目次
進化が続く位置情報を活用した広告配信
運用型広告の世界では、オンラインでの広告配信がオフラインの行動にどのような影響を及ぼしているかを計測することが長年の課題でした。インターネット広告の黎明期から、センサーやビーコンなど様々な技術を駆使して試行錯誤が進められてきました。近年では、モバイルデバイスの普及によって、これまでよりも手軽にオフライン行動を計測することが可能になり、日進月歩で進化が加速しています。
Unyoo.jp では、位置情報シリーズと銘打ちまして、過去にシナラシステムズジャパンの松塚さん、グーグルの信濃さんに位置情報に関するインタビューを行ってきました。今回は位置情報シリーズ第3弾として、xAd (エックスアド) の安里さん、近藤さんにお話を伺ってきました。xAd の持つ、位置情報に関する独自の特許技術を中心にのこれからの広告の運用に関してお話を伺ってきましたので、ぜひご一読いただければ幸いです。
話し手:
xAd Head of Japan 安里勇吾さん
xAd VP Brand Sales 近藤洋司さん
聞き手:
アタラ合同会社 杓谷 匠
※このインタビューは2017年4月中旬に行われました
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杓谷:まずはお二人の役職とこれまでのご経歴について伺いたいと思います。まずは安里さんからお願いできますか?
安里:安里勇吾と申します。xAd でカントリーマネージャーをしております。僕は大学からアメリカで、社会人もカリフォルニアから始まりました。大学の専攻が心理学だったのですが、副専攻でコンピューターサイエンスを取っており、そちらの方が圧倒的に良かったこともあり、それがベースでウェブマスターのようなことを始めました。
当時、ローカルの小さな企業のウェブマスターといいますか、そういうポジションができあがりつつありました。まだヤフーやGoogle のサーチが始まったときくらいですかね。オーバーチュアがヤフーに買われていないときです。
ウェブサイトをデザインしながらサーチマーケティングに興味を持ち、それ以降はずっとアドテクに携わっています。日本のオーバーチュアに入社し、自動的にコンテンツを生成するようなテクニカルな役割を担当した後、Right Media という、当時は世界初のアドエクスチェンジの立ち上げに携わり、近藤と出会いました。当時 RTB (Real Time Bidding) なんかが出てきましたが、Right Media にはすでにそういう概念があったんで、どうして RTB が騒がれているのかなと思っていました(笑)。
その後、「行動ターゲティング」という言葉を生み出した会社と言われている AudienceScience の日本法人立ち上げを行い、xAd に入る前はフリークアウトの米国法人立ち上げを行いました。フリークアウトは当時デスクトップの DSP しかない状態で米国進出をしたのですが、1ヶ月も経たないうちにデスクトップの DSP には勝機がないことが分かりました。トレーディングデスクになりそうな会社の CEO や SVP (Senior Vice President) などのレイヤーの方々に会うと、「デスクトップは圧倒的に遅いから止めた方がいい」とのことで、もう一つリサーチをしていたモバイルで行こうと決め、モバイルを始めました。
両軸でリサーチをしていて当時面白かったのが、モバイル RTB は40社くらいサプライサイドがいると聞いていたのが、実は2社くらいしかなく、話してみると皆マーケティング先行で実際にはまだ開発に着手していなかったんです。モバイル DSP の黎明期を米国で味わいました。
そのときに、スタートアップのピッチのような、5分ずつで5社くらい選ばれた者が評価されるイベントで僕のピッチの後に話していたのが、xAd の CMO であるモニカでした。当時 xAd も今のモデルになりたてで、モバイルといえばロケーションというのは皆が注目していたところでした。僕としては負けたくないつもりでピッチをしたのですが、xAd は非常に大きくなって圧倒的な差がついてしまいましたね(笑)。そうしたことがあって「入らないか」と声をかけていただき、ジョインしたという流れです。
杓谷:今までのお話を聞いていると、それぞれの会社でひとつずつ深堀りしてお話を伺いたいくらいですね。
安里:スタートアップのときは資本主義が徹底しているのでなかなか面白いですよ。悪い言い方をすると中身のない会社もたくさんありました。スタートアップを本気でやるなら EXIT 戦略を持たないのは相当難しいと思います。黒字化を狙っていないケースも多いですが、僕らは子会社として黒字化を絶対狙わないといけませんでした。
杓谷:続いて、近藤さんの現在の役職とご経歴を教えていただけますか?
