アトリビューション分析を支援するテクノロジーを提供する米国マーケットシェア社のジョン・フィリップ・デュリオス氏に、アトリビューション分析を実施する上での要件とアプローチについて、お話を伺いました。
話し手:
マーケットシェア社 マネージングディレクター、インターナショナルーマーケティングサービス、ジョン・フィリップ・デュリオスさん
聞き手:
アタラ合同会社 CEO 杉原剛
※このインタビューは2016年12月に行われました。
日本でのビジネスは成長しており、日本法人も組織が大きくなってきています。やはりアジアでのGDPを考えると、言うまでもなく最重要な国であることは間違いありません。
マーケットシェア社は、一昨年前に情報サービスおよび分析サービスを提供するNeustar社に買収されました。Neustarの方向性でもあるが、”Connected Science”を推進しようとしています。Connected Scienceとは何かというと、基本的には、人、場所、モノをつなげる科学を言います。このつながりをより推進することによって、企業はビジネスの価値をより高めることができると信じています。
そのConnectedな世界を作るための主要なソリューションの一つがDecisionCloudというものです。DecisionCloudを使うことで、マーケッターはマーケティングと売上をよりつなげやすくなります。
これをうまくやるためには実現しないといけないこととして、マーケティングミックスに関するホリスティックな視点を持って分析活動を行うことが重要だと思います。そして、オンライン、オフライン含めどの程度メディアやその他のリソースに費用を費やしているのか、それらが相互にどのように作用し、結果にどのようにインパクトを与えているのか、などです。
ただ、現実的にはそうでないことも多く、サッカーに例えると、ゴールキーパーや最終的にシュートしてスコアした選手に注目が集まりますが、実際のところはゲーム時間の90%はミッドフィールドで起きている状況です。スコアにアシストなどで貢献した選手が誰だったかを特定するような、よりよい分析ができるはずです。
真のアトリビューション分析は、サーチ、ディスプレイ、ソーシャルなどのオンライン、TV、新聞、雑誌、ラジオなどのオフラインに加え、その他コントロール可能な要素、天気、経済、雇用率などコントロールできないですが、消費者の意思決定にインパクトを与える可能性のある要素を見ます。DecisionCloudにある、Stratrgyアプリケーションによって、これらをすべて加味し、マーケッターが自社のマーケティングのパフォーマンスをよりよく理解できるように支援します。
ホリスティックな視点でマーケティング活動が見えるようになったら、もう一つのソリューションであるActionアプリケーションで、購入に至る経路における顧客との接触の真の価値を見ることができ、日々のプランニングに活用できます。
マーケットシェア社はこれまでも、単なるソフトウェアベンダーとしてテクノロジーだけを提供してきたわけではありません。重要なことは3つあると考えており、一つがテクノロジーです。世界最大規模のデータとインフラストラクチャー/プラットフォームを誇るNeustarのバックアップは強力です。もう一つはサイエンス。そして3つ目がカスタマーサクセスを常に頭に置いた、実際の現場での経験値になります。実際にアトリビューション分析を実施する上で、データを収集し、統合することが最初の課題になりがちですが、数多くのデータパートナーとの経験も活かし、通常では入手できないようなデータも活用できますし、顧客固有のデータをどのように接続し、利用できるようにクレンズするか、などもこれまでの実績からノウハウは豊富です。
顧客企業とプロジェクトを進める上で、よく課題になるのがCMOとCFOの関係性についてです。CMOがファイナンス部門にマーケティング予算を申請するのは難しい場合があります。ですので、当社のプロセスではCMOとCFOが同じ言語を話し、施策に対して必要とされる予算についての議論が正しくできるようにしていきます。これは企業にとって非常に価値が高いアプローチです。