ユーザー軸を意識した分析と行動把握:Googleアナリティクス講座第3回

ユーザー軸を意識した分析と行動把握:Googleアナリティクス講座第3回

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このシリーズでお伝えしたいこと

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第2回「リアルタイムレポートを活用する」

2005年にGoogleが米国のWeb解析ソリューションプロバイダーであるUrchin社を買収し、Googleアナリティクスが誕生してから12年が経ちました。誰もが簡単にデータをみることが可能となったいま、広告運用者目線でGoogleアナリティクスの活用方法を連載形式でお伝えしていきます。

第3回は、「ユーザー」の行動を把握するために必要なレポートと活用方法をご紹介します。その前に、Googleアナリティクスのデータの特徴や用語の定義を理解していきます。

 

「指標」と「ディメンション」

Googleアナリティクスに触れるうえで、データの種類と定義を理解する必要があります。Googleアナリティクスのデータは「指標」「ディメンション」に分かれています。指標とは定量的なデータのことであり、具体的にはページビュー数やユーザー数、セッション数を指します。一方でディメンションとはデータの属性のことであり、「~ごとの」「~別の」と考えれば分かりやすいです。具体的には参照元、キャンペーン、ユーザータイプを指します。

 

Googleアナリティクスのディメンション

学校のテストで例えると、ディメンションは科目、指標は点数になりますね。

Googleアナリティクスのディメンションは科目、指標は点数

そして上記の指標とディメンションは「ユーザー/セッション/ヒット」の3つのスコープに分かれます。

例えば、Aさんがある期間に同じウェブサイトに2回訪問して、色々なページを閲覧したとします。その際、ユーザーは「1」、セッションは「2」となります。このように、Googleアナリティクスで計測されるデータは「ユーザー/セッション(=訪問)/ヒット(ページビューやイベントなど)」のレベルに分かれており、スコープを正しく理解したうえでデータを見る必要があります。

 

Googleアナリティクスで計測されるデータは「ユーザー/セッション(=訪問)/ヒット(ページビューやイベントなど)」

データの種類とスコープを理解したところで、早速Googleアナリティクスの「ユーザーレポート」を見ていきましょう。

 

ユーザーを軸とした分析が推奨される背景

ここ数年の間で、「人ベース」「ユーザー軸」という言葉をよく耳にするようになりました。背景として、デバイスやユーザーの行動が多様化し、Cookie依存の効果測定から脱却を目指す媒体が増え、複数のチャネルやデバイスにまたがるユーザーの行動経路を把握する重要性が高まっていることが考えられます。

Googleアナリティクス公式ブログも2017年12月(日本では2018年1月)に「ユーザーの行動を測定するためのGoogleアナリティクスの新機能」を発表し、ユーザーにフォーカスした機能をアップデートするとともに、以下のことを記載しています。

マーケティング責任者の約 90% は、マーケティングを成功に導くためには、複数のチャネルやデバイスにまたがるユーザーの行動経路を把握することが極めて重要だと考えています。
最近のユーザーはブランド各社が提供するユーザー体験に対して、驚くほど高いレベルのパーソナライゼーションや関連性を期待しています。このため Google では、複雑なカスタマー ジャーニーのすべてをより正確に測定できるよう、Google アナリティクスの機能改善に継続的に取り組んでいます。

リンク:ユーザーの行動を測定するための Google アナリティクスの新機能

上記の記事では、ユーザーの把握に利用できる4つの新機能として、「ユーザー分析」「ユーザーエクスプローラー」「ユーザーリスト」「コンバージョン見込み」について触れています。記事の冒頭と末尾に「ユーザー」という言葉が多用されていることからも、「セッション」軸から「ユーザー」を軸とした分析をしてほしい、というGoogleの意図が感じられます。

 

ユーザーレポートの概要と4つのユーザーレポート

今回はGoogleアナリティクスの「ユーザーレポート」正しく理解し、ユーザーの性質を数値から分析する手段をお伝えします。以下、ユーザーレポートの概要と4つのユーザーレポートをご説明します。

 