近藤:ブランドセールスの統括をしている近藤洋司と申します。主に直接広告主様にお伺いし、現在はどちらかというと啓蒙活動のような仕事をしています。
私はセプテーニグループの新卒の内定者としてアルバイトを始めたのが2000年9月です。そこから丸16年ほどセプテーニグループでデジタル広告に携わっています。AdWords が日本でローンチをして、日本で初めて営業に行くときにグーグルの営業担当者とご一緒していました。正直僕はあまり AdWords 的な、今でいうリスティング広告はあまりはまらず、主にはブランドパネルやディスプレイのバナー広告のセールス、メディアの仕入れなどを何年かずつやってきました。
xAd に入る直前は、イーグルアイというトレーディングデスク会社の子会社の代表をしており、3年弱ほどで本社に戻りましたが、その時期に趣味の延長戦で作っていたカオスマップというものが意外と世の中の方々に使っていただけるようになりました。
同じ時期に安里と仕事を一緒にする機会が多くありました。自分はディスプレイ広告には引き続き熱い情熱はあるのですが、デジタルにおいて何か完結するビジネスモデル、例えばアプリケーションのインストールやECというよりも、小売やリアルの店舗に人を送り込むような施策の方が市場規模というか、やれることが多いのではないかと考えていました。そんなときにたまたま安里が xAd にジョインして日本で立ち上げると声をかけてもらったので、約1年半前に縁があって参画できたのが、今に至る経緯です。
アドテクに熱心であるように見えつつ、ネット広告以外で働いたことがないので、ひたすらそこにしがみつきながらどんどんキャッチアップしていく感じですかね。
2021年までに米国で3兆円の市場規模
杓谷:お二人が位置情報に興味を持ち、xAd にいらっしゃる理由を聞かせてください。
安里:市場規模の話は近藤からもありましたが、米国のリサーチベースですと、2021年までに位置情報を利用したキャンペーンの割合が45%くらいにまでなるというリサーチがあり、3兆円ほどの市場規模があるというのが建前としてあります。
ただ本当のことをいうと、データとして圧倒的に面白いかなと思っています。デジタルの人の行動とオフラインを考えたときに、デジタルは例えば10分間に5つのことを検索して、4つのウェブサイトを見ることができますよね。でもその中でどれが本当に興味があるのかはよく分からない。サーチのコンバージョン率が平均的に2~5%ですよね。インテントの強さはその程度なんです。
位置情報で見ると、ある人がサッカーの試合を見に行った後ジムに行き、帰りにバーに行ったとすると、1日に3つのことしかできない。本当に興味があることをしているわけですよね。サーチやソーシャルもそうですが、衝動的に行うことがありますよね。自分の本当の意図とは関わらずというか、友達が Like しているからすることもあるだろうし、ニュースに影響されてちょっと検索するといったこともあるので、本当の深層行動ではないことがありますが、位置情報に関してはそれがノイズとしてなくなり、その人の行動が綺麗に分かる。
データとして見たときにインテントが強く、何も考えていないときの人間の行動なので、消費者やユーザーの行動の特徴をうまく表現できており。そういうところが非常に興味が湧きますね。
杓谷:近藤さんはいかがでしょうか?
近藤:基本的には同じですね。今までやってきたデジタルのバックグラウンドを生かしながら全然違う業態、例えば僕らが大手のショッピングモールに営業に行くことは前職では考えられませんでした。店頭のことを考える機会はあまりなかったので、それが日頃使っている小売の店舗に、どういうことをしたらこういうターゲティングができ、こんなキャンペーンができると考えられるようになったのが、すごく新しい発見でした。そこにこういう位置情報を活用したテクノロジーがはまり始めている点が、モチベーション高く取り組めている理由です。
杓谷:今まで我々が携わってきたデジタルの世界は氷山の一角で、ようやく準備が整ってきたというようなわくわく感を感じますよね。
近藤:本当にそう思いますね。
安里:米国では、USセンサスのデータで、未だにビジネスの90%くらいがオフラインで行われているというデータがあります。日本にはそういうデータがないので、僕らが独自にリサーチを行っており、約2200人のユーザーにアンケートを行いました。こういう商品を買う場合にはどのような行動でどこで買うかといった調査を、ファーストフード、自動車、リテールの3つのカテゴリーで行いました。合計は90%です。ファーストフードと自動車は当然オフラインとなりますが、実はリテールも75%がオフラインなんです。オンラインが伸びているとはいえ、リテールですら約25%しかありません。ユーザーは時間的にも経済的にもまだまだオフラインに投資していることがリサーチでは分かっています。
杓谷:日本ではEコマースは小売全体の7%ほどしかなかったと記憶しています。そういう意味ではまだまだポテンシャルがありますし、Amazon がシアトルの本社に IoT をフル活用した店舗を作ったことが話題になりましたが、テクノロジーの進歩によってもますますEC化が進んでくるのかなと思います。
安里:アパレルなどは一気にEコマース化が進むのではないかと思ったのですが、若い人達もオフラインに戻ってきています。オンラインで Amazon、楽天などで買うのが僕らの年代だとすると、若い人達はあまりそこでは買わなくなっており、オンラインもチェックをして、最終的にはオフラインで買うことが増えてきているようです。
そうそうたるメンバーが参画するxAd
杓谷:続いて、xAd について教えてください。
安里: xAd の立ち上げは2009年で、位置情報という軸はぶれていませんが、元々はローカルサーチを行っていた会社です。ただ、ローカルのサーチは規模が大変で、約5年前に今のモデルになりました。
杓谷:今から5年前というと2012年頃で、日本ではちょうどアンドロイドが普及し始めた頃ですね。
安里:弊社のファウンダーがディパンシュ(Dipanshu)という者で、僕らはDと呼んでいますが、彼は元々 Nokia のリサーチャーで、色々なパテント技術を作るリサーチをしており、xAd の前に一度スタートアップを売却していますが、ずっとモバイルに携わっています。営業側にチャド(Chad)という CRO (Chief Revenue Officer) がおり、彼が初の営業として参画した時期に本格的にアドでやっていくということで、本拠地をウェストコーストからニューヨークに移しました。
