2017年3月23日(米国時間)、Facebookが広告フォーマット「コレクション」を発表しました。モバイル専用のフォーマットで、スムーズに買い物ができるよう商品の詳細を動画や写真で伝えることができます。
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コレクションでは、広告の表示方法から他のフォーマットと異なり、メインのビジュアル(動画または静止画)の直下に商品の画像が4枚横並びになった状態で表示されます。タップ後はキャンバス同様瞬時に別のウィンドウがフルスクリーンで立ち上がり、最大50枚の商品画像でウェブサイトやアプリへと誘導可能になります。
ベータテストに参加していたアディダスやTOMMY HILFIGERなどのブランドは、コレクション広告で動画と商品カタログを効果的に組み合わせ、早速成果をあげているようです。
上図でもサンプルとして紹介されているアディダスは、Z.N.E.シリーズの新作および関連商品の販売促進にコレクション広告を活用し、5.3倍の広告費用対効果(ROAS)を達成したそうです。以下のコメントも残されています。
「新しい広告フォーマットの『コレクション』は、新商品の紹介と販促にうってつけです。新作であるZ.N.E.トラベルフーディーの機能性を動画でアピールしながら、シリーズの他の商品も紹介することができました。タップした瞬間に全画面表示でショッピングが楽しめますし、クロスセルにも抜群なので、引き続きこの広告フォーマットの可能性を探りながら、お客様への訴求と売り上げの向上に活かしていきたいと思います。」
アディダス Performance Marketing Senior Specialist、Rebecca Watts氏
また、TOMMY HILFIGERは2016年秋に実施した「See Now, Buy Now (いま見て、いま買う)」というキャンペーンでコレクションを活用し、広告費用体効果を2.2倍向上させたとのことです。こちらも以下のコメントが残されています。
「私たちの使命は、ランウェイを一般の人々に開放し、そこで展開される商品を世界中すべての消費者がすぐに購入できるようにすることでした。そこでランウェイショーの動画にショッピング機能を統合することにより、新たな次元の体験へと引き上げたのです。コレクションは、現代のデジタルネイティブ世代がお気に入りのブランドにどのように反応しているかを反映した利用体験を生み出します。結果は予想を上回り、200%を超えるROIの伸びを達成しました」
TOMMY HILFIGER Chief Brand Officer、Avery Baker氏
ローンチスケジュールは2017年3月24日より世界中で順次展開され、日本でも数ヶ月内に全広告アカウントで利用可能になる予定とのことです。
キャンバス広告の作成方法も早速公開されていましたので併せてご紹介します。
参考:
●開始に必要なもの:
- 画像または動画
- 製品カタログ
●作成ステップ:
Step 1) 広告マネージャへ移動
Step 2) キャンペーンの目的を設定
[トラフィック] または [コンバージョン] でのみコレクションが利用可能です。
Step 3) ウェブサイト、メッセンジャー、アプリのいずれかを選択
Step 4) 広告セットの設定
オーディエンス、予算、スケジュールを設定します。
Step 5) フォーマットの選択
このセクションでコレクションを選択します。
Step 6) メインビジュアルの設定?
画像、動画、スライドショーのいずれかを選択します。ビデオの場合は、1:1または16:9のアスペクト比、イメージの場合1,200×628ピクセルのイメージサイズが推奨です。
Step 7) メインビジュアルの設定?
Facebookページを選択し、見出し(25文字推奨)、テキスト(90文字推奨)を入力します。推奨の文字数はヘルプページを参照していますが、原文が英語のため半角だと思われます。
Step 8) ドロップダウンメニューから製品カタログを選択
Step 9) 製品セットの設定
製品セットを作成済みの場合は既存のものから選択し、作成していない場合や新規で作成する場合は + ボタンから作成します。製品セットにはメインビジュアルの画像、スライドショー、または動画に関連する8つ以上の製品が含まれていることが推奨されています。
Step 10) 広告プレビューの確認
コレクション自体がモバイルのみの対応のため、モバイル以外のプレースメントをすべて削除するよう求めるポップアップウィンドウが表示される場合があり、表示された場合は [プレースメントの削除]をクリックします。
Step 11) 関連商品のコントロール
ニュースフィードセクションに掲載される画像、スライドショー、動画の下に表示される4つの製品画像はコントロールが可能です。 デフォルトでは、4つのイメージはコンバージョンが見込まれる可能性によってランク付けされ、最適化されて動的に表示されますます。固定したい場合は [変更] から製品セットの1〜4個の特定のイメージを選択します。
Step 12) コレクションの確認
プレビューを表示させ、「Post Click Experience(日本語名は不明)」をクリックするとユーザーが広告をクリックした後の挙動が確認できます。
Step 13) 最終確認
「Facebookにお知らせを送信」を選択すると自身の Facebook アカウントに通知が入り、モバイル端末でコレクションのメインビジュアルから遷移後まで全ての確認が行えます。
Step 14) 完了
全体の流れを通して見ると設定自体はシンプルに行えますが、肝心のパフォーマンスは製品カタログの製品セットをどう構成するのかが鍵になるのではないかと思います(ターゲティングはもちろん)。
また、今回の発表ではレポートの新指標「アウトバウンドクリック」のテスト開始もアナウンスされました(数週間以内にテスト開始予定)。
リード獲得広告、キャンバス広告、そして今回発表されたコレクション広告では、モバイルニュースフィード上の広告ユニットがタップされるとフルスクリーン表示に切り替わりますが、これまでは Facebook 内での遷移と Facebook 外への遷移数がまとめて集計されていました。
今後アウトバウンドクリックが導入されることで Facebook/Instagram 以外のウェブサイトやアプリへの遷移が区別できるようになり、キャンバス広告を開いたユーザーのうちどの程度ウェブサイトへ訪問したのかや、コレクション広告経由で商品詳細ページが訪問された回数など、ユーザーの行動と広告のパフォーマンスが明確になります。
なお、Instagram 広告についてもアウトバウンドクリック数がレポートされるようになりますが、「テストの初期段階においてはFacebook/Instagram 上のリンク先(Facebookページなど)への遷移も計上されることにご留意ください」とのことです。最終的にはFacebook広告同様の計測方法を実装し、Facebook/Instagram以外への遷移のみ計上するよう開発が進められるようですので、Instagram 広告を出稿中の方は開発の完了を待ちましょう。
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キャンバス広告に続き、広告の遷移先も自社プラットフォームに誘導するフォーマットの登場によって、Facebookのエコシステムがより強固なものになるのではないかと思います。
キャンバス広告でも動画の挿入やカルーセル形式で商品画像を並べることは可能でしたが、コレクションはより特化した仕様で伝えられる情報量が圧倒的に多いため、購入の促進に大きく役立つのではないかと感じる一方、前述した通り製品セットの構成が整っていないと適切な商品が表示されないことになりますので、データフィードも運用する必要性がさらに増していくように感じます。
さらなる可能性を感じさせるコレクション、今後も要注目です!