日本の運用型広告マーケットにおいて欠かせない存在であるヤフー株式会社。
昨年の2016年もYahoo!プロモーション広告のプロダクトアップデートが数多くあった中、2016年10月に検索広告事業本部・ディスプレイ広告事業本部が新設されました。
新設した背景や組織の想い、そして2017年として注力する分野や、プロダクトアップデートの予定などお話を伺いました。
話し手:
ヤフー株式会社 マーケティングソリューションズカンパニー
検索広告事業本部 本部長 中島みきさん
ヤフー株式会社 マーケティングソリューションズカンパニー
ディスプレイ広告事業本部 本部長 井上真吾さん
聞き手:
アタラ合同会社 シニアコンサルタント 清水一樹
※このインタビューは2017年1月に行われました。
清水:本日はありがとうございます。検索広告事業の責任者と、ディスプレイ広告事業の責任者が揃っているので、さまざまな角度からお話を伺えればと思います。
まずお二人にお聞きしたいのは、2016年10月からの新組織についてです。中島さんが検索広告事業本部、井上さんがディスプレイ広告事業本部とのことですが、新たな体制となった背景について教えてください。
中島:今回の組織改編により、検索面をマネタイズしていく検索広告事業と検索以外のマネタイズをしていくディスプレイ広告事業、そしてコンテンツマーケティング事業、データビジネス事業という区分で事業本部制になりました。
井上:この改編においては、事業本部をマネタイズ面で分けたのが大きいかなと思います。一方、事業本部内の機能としては、事業戦略から事業開発、商品企画、販売推進、プロダクトサポートまでを一挙に管掌範囲に加えました。
この体制により、私と中島が判断できるものが非常に多くなったのが大きなポイントですね。
清水:プロダクトとして成長させる上での意思決定など、さらにスピード感ある判断ができるようになったということですね?
中島:はい、私たちがこれから解決していかなければいけない課題の対策をしていくために、リソースを最適に活用しながら事業を進めていくことに舵を切りました。
あらためて、検索広告をしっかり世の中に浸透していく
清水:なるほど。そんな中島さんが検索広告事業本部、井上さんがディスプレイ広告事業本部ということで、それぞれミッションは違うのでしょうか。
中島:私たちは、ヤフーの検索サービスを利用されるユーザーの行動などをもとに、どのような広告を出していくと広告主/ユーザー双方にとって良いかを突き詰めていくことにフォーカスしています。
検索面での広告をしっかり世の中に浸透させ、広告といえばYahoo! JAPANを使っていただく、唯一無二の存在にしていくことが私たちのミッションだと思っています。
日本で検索サービスを展開している企業は数少なく、ヤフーにおいては検索以外にも多様なサービス、広告プロダクトを提供しています。それは広告主の皆様からすると、検索広告に留まらず、ディスプレイ広告やそれ以外のマーケティング手法に繋がるきっかけになるだろうと思います。
検索から始めていただいているお客様もたくさんいらっしゃるので、デジタルマーケティングをもっとご利用いただきやすくするためにも、検索広告はこれからも徹底的にやっていく領域です。
また、弊社がデータドリブンな企業になっていくと掲げている中でも検索は非常に重要な部分ですので、ここをきっかけに井上が担当しているディスプレイ広告の領域や、その他のデータを活用していく色々なサービスを伸ばしていきたいと思っています。今まさに、次のフェーズに進んでいるところです。
我々は最適なソリューションをご提供し、いただいた予算をきっちりと広告効果としてお返ししていく
清水:ディスプレイ広告事業本部としては、成長率としても今すごく勢いがある中で、事業のミッションはいかがでしょうか。
井上:いくつかの観点はあるのですが、一つ目は定量的な観点で事業を伸ばしていかなければいけないということです。デジタル広告は市場予測でどんどん伸びてきています。また、市場におけるプレイヤーもたくさん増えてきています。
その中でヤフーがポジションを確立していくためには、これまで以上に高い目標を立ててやっていかなければいけないということが言えると思います。
二つ目は、デジタル広告が伸びている、あるいは伸びていくだろうと言われている中で、どの予算を獲得するのかという点です。
まず、マスと言われている広告、4大メディアがどう変化していくのか、新聞、雑誌、ラジオ、テレビなどの媒体への接触の仕方も変わってきている中で、ここに充てられていた予算の最適化という観点で考えると、デジタルにシフトする部分もあるのではないだろうかと思います。そのときに我々は最適なソリューションをご提供し、いただいた予算をきっちりと広告効果としてお返ししていく、しかもモデル化をして、ユーザー、広告主、広告会社の皆様に対しても還元していくことが重要だと考えます。
さらに、インターネットの普及率が相当上がってきました。インターネットが世の中の人にとって当然のものになってくるということは、その上でビジネスを考えている人たちがたくさん出てくるということです。
そのような中、マスにも一回も広告を出したことがないけれども、「デジタルだったら自分のビジネスをもっと伸ばせるのではないか」と思っている人たちによって、デジタル広告が成長していく可能性があります。そこにアプローチしていくのも大きな話で、検索広告もあるだろうし、ディスプレイ広告もあるだろうと思っています。我々が提供できるプロダクトとして、プレミアム広告や、プログラマティックな広告もありますし、YDNと言われているディスプレイアドネットワークもあります。
清水:マーケティング予算のアロケーションによって、より一層デジタルシフトするようなパターンもあれば、今後、原石となり得る広告主も出てくるだろうということですね。そこにヤフーとしての価値を提供するのですね。
井上:そうですね。そのために、これまでとは全く違う広告主、これまで出稿を検討していなかったような人たちに、「広告を出したら売上が上がるんじゃないか」「今の売上を毀損しないでそのまま純増するんじゃないか」と思ってもらえるような訴求をしていくことが大事だと思っています。
清水:例えばそういう原石となる広告主として、どんなお客様が出てくる可能性があると思いますか?
井上:色々な見方があるとは思うのですが、例えば、カットで考えると中小企業や、地域に根ざした産業が、可能性としてあると思います。看板や折り込みチラシなどを利用されている地域の方々にも、インターネットの力でビジネスをさらに拡大していただけたらと思います。
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