チャドと同時期にチーフマーケティングオフィサーであるモニカ(Monica)が入りました。弊社はマーケティングに力を入れている会社であるのが面白い点です。会社がある程度大きな規模になってきたときに、元々 MySQL の CFO だったスティーブン(Stephen)が CFO として入りました。
直近ではComScoreの元 CEO であるサージ(Serge)が我々のプレジデントとして入っています。以前はオペレーションを全て D が管轄するラインでしたが、今はオペレーションに関してはサージが見るかたちになっています。
2016年には元々ヤフーの CTO だったシャーシ(Shashi)が我々のチーフプロダクトオフィサーとして参画しました。彼は業界でも知られており、シリコンバレーで最もイノベーションな10人にも選ばれています。我々は真剣にブランドのことを考え、アドバイザリーボードや CMO レベルも実績のある人達が集まっています。Dunkin Donuts の元 CMO をしていた者やMcDonald China の CMO、FitBit の CFO がボードにいます。
杓谷:そうそうたる面々ですね。
安里:広告配信のところまでをビジネスの軸としていたのですが、今後はインサイトに力を入れていくのが我々の方針なんです。そういったブランドの方々の CMO がどういう観点で見るか、現場の人はどういうものを見て触っていきたいかといったことを学び、それをプロダクトに反映させています。
杓谷:そういう意図があってのことなんですね。日本でのサービスローンチはいつでしたか?
安里:正式ローンチが2016年1月です。僕と近藤が1年半前に入ったときには、まだプロダクトを作りながらのフェーズでした。
杓谷:どれくらいの人数でやられているんですか? 営業の方が多いのでしょうか。
安里:9人で、営業は半々くらいです。ユニークなのは、日本にもデータサイエンスチームを持っており、独自のサービス展開ができるところです。それから、自動的に建物をポリゴン化して訪問を測る Bluprints と呼ばれる技術があり、その日本のリードもローカルに担当者を置いていたりと、テクノロジーに対するコミットメントは高いですね。外資系ですと営業のみのところもありますが、それでは僕もやりたくなかったですし、日本でもテクノロジーの展開にこだわりたかったというのがあります。
2つの特許技術「Footprints」と「Blueprints」
杓谷:続いてサービスの概要について教えていただけますか?
安里:特許技術の2つをまずご紹介させていただきたいのですが、一つはリアルタイムベリフィケーションのFootprints という技術と、もう一つが自動ポリゴン技術のBluprints です。
Footprints
リアルタイムに訪問を計測するシステムです。これは100%の処理ではブラウザが落ちてしまうので。20分の1くらいで抑えています。大変な数のPOI (Point Of Interest) のデータを持っているので、ありとあらゆる訪問を計測できます。
例えばセブンイレブンでフィルターをかけ、月間で訪問者数も見られますし、青がセブンイレブンで赤が競合といったように分けることもできます。
Blueprints
訪問のカウントの仕方がユニークで、自動的に画像処理でポリゴン化する技術を有しており、これがBluprints と呼ばれる技術です。
例えばセブンイレブンは日本全国に1万8000弱の店舗あるのですが、全てがポリゴン化済みになっています。画像からポリゴンが自動的に生成され、さらにそれを承認するチームがインドにいます。
杓谷:きちんとポリゴンを人の目を介して審査もしているんですね。
安里:Blueprints には3つのレイヤーがあります。緑の部分はインストアという、建物の内部です。何階という設定もできるのですが、高度を取得しているアプリがまだ少ないので、箱として用意している状態です。駐車場も確保しています。駐車場はモバイル端末を使う機会が非常に多いため、そのモーメントを逃したくないと考えています。この緑の部分に入ったときに、訪問としてカウントします。
以上のデータをもってどういうことをしているかというと、僕らが提携しているアプリが、エクスチェンジも合わせるとおそらく合計4万程度あります。緯度経度の位置情報データを大量に持っている媒体は基本的にユーザー数の多い媒体が多いですね。こういったアプリからリクエストをもらい、ロケーションデータが入ってくるイメージです。
当然IDFA ( Identification For Advertisers。Appleが発行する広告用のID) やGoogle のAAID (Android Advertising ID。Google が発行する広告用のID) もついて入ってきます。それらを座標で、この人はこの建物の中にいる、周りに何があるということをxAd が全て把握します。
他のターゲティングは郵便番号、City、Stateなどですが、City、State を緯度経度で表すと、11cmの精度のポイントでしかありません。緯度経度の判別から、市区町村などそれぞれのロケーションのポリゴンがあるので、そこに当てはまるかを見ています。周りのストアのポリゴンに当てはまるのか、周辺に何があるのかを見て、次に市区町村や都道府県も判断しています。
リアルタイムに配信するもの以外には2通りのターゲティング技術があります。
例えば消費財系のクライアントで、全国の保育園の周辺に来た人全員にターゲティングしたいときには、その周辺に来た瞬間に広告を出すといったオフラインのリアルタイムな行動に対しての配信技術が一つ。
もう一つは、過去に保育園にいたかどうかを履歴から確認し、実際に保育園に行ったことのあるユーザーに広告を出す、という2通りのことをしています。
リアルタイムな位置情報データに基いて広告を配信するのか、もしくは「過去にどこにいた」から広告を出すのかの2軸で広告を配信することができます。
杓谷:位置情報の取得は基本的にはGPS 経由ですか?
