DoubleClick Bid Managerで音声広告が出稿可能に
2018年5月30日、GoogleはDoubleClick Bid Manager(以下DBM)で音声広告を提供したことを発表しました。最も人気のあるストリーミングサービスであるGoogle Playミュージック、Spotify、SoundCloud、TuneInなどが、今回の配信対象となっています。
リンク:Digital Audio Ads come to DoubleClick – DoubleClick Advertiser Blog
DBMによる音声広告は2017年から既にテストされていました。DoubleClickの認定マーケティングパートナーであるMightyHiveは、DBMの音声広告から新しいユーザーを獲得し、モバイル、デスクトップ、アプリ全体から750万回以上のインプレッションと7,500回以上のクリックを達成し、広告完了率は95%以上だったと公表しています。
リンク:MightyHive leads the way with Audio Ads testing – DoubleClick by Google
音声検索の著しい成長
2011年にAppleの「Siri」が投入されて以降(日本では2012年に対応)、音声検索自体は日常でもよく利用する、馴染み深いツールとして親しまれてきました。そしてここ数年の間で、「Google Home」「Amazon Echo」「Clova」といった、音声だけでリモート操作ができる「スマートスピーカー」が続々と登場し、音声検索は一気に脚光を浴びるようになりました。
また、米IAB(Interactive Advertising Bureau)のインターネットに関する調査の通年レポート(2017年)によると、2017年の音声広告による広告収入は16億ドルであり、2016年度と比べて39%の増加となっています。家庭内にスマートスピーカーが導入されることで、音声検索を利用する心理的なハードルが下がり、今後はさらにユーザーの検索に対する音声入力の割合がますます高くなっていくことが予想されます。
また、全世界のデジタルミュージック(=ストリーミング)ユーザーも年々増加しています。statistaによると、2016年時点での全世界のストリーミングサービス利用者は約11億人であり、2022年には約14億人になると予測しています。ストリーミングサービスの利用者増加に伴って、今後の音声検索や音声広告への需要は増えていくことでしょう。
音声検索による広告への影響
DBMの音声広告が全広告主に提供されたことにより、音声検索が広告運用にどのような影響を及ぼし、マーケティングの担当者はどう対応すべきかを考えなければならないと思います。
例えばスマートフォンやデスクトップから直接クエリを入力して検索する場合と、音声検索した場合のクエリの構造が異なるのは明らかだと思います。音声検索は、質問形式や会話形式で検索をするようになり、クエリの幅が広がる(=ロングテールワードが増える)ことが予想されます。キーワードの完全一致登録に拘り、部分一致での拡張を避けるようなアカウントは、音声広告による幅広いクエリには対応しきれず、多くの機会損失が発生するでしょう。そして、ターゲットとするユーザーへ最適なメッセージを届けることができるように、様々なクエリに対応できる適切な広告文を設定することが重要だと言えます。
また、動的検索広告やショッピング広告といった、データフィードの重要性もますます高まります。インデックスされたコンテンツにもとづいて自動的に広告が作成される動的検索広告を活用する機会が増えるほど、ウェブサイトのコンテンツの充実度も重要になってくるでしょう。
電車や公共の場での利用には抵抗を感じる一方、家庭や友達同士などのプライベートな空間での音声検索は、スマートスピーカーの登場も追い風となり着実に浸透していると言えます。情報伝達手段が視覚から聴覚へと変わり、音声広告によって今後の運用型広告がどう変わっていくのか、注目していきたいと思います。