「完全一致」キーワードの配信対象が拡大
2017年3月17日(金)Google は、マッチタイプが「完全一致」のキーワードで広告が配信対象になっていた、誤字や表記ゆれなどの「類似パターン」(Close Variants Matching)を、今後数か月かけて拡大していくことを発表しました。
Google は2014年6月に「完全一致」「フレーズ一致」のキーワードに対して、誤字や表記ゆれなどの検索クエリに対しても広告を配信することを発表し、日本語での提供も開始されていましたが、今回の発表はその延長線上にあるものと考えられます。なお、今回の変更は2017年3月時点で、英語とスペイン語のみが対象となります。
参考リンク: 完全一致およびフレーズ一致キーワードの類似パターンに関するお知らせ
具体的は変更は下記の2点となります。
1.前置詞、接続詞、冠詞による区別の撤廃
今回の変更に際して、Google は「in」「to」などの前置詞や、「for」「but」などの接続詞、「a」「the」などの冠詞を「Function Words」と定義しました。これまでの「完全一致」キーワードはこれらの「Function Words」を区別して広告の配信を出し分けていましたが、今回の変更によって、検索クエリが登録していたキーワードと意味的に同じであれば、下図のように「Function Words」の有無に関わらず「完全一致」キーワードでも広告が配信されるようになります。
2.語順違いの検索クエリへの対応
また、これまでの「完全一致」では、「running shoes」を登録していた場合、「shoes running」という検索クエリに対しては語順が違うため広告は配信されず、別々の「完全一致」キーワードとして登録する必要がありました。しかしながら、「running shoes」と「shoes running」は語順こそ違うものの、意味的には同一であり、ユーザーが求めている情報は同じと考えられます。
これらの検索クエリに対応するため、今回の変更によって下図ように「完全一致」で登録したキーワードと語順違いの検索クエリにも広告が配信されるようになります。
また、今回の変更はキーワードと検索クエリの意味が同じである場合のみが対象となるため、旅行の目的地を表す「SFO to JFK」という完全一致キーワードが「JFK to SFO」という検索クエリでも広告が配信されてしまう、ということはありません。
「完全一致」が”完全”ではなくなる
これまで「フレーズ一致」や「部分一致」などで対応することが可能だったキーワードへの配信を、わざわざ「完全一致」で配信できるようにするということは、穿った見方をすればGoogle がクリック数を稼ぐための方策と取れなくもないですが、一方で、語順の違いや前置詞、接続詞、冠詞などの違いを網羅してキーワードを登録するのは至難の技でもあり、機会損失があったことも事実です。Google のこれまでのテストによれば、完全一致のクリック数が平均で3% ほど増加するとのことです。
日本語での対応は2017年3月時点では未定ですが、キャンペーン構成にも影響していく話かと思いますので、引き続き注視していく必要がありそうです。また、海外向けのキャンペーンを行っている方は、検索クエリレポートを使って「完全一致」キーワードの広告配信を確認しておくことをお勧めいたします。