安里:その通りです。アプリ側のGPSの情報です。
杓谷:Wi-Fi などのデータは取得していますか?
安里:Wi-Fi のIPアドレスなども送られてきますが、使い道が結構違っていまして、IPアドレスですと市区町村レベルのターゲティングまでしか使えないんですね。そういうものには使います。ただ履歴ベースではIPアドレスや緯度経度は関係なくIDFA なので、そのまま使っています。正確には半径何m、何kmなど、建物の中のターゲットには緯度経度のみが使えます。
杓谷:先ほど約4万アプリと提携しているというお話がありましたが、Facebook のようなユーザー数が多いものとも提携しているのでしょうか。
安里:Facebook ですと、例えば履歴ベースのものはおそらく提携できる可能性はあると思うのですが、リアルタイムの位置情報データに関しては、基本的にはウォールド・ガーデンなので、そんなに簡単には提携させてくれないかなと思っています。
一般的に弊社の競合と呼ばれるところは皆履歴しかやらないんですよね。というのも、例えば10万店舗のディーラーシップを全国でターゲティングしたときに、リアルタイムで当てるのはインフラストラクチャー的にかなり複雑な仕組みであるのと、強固な仕組みがないとできないんです。
履歴ベースは事後に作れるので、ハードルはそんなに高くないんですね。リアルタイムの配信が大きなポイントで、特に外出している人は1.5倍ほど何かを購入する可能性があるのですが、そのモーメントを逃さないよう、そこは妥協してません。
フェンスによる訪問計測の課題
なぜポリゴンに取り組んでいるかをお話ししたいのですが、今一般的に言われているモバイル端末を介しての位置情報アドテクベンダーの訪問計測方法というのは、フェンスという技術を使っています。僕らのBluprintsでは1人とカウントできているときに、一般的に今ある技術では約25m使っているんです。
杓谷:フェンス形式ですと、測定の範囲がかなり広いんですね。
安里:25mだと実際の訪問者数の20倍の人数を訪問としてカウントしているという試算があります。そのため本当の訪問か、という疑いが最初にあります。大きいところだと50mを使っているところもあります。競合他社のサービスでは、POI データはあまり持っておらず、広告主から店舗情報をもらって、それをGoogle やゼンリンのAPI にかけ、緯度経度に変換しているんです。例えば、APIで取得できる中心点の緯度経度は、実はそもそも建物の真ん中ではないケースが多々ありますし、建物が密集していた場合、フェンス形式ですと隣の建物に訪問した人や、それこそ隣接した建物の住居人を訪問としてカウントしてしまいかねません。
そういうことがあるので、僕らは訪問にこだわってポリゴン化しています。現在、一部でコストパービジット(来店単価)という話も始まっているのですが、僕らのサイエンスチームが調べている限りでは、20mのフェンスを使用した場合はコストパーニアバイでしかない。おそらく訪問をしていない人が多いのに、20倍も取れて本当に嬉しいんですかという話ですね。
杓谷:ほんとは来店していない人を来店としてカウントしてしまっている可能性が高く、本当のコストパービジット(来店単価) が計測できていないのではないか、ということですね?