ユーザーレポートの概要

Googleアナリティクスはユーザーの性質を分析するために以下の「ユーザーレポート」を備えています。

  • アクティブ ユーザー
  • ライフタイム バリュー
  • コホート分析
  • アナリティクスのユーザーリスト
  • ユーザー エクスプローラ
  • ユーザー層分析
  • ユーザー属性(年齢、性別)
  • インタレスト カテゴリ(アフィニティ カテゴリ、購買意向の強いセグメント、他のカテゴリ)
  • 地域(言語、地域)
  • 行動(新規とリピーター、リピート回数や間隔、エンゲージメント、セッションの品質、コンバージョン見込み)
  • ユーザーの環境(ブラウザとOS、ネットワーク)
  • モバイル(端末)
  • カスタム(カスタム変数、ユーザー定義)
  • ベンチマーク
  • ユーザーフロー

最近では、Googleアナリティクス上で作成したユーザーリストのレポートが表示できる「ユーザーリスト」や、「コンバージョン見込み」が新たに反映されました。改めて「ユーザーレポート」全体を確認すると、Googleが「ユーザー」を軸とした新機能を積極的にリリースしていることが分かります。

次のページで、いくつかのユーザーレポートの使い方と活用方法をご紹介します。

 

アクティブユーザー

[レポート] > [ユーザー] > [アクティブユーザー]

Google Analytics アクティブユーザー

「アクティブユーザー」は、サイトやアプリに対するユーザーの関心レベルを把握することができ、過去の特定の期間に一度でも訪問があった「ユーザー数」を計測します。アクティブユーザーレポートは1日、7日、14日、28日のアクティブユーザー数を確認することができます。

上記レポートの期間が [2018/2/1~2018/2/28] の場合、レポート下部に表示される「1日のアクティブユーザー数」は [2018/2/28] のユーザー数、「7日のアクティブユーザー数」はレポート期間の最終日から過去7日間である [2018/2/22~2018/2/28] のユーザー数となります。

Google Analytics アクティブユーザー

 

例えば上記レポートの場合、「1日のアクティブユーザー数」の増減が「7日、14日、28日のアクティブユーザー数」の増減に影響していることが分かります。ユーザーの継続性を見ることができる「アクティブユーザー」レポートは、単純に訪問者数の推移ではなく、売り上げ増減の予兆など、様々な視点からの気付きを与えてくれます。

 

ライフタイムバリュー

[レポート] > [ユーザー] > [ライフタイムバリュー]

 

Google Analytics ライフタイムバリュー 1

「ライフタイムバリュー」もユーザーを対象としたレポートであり、各ユーザーがどの程度ビジネスに貢献しているかを確認することができます。チャネル別やキャンペーン別でも比較することができ、「有料検索で獲得したユーザーは、ソーシャル(FacebookやTwitter)で獲得したユーザーより収益性が高い」ということも調べられます。ライフタイムバリューの観点から収益性の高いチャネルを選定できれば、その後の予算配分の判断もできますよね。

例えば、クリスマス商戦やキャンペーンを実施している期間を選択し、キャンペーン期間中に獲得したユーザーのデータを分析することができます。上記レポートは [12/14-12/24] の期間で「ユーザーあたりの収益(LTV)」を降順にすると、「Referral」が最も高く、何かしらのブログや特集コンテンツを見せてからサイトに訪問させたほうが収益性が高くなるのでは、ということが考えられます。

Google Analytics ライフタイムバリュー 2

さらに「ライフタイムバリュー」レポートは「ユーザーあたりの収益」だけでなく「セッション数(LTV)」「ページビュー数(LTV)」も算出できるため、「ユーザーあたりのセッションのライフタイムバリューが〇〇日目では〇〇である」なんてことも分かります。現在指定可能なライフタイムバリューの最大値は90日間なので、気を付けてください。

 

コホート分析

[レポート] > [ユーザー] > [コホート分析]

「ライフタイムバリュー」レポートと似たような機能として、「コホート分析」があります。ユーザーの定着率、維持率を知るために使用されるレポートです。Googleアナリティクスでは、コホートとはディメンションによって識別された共通の特性を持つユーザーのグループを指します。時間の経過とともに変化するユーザーグループの行動が分かります。

