googleアナリティクスでコンテンツの価値を判断できる「ページの価値」
Googleアナリティクス講座 第5回です。前回の第4回は、2018年4月下旬にレポート画面へ反映された「コンバージョン見込み」についてお伝えしました。
リンク:第4回 Googleアナリティクスの新機能「コンバージョン見込み」の活用法
第5回は、Googleアナリティクスの「ページの価値」についてご紹介します。ページを評価するごく一部のレポートに反映されており、まだ多くの方に知られていない機能だと思いますが、例えばECサイトを担当している方は、どの商品ページが収益につながっているか、またブログを運営していれば、ユーザーがどの記事を見たら問い合わせしてくれるのか、といったことが分かります。「ページの価値」を使いこなせば、ビジネス(収益)に影響を及ぼすコンテンツが把握できるので、ぜひ活用しましょう。
各ページの相対的な価値を計算
「ページの価値」は、どのページがサイトの収益や目標の達成に繋がっているかを、平均価値として金額で表示される指標のことです。Googleアナリティクスから [行動] > [サイトコンテンツ] > [すべてのページ] で確認することができます。
金額の大きさによって、各コンテンツの相対的な価値を把握することができるため、各ページの良し悪しを判断する、一つの判断基準として活用できます。各コンテンツの価値が把握できる一方で、「ページの価値」の数値は「実際の収益の金額」ではないため、これらがどのように計算されているか理解する必要があります。
「ページの価値」の計算式
「ページの価値」は次の式で算出されます。
eコマースの収益 + 合計目標値 / 任意のページのユニークページビュー数
「ページの価値」は、[eコマースの収益] と目標設定で入力する [目標の値] の合計を、ユニークページビュー数(=ページ別訪問数)で割った値となります。
上記の例で、1回の訪問の中でページA~Eを閲覧し、ページDで目標を達成、ページEでeコマーストラザクションが発生した場合の「ページBの価値」を考えてみましょう。
- eコマースの収益(10,000円)+ 合計目標値(1,000円)/ ページBのユニークページビュー数(1)
ページBの価値 = 10,000 + 1,000 / 1 = 11,000円
ページBの価値は11,000円となります。では下記の場合はどうでしょうか。
通算で2回訪問した場合の「ページBの価値」を考えます。
- eコマースの収益(10,000円) + 合計目標値(2,000円)/ ページBのユニークページビュー数(2)
ページBの価値 = 10,000 + 2,000 / 2 = 6,000円
ページBの価値は6,000円となります。Session2では、ページBは2回閲覧されていますが、ページ別訪問数はユニークの「1」となります。
「ページの価値」は収益を基準として、コンテンツの良し悪しを判断できる数値ですが、例えばECサイトの場合、商品カートページなど、目標達成に近いページは、必然的に「ページの価値」が高くなりますので、商品ページでフィルタをかけるなど、同じレベルの階層で各ページを比較すると良いでしょう。
「ページの価値」を積極的に活用する
ECサイトのコンテンツページ分析
ECサイトの場合、商品ごとの収益はeコマースから確認できますが、「その商品ページを通して、サイト全体の収益にどれだけの影響が与えられているか(=どれだけの価値があるか)」を確認するには効果的です。実際にGoogle Merchandise Storeのアカウントでページを「apparel」にフィルタし、ページの価値を確認してみました。ユーザーは、価値の高い商品ページのどこに魅力を感じているのか、ヒートマップツールなどで確認し、ページの改善へと繋げられます。
ブログサイトの記事
ブログはページビュー数(=どれだけ閲覧されたか)や滞在時間といった指標も重要ですが、結果として、それが目標に繋がっているのか確認することができます。「商品購入」「問い合わせ完了」など、様々な目標に対する値を設定しておくと良いでしょう。
FAQページの分析
多くのECサイトや、製品サービスの紹介ページでは、「よくある質問」ページが存在しています。質問ページであれば、一般的に目次の上部にある質問が閲覧されやすいので、単純にページビュー数だけではコンテンツの良し悪しを判断できないと思います。その際に役立つのが「ページの価値」です。
上記の場合、最も読まれているページは「ご利用方法について」ですが、最も価値の高いページは「お届け日の指定」です。商品を購入する人は、配送日時について知りたいと推測できます。そうであれば、「お届け日の指定」ページを目立つ位置に掲載したり、広告であればタイトルに配送日時を追加する、といった施策が考えられます。
適切なランディングページの設置
ECサイトでよくあることですが、1つの商品に対して、通常のページと特設ページが存在することがあります。もちろんGoogle OptimizeでもページのA/Bテストはできますが、既に存在するページで、どちらのを設置すればよいか迷ったときは「ページの価値」が高いページにトラフィックを誘導することもできます。
コンテンツグループを適用する
基本的には個々のページの価値を確認し、価値あるページかどうか判断しますが、コンテンツグループを適用することで、どのページグループがコンバージョンの前に閲覧されたか、ということも把握できます。
Google Merchandise Storeには、Brand、Product Categories、Gender by Clothingという3つのコンテンツグループがあり、各グループのページの価値を確認することができます。コンテンツグループの作成方法についてはアナリティクスヘルプをご覧ください。
リンク:コンテンツグループを作成、編集する – アナリティクスヘルプ
「価値」ではなく「絶対金額」で見たい場合
目標達成に近いカートページなどは必然的に「ページの価値」が高くなる、と先述しましたが、ページ別訪問数の大小にも気を付けてください。トップページなど、必ず通るであろうページは訪問数が大きくなり、「ページの価値」が低くなります。その場合、「ページの価値」から絶対金額(この場合「eコマースの収益 + 合計目標値」)を逆算して、貢献度を確認しましょう。
絶対金額(「eコマースの収益 + 合計目標値」)=ページの価値 × ページ別訪問数
絶対金額は、各コンテンツの費用対効果を評価できる1つの指標となります。
「ページの価値」は使い方次第で大きく効果を発揮します。そのページがサイト全体にどのくらいの収益を生み出しているのか、ビジネスへの貢献度を把握し、さらに価値のあるページを作成できるよう、ぜひ活用してみてください。