安里: おっしゃるとおりです。フェンスのサイズを狭めて精度を高めていくというやり方も取れますが、今度は逆の問題もあり、5m だとフェンス形式の場合、中心点がずれるとそもそも全部ずれてしまいます。
また、今度はショッピングモールのような大きなストアでフェンス5m となると、例えばBlueprintsで計測できる訪問の2%くらいしか取れないんですよ。フェンス方式では訪問計測の精度が低くなるか、逆に広い建物では、訪問計測のボリュームが取れなくなるか、どっちかのジレンマに陥ります。
杓谷:建物の形をしっかり定義しておかないと正確な訪問データを取得できないということですね。
安里:建物をポリゴンで形作る弊社のBlueprints は特殊技術なので、他社に真似できないところであり、近藤がこの技術のエバンジェリストになっています。
フェンスの中心点がずれているという話も知られていないと思うのですが、実はかなりずれるんです。僕らはBluprints のポリゴンをお客様にまず全部見せます。フェンスは裏で数式で当てているだけなので、不透明さもあったりします。
それから、今力を入れているのがインサイトの部分で、僕らはPOI(Point of Interest)データを大量に持っています。その理由は、一つのリクエスト、座標だけ乗っているデータは使い道がなく、そもそも市区町村のポリゴンが必要であり、この人はどういうコンテクストがいいのかといったときに、周りの情報がないと捨てるしかないんですね。
自社店舗だけのターゲティングのようなことをしていると、それ以外の緯度経度は意味を付けないで捨てないといけないか、もしくは履歴ベースでしか使えないんです。僕らはリアルタイムに全ての緯度経度の情報を持ち、リクエストに対して意味付けをする大事な作業を行っているので、POIデータにはこだわっています。
大量なデータを自動的にインデックス化をする技術もありますし、際限なくリアルタイムに対応できるのがポイントとしては大きいですね。10万店舗でも一気にできます。実は上限があるケースが競合他社さんの場合は多いです。
杓谷:それをリアルタイムでやり続ける技術力はすごいですね。
安里:外にいるときは、その出来事を覚えやすい環境にあると思うんです。先ほどの保育園と幼稚園に向かっているお母さんの話でいうと、向かっている途中はお子さんをピックアップするマインドセットになっており、頭の中には保育園や幼稚園がありますよね。
そこでアプリを使っているときに例えばぱっとおむつの広告が出るとスッと入りやすい。「今切れそうだから買おう」「新商品を買ってみよう」などと、五感を生かせる環境にあるので、覚えやすいかなと個人的には思っています。
広告に自動的に最寄り店舗までの距離を差し込んだり、クリック後に動的にランディングページを作り、例えば経路のボタンを押すとそのままその店舗に行けるなどといった機能も持っています。
杓谷:行ったことのある場所に基いてユーザーをセグメントすることができるんですね。
安里:そうですね。ヒートマップも出しており、町丁名レベルで出せます。大体どこでリーチできたかは市区町村レベルですが、それを町丁名レベルで、クリックでもクイックスルーで出すこともできます。
広告を見た人とクリックした人の分析がさらに細かくでき、見た人は他にどういうカテゴリのショップに行きがちなのか、もしくはクリックした人は反応したのかを見ることができて、反応したユーザーの属性も判別できます。
例えばトヨタのディーラーシップに行ったユーザーが、他にどういうブランドに行っているかが分析できます。
これはキャンペーンをしなくても分析できる項目で、トヨタのユーザーを見ると、ホンダ、日産、三菱、マツダなど、検討するために国産車のディーラーシップに行っているのが分かります。あとはマックスバリュやガスト、TSUTAYA、ラウンドワンなど、ファミリー系のショップが多いです。それからトヨペット、トヨタレンタカー、レクサスなど、トヨタのユーザーは非常にロイヤリティーが高いことが分かります。
一方、アウディでは、HQと書いてあるのが上場企業をBluprints しているのですが、HQが非常に上位にあります。つまり、上場企業から直接ディーラーシップに行かれている方々が多いと。お話を聞くと、役員クラスの方などがランチや帰りに来たりするそうなので、そういうことが顕著に表れていますね。国産車で被っているのは唯一ホンダだけなんです。他は一切なく、ファミリー系のショップもなくて、タリーズやスターバックス、ルノアール、ドトールなどのコーヒーショップ、あとはジムなどがあるので、属性がいかに違うかが綺麗に分かりますね。
杓谷:マックスバリュや西友も入っているので、元々車を持っていそうなのも分かりますね。
安里:これは米国でも行っていますが、日本は独自の観点で、例えば会社での親和性なども見ています。あとは例えばルートマップで東京ディズニーランドに来ている人を町丁レベルでどういうところから来ているかを分析したり、赤が割合が多い人なのですが、これをトップ50くらいのブランドさんにはお出ししています。
現在新しい仕様として力を入れているのが、SVL(Store Visitation Lift)という、ビジットを実数値ではなく、広告を見た人達と見ていない人達の訪問率の差を比べるものです。
非接触のコントロールグループの人達もターゲティング対象に入っているけれどしない、と明確にして、そのオーディエンスの標準化を図り、訪問率の差を見ます。
なぜこうしているのかというと、まず僕らはフェンス形式のように本当は訪問ではない訪問といったものを使っておらず、全て本当の訪問です。
