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アナリスト予想をまたも上回った過去最高の売上
2016年第四四半期(10−12月:以下「Q4」)の決算報告によれば、今期の売上高は88.1億ドル、1株あたりの利益は1.41ドルで、アナリスト予想の85.1億ドル、1.31ドルを大きく上回り、依然好調を維持しています。
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2015年Q4も通年で最も売上の多かった四半期ですが、前年同期比 +51%と大きく伸びています。売上総額のうち約98%を占める広告売上が86.3億ドルで、北米、ヨーロッパ、アジア、その他地域からまんべんなく広告売上を増加させており、特に2016年Q4に関しては北米地域だけで約10億ドル伸ばし、2016年通年では総売上276億を計上しました。
アクティブユーザーの増加
2016年第三四半期(7−9月:以下「Q3」)では17億8,800万人だった月間アクティブユーザー数(Monthly Active Users:以下「MAU」)を、Q4では18億6,000万人と7,200万人増加させ、過去最高の増加数だったQ3と比較するとやや鈍化はしていますが(特に北米地方)、引き続き規模を拡大させています。
1日あたりのアクティブユーザー数(Daily Active Users:以下「DAU」)も順調に伸ばしており、Q4では12億2,700万人と前四半期から4,800万人以上増加させました。DAU/MAUの値も前期と同水準の66%と高止まりしており、ユーザーの利用頻度を維持しています。
モバイルのDAUは11億4,600万人となり、93.3%のユーザーは日々モバイルからログインしていることがわかります。ちなみに2年前のQ4で83.7%、1年前で89.9%ですので、欧米以外のエリアでユーザーが拡大していることもありモバイルシフトの流れが依然続いています。
続いて米Nanigansが発表した2016年Q4の広告のベンチマークレポートもご紹介したいと思います。
ハイライト
● EコマースのROAS、CVRが大幅な改善
Nanigansのソフトウェアを導入しているEコマースの広告主が前年同期比でROAS +33%、CVR +68%とパフォーマンスを大きく改善させています。要因としては次にご紹介するダイナミック広告が一役買っているようです。
● ダイナミック広告への投資比率が増加
日本でもEコマースを始め旅行業界や人材業界の広告主を中心に利用を拡大させているダイナミック広告ですが、全出稿金額のうちダイナミック広告に投資する金額が前年同期比で +164% と2.5倍以上増加しています。
ダイナミック広告はこの一年でアプリ広告への対応や店舗の在庫情報と連動した Dynamic ads for retail のローンチなど様々なアップデートを行なってきましたし、利用する広告主が増えたことで機械学習が進み、配信アルゴリズムそのものも改良を続けているのではないかと思います。
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Click-through rate (CTR)
Q3が驚異的な伸びを見せたため、グローバルの平均CTRは前期比で微減(-5%)となったものの、ベースラインはしっかりと上がっており前年同期比では +42% としています。
その中でも全体の伸びを牽引しているのはEコマースで、平均値同様前期比は -8% と微減したものの、前年同期比では +66% となっています。
Cost per 1,000 impressions (CPM)
Q3はEコマースを中心に平均CPMが低下しましたが、Q4はホリデーシーズンの影響もあり平均が$7.01で前期比 +18%、前年同期比 +10% となりました。
ホリデーシーズンの影響はEコマース業界の数値を見ると一目瞭然で、前期比 +46% の$7.24で着地し、2015年のQ4とほぼ同水準になっています。一方ゲームは業界は2015年Q2大きな変動がなく、$4-5 の間で収まっており前期比 +4%、前年同期比 -3% の$4.75となりました。
Cost per click (CPC)
CTRが前期からやや微減に対しCPMが上昇しておりますのでCPCも上昇しています。グローバルでは前期比 +24% としながらも、前年同期比では -23% と水準はやや低下しています。例年Q1はホリデーシーズンの影響が落ち着きCPCが低下する傾向がありますので、2017年も例に漏れず低下するのではないかと思います。
CPM同様Eコマースが全体に影響を与えており、前期比 +58 と上昇、前年同期比では -41% と低下しています。ゲーム業界は前期比 +2% の$0.55となり、前年同期比では -11% と若干低下しています。
地域別トレンド
これまで同様、(1)アメリカ、(2)欧州、中東、アフリカ、(3)アジア太平洋地域 に分けたデータも紹介されています。
Q3ではアジア太平洋地域のCPC、CPMが軒並み低下しましたが、Q4ではCPCが前期比 +50%、CPMが +38%とアメリカより大きな伸びを示しました。
Facebookの決算報告にもある通り、アジアのARPU(ユーザー一人当たりの売上:Average Revenue per User)はゆっくりとではあるものの増加しており、広告売上の増加に貢献しています。
ユーザーの分布からはアジア及びその他地域が広告売上増加の鍵だと考えられますので、スライドショー広告など4G/LTE環境が整っていない地域の広告主でも手軽に制作/出稿できるフォーマットなどが今後も開発されるのではないかと思います。
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2017年も、Facebookは(広告に限らず)毎週のようにアップデートが行われておりますので、今後の展開に引き続き注目していきたいと思います。