2015年3月のF8(Facebookの開発者カンファレンス)でローンチされて以来80万以上のアプリで実装されてきた Analytics for Apps に、ウェブ経由のトラフィックも計測可能に加えたクロスプラットフォーム機能(ベータ版)の提供が発表されました。
リンク: Facebook Analytics for Apps Launches Cross-Platform Analytics (beta)
目次
Analytics for Appsの新機能について
Facebookのこれまでの調査では、ユーザーがコンバージョンに至るまでの過程でプラットフォームやデバイスを切り替えている可能性が高いとしています。2014年3月に発表された内容では、2つのデバイスを所有するユーザーの場合53%、3つ以上のデバイスを所有するユーザーの77%がコンバージョンに至るまでにプラットフォームないしデバイスを切り替えていることがわかっています。
参考: Finding Simplicity in a Multi-Device World
以上のことから、今回は上述したウェブの測定とクロスプラットフォーム機能の他に下記2点も新機能として追加されます。
- User properties(ユーザープロパティ)
- Sharing insights(シェアインサイト)
User properties: 顧客データとFacebookのデモグラフィックデータを統合
CRMの顧客データとアプリのプロファイルデータを使って、オンラインとオフラインのデータを統合させることができます。これまではFacebookの持つネットワーク以外で獲得したユーザーの分析が難しい状態でしたが、統合した後はCRMで作成しているのロイヤリティーの高い最重要セグメントや、特定のステータスにあるユーザーなどの行動を個別にフィルタリングして分析可能になります。
Sharing insights: コンテンツバイラル測定の新しい方法
ウェブブラウザだけでなく Android や iOS も通じてウェブサイトのコンテンツが Facebook でどのようにシェアされているかをレポートとして参照可能になります。ウェブページのメタデータに記載されたアプリIDを使用してURLを特定し、シェアされた回数の多い上位25のURLが表示され、各URLごとに以下の4フィールドが確認できます。
- シェアタイプ: ユーザーがシェアした方法(投稿、コメント、投稿とコメントの合計数など)
- 性別: コンテンツをシェアしたユーザーの性別の割合
- 年齢: コンテンツをシェアしたユーザーの年齢層の割合(規定のレンジでのみ参照可能なようです)
- 国: シェアが行われた特定の国の割合
すべての分析をAnalytics for Appsで
今回発表されたウェブの測定とクロスプラットフォーム機能は Facebook App Events をサポートするよう Facebook SDK for JavaScript が機能拡張し、動作するようです。Facebook ログインを使うために Facebook SDK for JavaScript を実装している場合は大きな変更を加えずにベータ機能を利用することができます。
また、既にウェブサイト向けの広告を出稿しているアカウントでは Facebook ピクセルを使って実績をトラッキングしていることと思いますが、その場合も実装済みピクセルの変更等必要なく、Analytics for Apps でインサイトが取得可能になります。
Analytics dashboard にアクセスすると左のパネルで自分のアカウントに紐付いているアプリや Facebook ピクセルが表示されます。
筆者が確認したところ “still processing the data for this pixel(データ解析中)” というスターテスのピクセルが多くありましたが、近日中に処理が完了するようです。
クロスプラットフォームの分析については、ビジネスマネージャの “イベントソースグループ” を使ってウェブとアプリのデータを統合させます。ビジネスマネージャにアクセスし、[ビジネスマネージャ設定] → [利用者とアセット] → [イベントソースグループ]の順にクリックすると設定画面に移りますので、[Create an event source group]ボタンから統合したいFacebookピクセルとアプリ名を選択すると設定が完了します。
詳しくはドキュメントが公開されていますので こちら をご参照ください。
利用開始にあたって
これまでご紹介してきた機能は全て提供が開始されており、JavaScript SDK のスタートガイドも日本語のドキュメントが公開されていますのでご参照下さい。
JavaScript SDK や Facebook ピクセルを実装していない場合はやや根気のいる作業が必要になりますが、他の解析ツールでは確認できないユニークなデータも確認可能ですし Analytics for Apps そのものは無料で提供されておりますので、現状自社アプリを作っていない場合でもウェブサイトには SDK を実装することをおすすめします。
※なお、旧コンバージョントラッキングピクセルは2016年10月15日をもってサポートが終了しており、2017年2月以降は使用できなくなりますのでご注意ください。