例えば、広告を見て店舗に行ったときに、僕らが提携しているアプリを開かないケースがあります。そういったときはどうしても技術的に逃してしまうタイミングになります。ただプランニングがうまくいっていて訪問しているかもしれない。そのロストする確率がどうしてもあるので、広告を見たときの影響の差できちんと見れば、広告がうまくいっているかどうかが分かるだろうというのが僕らの信念なんですね。
率で見るのは正しくないというか、行ってない人の訪問を含めるなどの発想ではなく、行った人をベースに、広告を見た場合にどれくらいの差がでるのかを測る仕組みになっています。
ファーストフードなどですと、例えば60%の差が3日目で出たり、リテールでは14日で54%出たり、比較的綺麗に出ています。サンプルは元々ターゲティングされる属性の人達だけで広告しないので、例えばクリスマス商戦に伸びるようなリテールを見ると、12月の初旬と中旬で、オレンジがコントロールグループで、青が広告接触グループです。
見て分かるように、14日までどんどん訪問率が上がっているんです。広告を見ていないのに上がっているのは、その人達がそもそもこのショップに行く前提だからです。ただ僕らのキャンペーンは、常に50%以上の訪問率のリフトが見られます。季節性も加味してのリフトが見られるのがポイントです。価格帯が高い、検討時間が長い商品に関しては2倍ほどの差が出てきます。そういったところまで分かることが僕らの差別化かなと思っていますね。
杓谷:こういったデータがしっかり数値として計測できるのは素晴らしいですね。
安里:アフィニティのデータなんかも面白いものが出るんですよ。フェンスをベースとしたデータで行うと、訪問していない人のアフィニティを探そうとするので出ないんです。ただの通行人を含めたジェネラルなデータになっているので、なぜ弊社の競合他社さんがそういうものを出さないのかなと思ったのですが、冷静に考えると、おそらくリフトが非常に出にくいからなんだなと最近思いました。
ポイントとしては、リアルタイムに訪問を計測して、その一つ一つをスコアリングしています。全部0〜99点までのスコアを付け、それで使えるデータ、使えないデータを判別しています。
そうしている理由は2つあり、日本ではまだ始まっていないのですが、アメリカですと、悪意がないパターンとしては、IPアドレスを無理やり緯度経度に変換して送る人達がいます。それはユーザーの動きでなく、アクセスポイントの位置なので使えない情報です。そうしたものはきっちり弾かないといけないため弾きます。
もう一つは、エクスチェンジ経由などから入ってくるリクエストで、ロングテールのアプリなどですと、どうしてもデジタルの広告ではあることかなと思うのですが、僕らのような会社が大きくなってきているので、緯度経度を入れ込むと入札額が上がるのではないかという思い込みのもと、ランダマイズして送ることが一部で始まっています。
僕らはそれもきっちりと弾く技術を入手しています。日本でもそういった反射が出ることに備えて準備しないといけないので、そこも特許技術の一つです。
杓谷:正確にデータを取るところに非常に強いこだわりを持っているんですね。具体的にはどういった広告主様が xAd のサービスを使われているのでしょうか? 店舗を持った広告主様がメインでしょうか?
近藤:自社の店舗というところにこだわりはあまりないですし、マーケットもあまりなく、もちろん店舗に集客を図りたいというキャンペーンもあるのですが、特定の1店舗にだけ集客を図ろうとすると、あまりスケールしません。
僕らの場合は、自社の店舗であれば全国に100店舗以上ある各店舗の商圏に対して広告を配信しましょうといった、比較的規模の大きいものが多いです。
それからユニークだなと思うのが、流通の店舗をゴールにして、メーカーのご予算で集客をするんですね。ホームセンターやスーパーマーケットに置いてあるような生活消費財、美容関係や食品などの消費財のプロモーションで、自社の店舗ではなく流通の店舗に送客をする仕組みというのも案件としては増えてきています。これもやはり1店舗だけの話では全くなく、多いものでは2〜3万店ほどのストアに対して、送客をしたいといったメーカー様からの案件もあります。そういうリアルのゴールもありますし、対象となる場所が何万、何千といったケースの方が、キャンペーンとしては多くなってきていますね。
杓谷:いわゆる、認知を目的としたブランド系広告主と獲得を目的としたダイレクトレスポンス系広告主で言うと、ブランド系広告主の方がお客様としては多いのでしょうか。
近藤:圧倒的に多いですね。そこには日本法人の設立当初からのこだわりがあります。ダイレクトレスポンスを否定するつもりはないのですが、僕らが今やるべきなのは、まずはロケーションマーケティングをどれだけ普及させるかだと思っているので、ブランドの各社様にお邪魔して、「CPA をどんどん良くしますよ」ということは一言も言っていません。「今までになかったターゲティングの手法でこれから伸びますよ」という話から、こういった仕組みをご理解いただいて、まだまだチャレンジしていただいているような状況なので、ほぼほぼブランドのお客様です。
杓谷:それもすごいですね。
安里:ダイレクトレスポンスのお客様はあまり多くないですね。
近藤:ダイレクトレスポンス系のお客様は、新しいテクノロジーへの投資というよりは、短期でのコストという感覚が強いケースが多いので、今の時点では僕らも無理にご案内していません。
安里:今までなかったテクノロジーやインサイトに価値を見出していただいているのが大事なことなのかなと思います。
杓谷:KPIの立て方はどういったものになるのでしょうか?