Googleアナリティクス コホート

上記レポートは「過去7日」の「ユーザー維持率」を「日別」で表示した場合です。縦軸(赤枠)はその日に訪れたユーザー数であり、横軸(緑枠)は〇日目に来たユーザーの再訪問率が表示されます。[2018/3/7] は2430ユーザーが訪問し、次の日(第1日)に再訪問しているのが2.59%、その次の日(第2日)に再訪問しているのが0.91%、となります。[2018/3/9] に訪問したユーザーの第3日が2.80%と他の日より再訪問が多いことから、3/9に訪問したユーザーの訪れたコンテンツページに変化があったかを分析したり、アドバンスセグメントを適用して特定のページのコホート分析を行うこともできますよね。

もしセグメントを適用する場合、コホート分析はユーザーを範囲とするレポートであるため、セッションを範囲とするセグメントを適用しないよう気を付けましょう。

実用例として、「コホート分析」を用いてユーザーがサイトから離れるタイミングを理解することで、商品割引や新商品の情報をリマーケティングやメールキャンペーンでユーザーに再アプローチすることもできますし、割引商品をメールキャンペーンでアプローチした特定の1日におけるユーザーの収益のコホート分析も可能です。

「ライフタイムバリュー」と「コホート分析」は、分析次第では様々な施策を打つことが可能になります。ぜひ活用してみてください。

 

Googleアナリティクスのユーザーリスト

[レポート] > [ユーザー] > [ユーザーリスト]

Googleアナリティクスのユーザーリスト

Google 広告に日ごろから触れている方は、Googleアナリティクスでリマーケティングユーザーリストを作成した経験もあるのではないでしょうか。ユーザーリストを定義したら、Googleアナリティクスのレポートに適用して、簡単に分析ができるようになりました。「過去1年間で収益が〇〇円以上」のユーザーリストを作成し、特定の地域で商品を頻繁に購入していないか、行動に季節的な変動はないか、最も購入率の高い時間帯はいつか、など詳細に分析することができます。

ユーザー レポートでデータを確認するには、事前に以下の準備が必要です。

1、ユーザー属性とインタレスト カテゴリに関するレポートを有効にする
2、ユーザーリストを作成してGoogleアナリティクスに公開する

※ユーザーリストをGoogleアナリティクスに公開すると、その日付以降のユーザーデータがレポートに表示されるようになります。その日付より前のデータは、表示されません。また、Googleアナリティクスで公開したユーザーリストはセグメント、カスタムレポート、カスタムファネルにもディメンションとして適用できます。

あるユーザーリストが他のユーザーリストより良い成果を上げている場合、そのユーザーターゲットへの広告予算を増やす判断ができ、逆に成果の悪いユーザーリストは広告予算を縮小するといったことが可能です。またコンバージョン率が高いが集客数が少ないために予算を投下してもインパクトが少ないユーザーリストの場合、類似ユーザーリストを作成してある程度の配信ボリュームを維持しつつ、見込みの高いユーザーへの広告配信が可能となります。

広告運用に携わる者として、「ユーザーリスト」レポートの活用は最適なリマーケティング施策を行ううえでも必要です。

 

まとめ|「人ベース」とユーザー視点の分析を意識する

以上、ユーザーレポートの概要といくつかのレポートをご紹介しました。広告運用に携わる者としては、普段は見ないようなレポートも多かったと思いますが、ユーザー視点でサイト内のユーザー行動を見てみると、そこからは全く違った発見が得られます。

今回ご紹介したレポート
Googleアナリティクス レポート

分析を「セッション」軸から「ユーザー」軸へと意識をずらすことでユーザーの行動とそれを裏付ける心理状態の変化を把握し推測することができるのではないでしょうか。今回ご紹介したレポートを活用して、今までとは全く違う視点からクライアントに提案することができれば、相手も思わぬ気付きを得られると思います。「ユーザー視点」で物事を考えることを忘れないでください。

これらのレポートは、使い方によっては広告の効果改善も十分にあり得ます。少しでも気になるレポートがあればご自身で活用してみてください!今回ご紹介したレポートが、皆さまにとって少しでもお役に立てれば幸いです。

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第4回 Googleアナリティクスの新機能「コンバージョン見込み」の活用法

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