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好調維持した第一四半期、アナリスト予想を上回る売上
2017年第一四半期(1−3月:以下「Q1」)の決算報告によれば、今期の売上高は80.3億ドル、1株あたりの利益は1.04ドルで、アナリスト予想の78.3億ドル/0.87ドルを上回り、依然好調を維持しています。
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地域別の売上はアジアが唯一の前期比プラス成長
毎年第四四半期(10−12月:以下「Q4」)はホリデーシーズンの影響でその年一番の売上を記録し、翌年のQ1は前期比でマイナスになります。2017年も北米始め例年通りの推移ですが、アジア太平洋地域(Asia‐Pacific)だけは前期比プラス成長となっており、プロダクト開発やコミュニティ支援などの結果が表れているのではないかと思います。
アクティブユーザー増加、増加率も上昇(これもアジア中心)
2016年Q4では18億6,000万人だった月間アクティブユーザー数(Monthly Active Users:以下「MAU」)をQ1では19億3,600万人と増加させ、成長率4.3%と前回の3.9%を上回りました。
MAU に関しては既に若干飽和状態にある北米地域でも300万人増加させていますが、アジア太平洋地域では4,300万増加と大きく貢献しており、Q1のペースでユーザーを増加させられれば今四半期中に MAU が20億人を突破します。
1日あたりのアクティブユーザー数(Daily Active Users:以下「DAU」)も順調に伸ばしており、Q1では12億8,400万人と前四半期から5,700万人近く増加させました。DAU/MAUの値も前期と同水準の66%と高止まりしており、ユーザーの利用頻度を維持しています。
Q1は偽ニュースに関する問題や Instagram Stories (広告)の試験運用開始による Snapchat 模倣など話題は尽きませんでしたが、ユーザー成長はその期間衰えておらず、Q1 に発表された求人機能では LinkedIn に対抗する姿勢を見せ、エンタープライズ向けの SNS である Workplace も提供を開始(日本でも2017年5月17日に本格提供開始を発表)するなど、領土をますます拡げる動きを見せています。
続いて米Nanigansが発表した2017年Q1の広告のベンチマークレポートもご紹介します。
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ハイライト
● Eコマースの ROAS が引き続き改善、モバイルへの投資比率が増加
Nanigansのソフトウェアを導入しているEコマースの広告主では、前年同期比で ROAS が31%改善し、費用対効果の改善も相まってか投資額も平均で16%伸長しています。
また、モバイルへの投資額は前年同期比で +58% となっており、コレクションのローンチや Audience Network の拡大など、モバイルを中心に据えたプロダクト開発が奏功しているように思います。
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● Eコマースのダイナミック広告への投資額がさらに増加
2015年12月に発表してから出稿するアカウント・金額を増やし続けているダイナミック広告ですが、Eコマースの広告主では前期比で +33%、前年同期比で +62% 投資額が増加しています。
2017年5月には旅行向けダイナミック広告もアップデートされていますので、今後はEコマースだけでなく他業種でも利用が広がるかもしれません。
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Click-through rate (CTR)
Q4で微減した平均CTRを回復させ、前期比 +5%、前年同期比 +33% としました。2016年Q3で大きく引き上がったベースラインを維持しています。
Cost per 1,000 impressions (CPM)
ホリデーシーズンの影響もあり平均CPMが上昇した2016年Q4に比べ、2017年Q1は -8% と前期比がマイナスになっています(前年同期比では +8%)。
2016年Q4の高騰はEコマース業界が主要因となっていましたが、Q1はCTRが減少しCPMも低下していますので、シンプルに繁忙期が過ぎオークションの競合性が低下したと考えられます。
Cost per click (CPC)
CPCに関してはEコマースの低下が影響してか、平均CPCは前期比 -12%、前年同期比では -19% となりました。低下傾向にあるEコマース業界とは対照的に、ゲーム業界は高騰傾向にあります。
地域別トレンド
これまで同様、(1)アメリカ、(2)欧州、中東、アフリカ、(3)アジア太平洋地域 に分けたデータも紹介されています。
2016年Q4ではアジア太平洋地域のCPCが前期比 +50%、CPMが +38%とアメリカより大きな伸びを示しましたが、2017年Q1ではCTRの増加が目立ちます。
また、モバイルへの投資比率が軒並み増加しており、アジア太平洋地域は前期比 +3% と他の地域に比べ増加率は低いですが、デバイス別の比率はモバイル 91% に対しデスクトップが 9% と全広告費の9割以上がモバイルで完全に主戦場になっています。
以上のデータは Facebook 内プレースメント及び Audience Network が対象ですが、Instagram も MAU が7億人を突破したことを考慮すると、モバイルへの投資額はもっと多いのではないかと思います。
これから Facebook が獲得するユーザーは多くが発展途上国に住む方や現時点で12歳未満の若年層がメインになることを考慮すると、ますますモバイルを中心に据えたアップデートが展開されていくのではないでしょうか。