近藤:今までリーチできなかったユーザーに対して、どれだけ高い純度でリーチを取れるかという話が僕の営業の中では中心になってきています。
今まではFacebook やGDN(Google Display Network) などのデモグラフィックの情報でターゲティングをしていたお客様が、デモグラフィック上で見えないユーザーの属性が求められてきています。
先ほどの例のように、幼稚園や保育園で送り迎えをするお母さんといったターゲティングをしたい場合に、何万件という幼稚園や保育園の送り迎えの時間帯だけにピンポイントでリアルタイムに配信するので、ある程度高い純度で該当するユーザーが含まれるだろうという話をさせていただいています。
同じように大学なんかも広いキャンパスの中でユーザーはたくさんいるのですが、従来の仕組みで18〜20歳にあまりターゲットできなかったりもしますので、学生に対するリーチを取りたいところで、僕らの仕組みを使っていただくケースも増えています。それも対象となるターゲットへのリーチがどれくらい含まれるかをかなり重要視していただいているのではないかと思います。
杓谷:リアルタイムにその場にいる人達に対する広告配信と、過去の訪問履歴に基づいた広告配信は、どのくらいの比率でしょうか。
近藤:7:3くらいでリアルタイムの方が多いです。
正直、広告営業の観点から言うと、リアルタイムのターゲティングでコンバージョンを取ろうとするのはかなりハードルが高いですね。営業としては「かなり取れますよ」と話をする方が楽なのですが、先細りになる可能性があります。在庫が潤沢になるなど仕組み的により洗練されてくると、いずれはそういう時代も来るとは思いますが、現時点でまだそこまでは行き着いていないかなと思っています。変に先細らないよう色々な選択肢を見ていただいて、3年後か4年後か分かりませんが、それが最適化できるタイミングでそうなっていけばいいのかなと思っています。
安里:あるとすれば大規模系のクライアントで、SVL(Store Visitation Lift)をやるケースですね。
近藤:先ほどご紹介したようなリアルの店舗への送客を見たいというお話がやはり多いので、ディーラーさんが1ヶ月のキャンペーンをして、その30日以内にどれくらい来店したかを、実数よりは広告接触者と非接触者とのリフトを見ていただく方が納得感があり、そこを一つの指標にしていただいていたりもします。
安里:そのSVLのビジットも僕らはきっちりノーマライズで行っています。広告を常に見ている人は勝手にそこに行く可能性が高いため、それも僕らは排除しています。そこまでしてリフトを出しています。
杓谷:本当に精度にこだわっていますね!
安里:昨年のGW 中にエナジードリンク系のクライアントが面白いターゲティングをしていたんです。
そのとき最初にコンビニやスーパーで出すなど、皆さん最終購入地点を挙げるパターンが多いんです。そうではなく、どこでエナジードリンクを見たときにインパクトがあるかを考え、GW はおそらくお父さんなどが遠出で車を運転しているケースが多いことから、全国のサービスエリアにしたところ、クリック数が8倍などと圧倒的に異なりました。サービスエリアでお子さんがトイレに行ったり食べ物を買いに行き、車で待っている間に疲れているとクリックしたくなるんですね。
それから、成人を迎える方々にアルコール飲料のメーカーさんがキャンペーンを打ちたいといった例がありました。まずスーパー、コンビニや成人式のセレモニーである会場、周辺のバー・居酒屋をターゲティングしようというアイディアがでました。
ただ、ユーザーの行動を考えた場合、午前中の着付けをする美容院なんかだと、待ち時間が長いので携帯をかなりいじっているんじゃないかと。実際に、ターゲティングしてみたところ。その可処分時間が多い午前中の美容院だと、すごい反応が良かったんですよ。
ありとあらゆるロケーションとそれに付随するユーザーの動きを想定してプランニングができるので、創造性が求められますし、非常に柔軟にプランニングできます。それも面白いですね。うまくハマると、これが効いたんだと。インターゲットリーチはまさにそういう発想を持って行っています。
杓谷:面白いですね。私も含めて、この手のプランニングはネット専業代理店の方が苦手な領域な気がします(苦笑)。どんな人にどのようなメッセージを見せるるかというマーケティングの基本が重要になってくるということですね。
近藤:正直、発想がダイレクトレスポンス寄りな考えでは難しいと思います。刈り取る直前のところをずっと突き詰めてきているので、どうやって種まきしようかは自分も苦労している部分ですし、お客様によってはなかなか発想できない方もいらっしゃいます。逆に、屋外広告や屋外メディアを実施している方なんかはすんなり入っていただけますね。
安里:僕らも勉強していますね。ブランドのマーケターの方々はアイデアが豊富なので、「そういう考え方があるのか」、という発見がやはり多くあります。
杓谷:このような技術の登場によって、ようやくデジタルとブランディングが融合してきている気がしますね。実際の広告配信はDSP 経由ですか?
