2017年3月20日(日本時間で3月21日)、Google はAdWordsでユニークリーチ指標と動画広告の総再生時間の確認が可能となるアップデートを発表しました。
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筆者の環境でも確認したところ、以下の通りユニークリーチ関連の指標は「リーチの指標」から、総再生時間関連の指標は「掲載結果」から選択し、表示項目に追加することが出来るようになっています。
統計的なモデルによりユニークリーチを算出
これまで、ディスプレイおよび動画キャンペーンにおいてリーチしたユーザー数や1ユーザーあたりの平均表示頻度(フリークエンシー)の計測にはCookieベースの指標のみ活用が可能でした。Cookieベースとなるため、同じユーザーが複数のブラウザで広告に接触した場合ブラウザの数=ユーザー数となり、ユーザー数としてはあくまで推定値となります。
今回のアップデートにより、同一ユーザーが複数の端末で同じ広告に接触した場合でも1ユーザーとしてカウントすることが可能になるので、リーチしたユーザー数をキャンペーンの評価指標として扱いやすくなるのではないでしょうか。ユニークリーチの計算方法に関しては下記の通りヘルプページに記載があり、匿名的なユーザー行動データやその他のシグナルを加味することで、Cookieベースではないかたちでユニークユーザー数を算出出来るとのことです。
Unique Reachの計算では、統計的なモデルによって、ブラウザや端末をまたいだユーザー行動をデータに反映します。これらのモデルは、Googleの各サービスで得られた匿名的なユーザー行動データを観察し、デバイスをまたいだ利用パターンを割り出すことで得られたものです。観察された行動パターンにその他のシグナルを加味して、セッション、フォーマット、ネットワーク、端末をまたいでユーザーの重複除去を行うことにより、広告を目にしたユニークユーザー数(Cookieの数ではなく)を算出できます。
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総再生時間で動画広告の評価が可能に
総再生時間指標では、「総再生時間」「平均総再生時間/インプレッション」が確認可能となります。現在はTrueView インストリーム広告とバンパー広告が対応しており、今後他のフォーマットでも対応予定とのことです。
・総再生時間:一定期間にユーザーが動画広告を再生した合計時間を測定し、秒単位で表示
・平均総再生時間/インプレッション:ユーザーが広告のインプレッション 1 回あたりに動画広告を再生した平均時間(秒)を測定
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動画広告がユーザーの関心をどれだけ引いたか確認する指標として、主に視聴回数(動画を30秒間、30秒未満の動画の場合は最後まで視聴された時と動画に対して操作を行った時にカウント)と動画再生時間の割合(25%以上から集計対象)があげられます。今回のアップデートにより、視聴回数としてカウントされなかった、あるいは動画再生時間の割合が25%に届かなかった動画再生を含めた総再生時間が確認可能となり、再生時間という別の切り口で動画広告の評価が出来るようになるかと思います。
また、動画再生時間の割合と平均総再生時間/インプレッションを照らし合わせることで動画の改善ポイントがより詳細に分かるケースも出てくるでしょう。例えば、動画再生時間の割合が25%(25%以上50%未満)に集中していた場合、平均総再生時間/インプレッションをユーザーの離脱ポイントとして捉えることが出来るかと思います。
動画広告配信先媒体としての強みをアピール
今回の発表では上記でご紹介したアップデートと併せて、音声ありで動画が再生された場合の広告想起リフトに関する調査結果も紹介されています。下記グラフの通り、音声のみを聴いた場合(グラフ左側)、音声なしで映像を視た場合(グラフ右側)と比較して、音声ありで動画を視聴した方が広告想起のリフト幅が大きいことが調査により確認出来たとのことです。
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また、93%というビューアビリティーの高さはもちろん、YouTube広告の95%が音声ありで再生されていることも紹介されており、先ほどの調査結果との抱き合わせでYouTubeが動画広告の配信先媒体として非常に有効であることをアピールしている印象を受けました。
Googleは1月20日にYouTube動画広告のマルチスクリーン対応の強化を発表しており、今回のユニークリーチ指標のアップデートはその一環ではないかと考えられます。
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詳細なインサイトレポートの提供やGoogleアカウントを活用したオーディエンスターゲットも可能になる予定とのことですし、YouTubeが今後ますます動画広告の配信先媒体として存在感を増すことは間違いないかと思います。引き続きアップデートにしっかりキャッチアップしていきたいものです!