2017年の5月に、「Google Marketing Next 2017」で発表されたGoogleアトリビューションの事例がドイツ語でThink with Googleに公開されました。現状まだベータ版のため正式リリースはされておりませんが、もう間もなくリリースされるとの話も出てきております。今回は、改めてGoogleアトリビューションの説明と、公式として唯一のドイツでのGoogleアトリビューションの事例のご紹介をいたします。
※Googleアトリビューションのリリース時期ですが、2018年5月時点で、延期が決まった模様です。リリース時期が分かりましたら、改めてお知らせいたします。
Googleアトリビューションはどんなことができるのか
今まで、アトリビューション分析を実施するとなると、専用の分析ツールを導入するなどしていましたが、計測のために準備を要したり、分析にも時間がかかったりと、導入からアクションまでの期間が長くなったり、労力がかかったりするケースが多い状況でした。
また、Google AdWords(以下、AdWords)でもデータドリブンアトリビューション(以下、DDA)を使用することで、最適なアトリビューションモデルでの自動最適化を実施できるようになっております。しかし、AdWords単体チャネルのみを評価した上での最適化となっておりました。
Googleアトリビューションは、クロスチャネルなDDAモデルの評価を実施し、その内容を基に、AdWordsやDoubleclickへの自動入札まで対応できるツールになります。
Googleアトリビューションの設定方法と条件
Googleアトリビューションでは、GoogleアナリティクスとAdWordsのそれぞれと連携するのみで設定が完了となり、大変簡易的なものとなります。その代わり、アカウント作成時などクリアするべき条件が複数あります。
※以下条件は、2018年2月の情報のため、アップデートにより変更の可能性がございます。
■アカウント作成時の条件
- Googleアナリティクス(無償版)あるいは、Googleアナリティクス360(有償版)のアカウント内にプロパティが設定されている(そのうち少なくとも1つのViewでUSER IDを使用していない)
- Googleアナリティクスのプロパティ上で広告レポート機能が有効化されている
- AdWordsおよびGoogleアナリティクスのアカウントがリンクされている(MCCでのコンバージョン計測を行っている場合は、 MCCレベルでAdWordsおよびGoogleアナリティクスのリンクが必要)
- Googleアナリティクス360の統合型プロパティに接続されていない
- AdWordsの自動タグが有効化されている
- Googleアナリティクスの「ユーザー管理」権限を持つユーザーが、新Googleアトリビューションアカウントの管理権限を保有する。(アナリティクスとGoogleアトリビューションのリンク時に必要)
- AdWordsの「ADMIN」権限を持つユーザーが、新たに作成するGoogleアトリビューションの管理権限を保有する。(AdWordsとGoogleアトリビューションをリンク時に必要)
■GoogleアトリビューションをAdWords入札に使用するための条件
- Googleアナリティクスで目標あるいは e-commerceトランザクションが設定されている
- Googleアナリティクス目標あるいはトランザクションがAdWordsにインポートされている
- チャネル別のCV数をGoogleアナリティクス上で記録できている(Googleアナリティクスのトラッキングコードがすべてのページに設定されている)
■Googleアトリビューションで、DDAを使用するためのボリューム要件
- 過去1000コンバージョン/直近30日間を満たした場合のみ選択可能(全チャネルの合計。現在アカウント作成時はデータ蓄積後に 14日程かかります)
■正確なチャネル分析や精度の高い自動入札のための推奨項目
- 主要なチャネルや媒体に関しては、それぞれパラメータが振られていること
- AdWordsでDDAを使用されていること
各種ツールとDDAの違い
今回取り上げている、Goolgeアトリビューション以外に、「AdWords」「DoubleClick Search」「DoubleClick Campaign Manager」「Google アナリティクス 360」などでもDDAの機能を使用することは可能です。それらのツールと、Googleアトリビューションの違いとしては、クロスチャネル分析もできて、自動入札もできるという点になります。
例えば、「AdWords」や「DoubleClick Search」では、検索広告領域においてDDAで計測し、そのデータを基に自動調整されておりましたが、クロスチャネルでの分析はできない仕様となっておりました。それに対し、「DoubleClick Campaign Manager」や「アナリティクス 360」では、クロスチャネルで分析はできるものの、入札調整は手動で実施するため、アクションにつなげる部分にハードルがありました。
Googleアトリビューションでは、クロスチャネルで分析ができ、その上、AdWordsなどの自動入札もできる点において、他のツールよりも使い勝手の良いものだと言えます。
Googleアトリビューションの事例
Googleアトリビューションの公式事例は、2018年3月時点で1つのみ公開されております。
食材宅配サービスをグローバルで展開しているHelloFreshでは、ラストクリックでのコンバージョン評価ではなく、全チャネルを通してコンバージョン獲得効率を上げるために、Googleアトリビューションを導入いたしました。これにより、チャネルやデバイスの種類に応じたDDAモデルに基づく完全自動入札を実施し、コンバージョン数を10%増加、コンバージョン単価(CPA)も6%改善する結果となったそうです。
おわりに
アトリビューション分析をする際は、ツール費用がかかったり、準備や分析に時間がかかったりと、必要性はわかっているけれど、実行に移すのが難しい状況だったかと思います。今回のGoogleアトリビューションは、無料かつ調整まで自動でできるということで、広告運用の効率化、自動化に拍車がかかります。どのようなデータをどのくらい、AIに与えられるかで成果を左右することが考えられます。Googleアトリビューションが、リリースされたらそのような視点を持ちつつ、活用して行きたいと思います。