2017年の売上は1,109億ドル(約12.2兆円)で着地
2018年2月1日、Google の親会社であるアルファベット社は2017年第4四半期(10−12月:以下「Q4」)の決算を発表しました。
アルファベット社の2017年Q4の売上高は323億ドル(約3.5兆円)を記録し、昨年比で+23%を記録しました。2017年全体で見ると、1,109億ドル(約12.2兆円)を記録し、昨年比で+23%の成長となります。
しかしながら、2017年Q4には米国の新しい税制に関連した費用として90億ドルの損失を計上しており、全体としては30億ドル(約3300億円)の赤字を計上しています。2017年6月にはEUからEU競争法(独占禁止法)違反として24億2000万ユーロ(約3000億円)の制裁金を支払うように命じられており、2017年はアルファベット社にとって逆風が吹いた年だったと言えるでしょう。一説には、アルファベット社は2017年に全米でもっともロビー活動に費用をかけた企業と目されていますが、これらの費用もこうした逆風に対応するためのものと考えられます。
モバイル検索が成長を牽引
内訳を見ますと、検索、Map、YouTube などの Google が保有するドメインを指す “Google properties” 経由の売上が222億ドル(約2.4兆円)。ディスプレイ広告やプログラマティック広告などをはじめとするGoogle 以外のドメインを指す”Google Network Members’ properties” 経由の売上が49億ドル(約5400億円)となり、2017年Q4の Google の広告全体の売上は272億ドル(2.98兆円)となりました。
Google Cloud や Google Home, Play などの広告以外の売上は46億ドル(5054億円)を記録し、Google 全体の売上の約15%を占めるまでに成長しており、またAlphabet 傘下の Google 以外の子会社経由の売上も4億ドル(約44億円)と2016年のQ4から約2倍に成長しています。
アルファベット社の CFO の Ruth Porat 氏によれば、これらの成長を牽引したのは主にモバイル検索であるとのことで、下の図の Google Properties 上での広告クリック数が2016年に比べて48%上昇していることからもその様子が伺えます。
一方で、全体のクリック単価は-14%とマイナス成長ではありますが、新興国経由のクリック数の増加や、為替の影響などに大きく左右される数値ということもあり、この数値自体がアルファベットの成長の先行きを暗くするものとは考えられないでしょう。
APAC と Other Americas が成長率ではトップ
地域別に見ますと、US:+21%、EMEA:+24%、APAC:+30%、Other Americas:+31% となり、日本を含むAPACとOther Americas の成長率が高いことが前述のCPCの低下を裏付けているかと思います。
Facebook については近日中にまとめ記事を掲載する予定ですが、下の図の通り、Facebook の2017年の売上は406億ドルを記録しており、Google の3分の1まで迫りつつあります。
また、Booking.com やAgoda を保有する Priceline Group と、Expedia や Hotels.com などを保有する Expedia, Inc. は2016年にそれぞれ35億ドル、43億ドルを検索連動型広告に投資したという報道もあり、この2社だけで Google の売上の約10%を占めていたことになります。この傾向は2017年も続いていたと考えられ、これらの広告主の動向からも目が離せません。
Amazon の earnings call には広告収入に関する内訳は今のところ記載されていませんが、今後どのような動きがあるかも気になるところです。Unyoo.jp では、引き続き四半期ごとに各社の決算状況をアップデートして参ります。