安里:僕ら自身がDSP の機能を持っているので、リアルタイムでエクスチェンジで買い付けるケースもありますし、API で直媒体とも連携することもあります。どちらのソースもリアルタイムで来て処理のされ方は一緒です。直接媒体に繋いで買い付けるケースとエクスチェンジ系ですね。
位置情報を潤沢に持たれているケースでいうと、エクスチェンジはまだ参画していない大きめの媒体社さんが多いので、そこの方々とのお付き合いが大事になってくるかなと思います。エクスチェンジ経由では、米国は緯度経度が30%ほど飛んでくるんです。それがまだ日本市場にはないので、いずれそうなってくると思いますが、今はそのエクスチェンジ経由を、少し粒度が荒いターゲティングやリタゲの対象であるイメージで行っています。
杓谷:最後に、今後の展望を聞かせてください。
安里:社内のテクノロジーがサイエンスチームなどによって日本独自のものが揃ってきているので、どんどん外に出していこうかなと思っています。まず最初に、今お話ししたどういうPOIをターゲットとして、どういう都道府県で、何店舗でやるかをマーケターや代理店の方々が自ら選んで確認しながらすぐに見積もれるプランニングツールをベータでローンチしました。
続いて、ジオクラスタのような測定調査のデータを基にした分析ツールも外に出していきます。
その後にセルフで買い付けるプラットフォーム、これもアメリカではローンチしていて、日本でも社内で使える状況ですが、それも外部に提供していくことになると思います。
ただ、近藤が言ったように概念が広く知れ渡っていない段階で出すと、すぐにダイレクトレスポンスに走る可能性もあるので、僕らはまずマーケットを作り、ブランドの方々にご利用いただきながら、最終的には個人事業主の方々なんかが自分達でログインしてキャンペーンを設定して行うようなイメージですかね。自分達の商圏などは自分達が最も分かっているはずなので、そういうものは自ら選んでできてしまう世界観になっていくかなと思っています。
プラットフォームとしては、セルフの買い付けはあるのですが、タイミングを図って少しずつ出していこうかなと思っています。まずはプランニングのところをバンバン出していき、位置情報は自分達でこういうことができるから楽しいよねと思わせたいなと思います。
建物にビッドするイメージ
杓谷:それは触ってみたいいですね(笑)。そういったプランニングツールなどは、お客様は1キャンペーンどれくらいの予算規模でやられているんですか?
近藤:現在は規模的には大きめのキャンペーンが多く、1キャンペーン数百万円を下回るケースはほとんどないですね。それは僕らが意図的にしている部分もあるので、それらをカバーするためにセルフサービスのようなものを今後ローンチし、僕らではリソース的に追い付かない部分も、セルフサービスである程度カバーできると、中小企業のお客様もうまくカバーできていくのではないかと思いますね。
安里:建物にビッドするイメージで、ストラテジーを選び、自動的にデフォルトの設定が決まっていくので、そういう設定が苦手な人でもできるようになっています。こだわりたい方は自分で全部組んでいってもできるものです。ビッド対象が違うのですが、AdWords キーワードのように建物にビッドできるイメージです。
杓谷:建物にビッドするってキャッチーな言葉ですね(笑)
近藤:キーワードのマーケットプレイスが Google AdWords だとすると、僕らはロケーションのマーケットプレイスですね。まさにロケーションにビッドするイメージです。
杓谷:ターゲティングする対象がオンライン上の行動だけでなく、一気に広がったという感覚ですね。
近藤:ジオターゲティングとかエリアターゲティングという表現もあまり僕らはしておらず、ロケーションターゲティングで「ロケーション」という括りです。それはビルディングかもしれないですが、そこが今までの感覚とはだいぶ違う部分なのかなと思いますね。
杓谷:田舎の地域や高速道路のサービスエリアのようなところだと、ネット環境がないところもありますが、そういうところもGPS さえ繋がっていれば取得できるということですね。
近藤:そうですね。キャンプ場、スキー場なども実際にディーラー様から発注いただくこともあります。SUVの車であれば、そういう場所に普段行っている人に乗って欲しいという要望もあります。
杓谷:反対に、ショッピングモールの3階の特定のテナント、というようなレベルの精度はまだ少し苦手なところですか?
安里:そうですね。方法が異なり高度のデータが送られてこないので、今後高度が送られてくるときに解決するという観点が一つと、もう一つはビーコンとの連携ですね。連携はすでに始まっているので、それによって達成できる部分があると思います。
杓谷:ビーコンをxAd さんが配っていくことも検討されていますか?
安里:現状でいくと広告主様が持たれているケースが多いです。
近藤:今のところ駅直結のスーパーなんかだと駅利用者全員が来店になってしまったりすることも正直否めず、ビーコンなどで解決していかないといけないとは思いつつ、まだ技術的なハードルがありますね。
安里:一つの建物に5つの居酒屋が入っている場合などは難しいのですが、上が居住エリアだったりすると、いつも同じ場所にいる人は省かれてカウントされないのでまだよいです。ただ同じパターンで並んでいるものなどは結構難しいです。色々なやり方があるとは思うのですが、そこはパートナーさんの力を借りつつ解決していければいいかなと思いますね。
杓谷:解決していくのも時間の問題という感じがしてこの先が楽しみですね。本日は貴重なお話をどうもありがとうございました!