「アクショナブル」なダッシュボードとは何か?
BIツールでダッシュボードを使う企業が確実に増えてきました。BIツールを活用してダッシュボード構築の支援をする際に、こだわっているポイントはいくつかあります。その中でも、一番大事だと思っているのがいかに「アクショナブル」なダッシュボードにすることです。
「アクショナブル(actionable)」はいくつかの意味がありますが、ITビジネスでは「ビジネス上の何らかの行動・実施につながる」という定義が近いかと思います。「actionable insights(行動につながる示唆・見識)」などと言うことも多いです。ダッシュボードは、データさえあれば、さまざまな可視化・見える化はできるのだが、そこでの発見から、必要と思われる何らかの行動・実施がトリガーされ、かつ、それが実際にビジネス・インパクトを生む可能性を持ったものでないと、そもそも可視化する意味がないという考え方です。
一つ一つの視覚化を、ここでは「グラフ」と呼ぶことにしましょう。データが準備できれば、さまざまなグラフを作ることができます。グラフの作成はどのダッシュボードやBIツールでも、コツをつかめば作成は比較的簡単なので、大量のグラフを作ることができます。見栄えもいいですし、それなりに役立つデータ、に見えるのですが、少し冷静に見つめてみると、「で、このデータを見て、次にどうすればいいんだっけ?」と気づきます。そういう視点で見てみると、実はほとんどのグラフが同じ状況だということもわかってきます。
ではアクションにつながるグラフとはどんなものでしょう?簡単な例をいくつか挙げてみたいと思います。
アクショナブルなダッシュボードの例
例えば、今期の売上数字をグラフにすると、実際の数字が見たいので、こういう作り方をすることも多いと思います。
ですが、これだと今の売上がよい状況なのか、そうでないのかがわかりません。目標値をつけてサーモメーター(温度計)グラフで見てみましょう。
まだ現在の売上が年間目標に達していないということはわかりましたね。でもまだアクションを取るべきかはわかりません。では、今後の売上見込みを加算することで、年間の売上着地見込みで見てみたらどうでしょうか。
ようやく現在の売上レベルでは年度末になっても年間目標に達していないということはわかりましたね。未達なのでサーモメーターは赤で表示され、ひと目であまりよい状態でないことがわかります。また、サーモメーター部分だけでなく、グラフの左上の「まとめ数字」に達成度(%)と雨マークが自動的に入るようにしました。
これで営業アクションが取る必要があることが一目でわかりますね。もう一つ、簡単な例を挙げてみましょう。1期半分の売上の推移を棒グラフで見せたものです。
これだと、売上が伸びているのかも分かりづらいですし、アクションも取れません。今期分だけを棒グラフにして、前期分は線グラフにしてみましょう。
こうすると、前期よりも売上が伸びていることはわかります。売上ベースラインで見てみてはどうでしょうか?
これで売上ベースラインを下回っている月がわかりますね。さらに売上見込みをつけてみましょう。
これで年間の売上目標に対しても未達だということがわかりますし、特に売上を下回っていてテコ入れすべき月がわかりますね。
非常に基礎的な例でしたが、いかがでしたでしょうか?数字の見方一つで、その捉え方や、取るべきアクションが変わってきますね。ダッシュボードにおける効果的な視覚化については、また取り上げたいと思います!