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アナリスト予想を大幅に上回る売上増
2016年第ニ四半期(4−6月:以下「Q2」)の決算報告によれば、今期の売上高は64.4億ドル、1株あたりの利益は0.97ドルで、アナリスト予想の60.2億ドル、0.82ドルを大きく上回りました。
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昨対比の売上伸び率は59%で、20%の伸び率に留まった Twitter とは対照的な結果となりました(Twitter IRはこちら)。広告売上の総額は62.4億ドル、そのうち84%はモバイル広告だったようです。
アクティブユーザー数の増加
2016年第一四半期では16億5,400万人だった月間アクティブユーザー数(Monthly Active Users:以下「MAU」)を、Q2では17億人1,200万人と6,000万人近く伸ばしました。
ソーシャルネットワークではMAUを使って規模を比較することが多くありますが、ビジネスにおいて重要な1日あたりのアクティブユーザー数(Daily Active Users:以下「DAU」)も Facebook は衰えていません。
サービス開始からこれまでユーザー数を伸ばし続けていますが、DAU/MAUの値が66%と高止まりしており、ユーザーの利用頻度を高水準で維持しています。また、モバイルのDAUが10億3,300万人で、約92%のユーザーはモバイルからアクセスしていることになります。2年前のQ2はモバイルからのアクセスが約79%ですので、着々とモバイルシフトが進んでいるのがわかります。
続いて米Nanigansが発表した2016年Q2の広告のベンチマークレポートもご紹介したいと思います。
ハイライト
● Eコマース業界でダイナミック広告の出稿額とモバイルへの予算比率が増加
ダイナミック広告への出稿額前期比で +14% と増加しています。新規顧客の獲得や再購入の促進で効果的に成果を上げているようです。
デバイス別の予算比率に関しては出稿額のうち 65% がモバイルに投資されており、前年同期比 +25% と増加しています。モバイルからアクセスするユーザーが増えているいま、当然の流れと言えます。なお、本レポートは Instagram や Audience Network への配信分は含まれていませんので、全プレースメントを合算するとモバイルの比率はさらに高くなるでしょう。
Click-through rate (CTR)
グローバルの平均CTRは1.18%となり、前期比では -5% と微減しましたが、前年同期比で +35% と高水準を維持しています。2016年Q1にマークした1.25%は Nanigans が2013年のQ3に本調査を開始してから最高値でしたが、今回の1.18%は調査開始から2番目に高い数値となったようです。なお、前四半期ではEコマース業界の好調が全体のCTRの伸長を牽引しましたが、今期は前期比 -3% と微減しています。
一方ゲーム業界は前期比 -18%、前年同期比 +6% と大きな変化がありませんでしたが、2016年7月にアプリ向けダイナミック広告の提供開始などアップデートが発表されましたので、今後状況は変わってくるかもしれません。
関連記事:『Facebookがアプリ広告をアップデート ─アプリ向けダイナミック広告も登場』
Cost per 1,000 impressions (CPM)
グローバルのCPMは前期比 +10%、前年同期比 +63% で着地しました。Eコマース業界が前年同期比で +92% と2倍近く増加しており、全体を大きく引き上げています。デスクトップは右側の広告枠など安価にインプレッションすることができますが、モバイルへの配信が中心になると枠の数が減少しますので、上述したデバイス別の予算比率との関連性も高いと考えられます。
Cost per click (CPC)
前期からCTRの平均値が上がっているため、CPCはCPMほど上昇しておらず、グローバルでは前期比 +16%、前年同期比 +21% となりました。Eコマース、ゲーム業界も例外なく上昇しています。
地域別トレンド
これまで同様、(1)アメリカ、(2)欧州、中東、アフリカ、(3)アジア太平洋地域 に分けたデータも紹介されています。
日本が含まれるアジア太平洋地域では、依然モバイルの予算比率が他の地域よりも多くなっており、出稿額の内88%はモバイルに投資されています。CTRが前期比 -24%とやや落ち込んでいますが、北米に次いで高水準をキープしています。
まとめ: 引き続きアジア、その他地域のAPRU増加がカギ
MAUの約67%は欧米以外のアジアや中南米、アフリカのユーザーが占めており、今期増加した5,800万人の内訳としても約84%が欧米以外の地域で高い伸びを示しています。2016年7月には、Aquila(インターネット環境の無い地域にインターネット環境を提供することを目的に作られた太陽発電搭載のドローン)の初テスト飛行に成功させるなど、今後はますます欧米以外の地域でユーザーが増えていくでしょう。
一方、ARPU(ユーザー一人当たりの売上:Average Revenue per User)を見ると、北米の $14.34 に対してアジアが $1.77 と10倍以上の差が開いています。為替変動などの影響も考慮する必要がありますが、北米がこの一年間で64%急増させているのに対し、ヨーロッパを含め北米以外の地域では前年同期比7%台に留まっていますので、今後の広告売上の伸びしろはユーザー数が成長しているアジア、その他地域にあると考えられます。
そうすると重要なのはやはりモバイルになってくるかと思いますが、直近のアップデートもアプリ広告や Audience Network など、ユーザーのモバイルシフトに乗じる内容が目立ちます。
2016年4月の発表では、日本のユーザーも92%がモバイルからアクセスしており、広告運用の目線でもモバイルを中心としたアカウントの設計(配信先のプレースメントとしてはもちろんのこと、モバイル向けのクリエイティブやランディングページ)は必須になるかと思います。特に日本は Instagram 人気もあり、無視できないプラットフォームへとなりつつありますので、Facebook が持つ質・量ともに圧倒的なユーザーデータをうまく使っていくことが今後求められていくのではないかと感じます。