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モバイルはアプリ全盛だが、利用され続けるアプリはほんの僅か
現在消費者がモバイルを利用する時間のうち、およそ 90% はアプリが占めていると言われています。以下は米Flurry Insights のデータですが、ソーシャルやメッセージングサービスを中心に、可処分時間のほとんどがアプリから発生していることが分かります。
eMarketerのデータ(2015年第3四半期)でも、小売業界で 58%、旅行業界で 49% の購買/予約がアプリで発生している状況です。
一方で、アプリをインストールしたすべての人が購買活動のような具体的なステップに進むわけではなく、同じくeMarketerの調査ではインストールから30日間でアプリを再起動したユーザーはたった6%に過ぎないという調査結果も出ています。
それに加え、直近では世界的に社会現象を引き起こしたARアプリの台頭などもありますので、モバイルにおける可処分時間の争奪戦はより激化していると言えるのではないでしょうか。
Facebookのアプリ広告が複数のアップデート
こういった状況下で、Facebook 2016年7月20日、「長期的により多くの価値をもたらしてくれる有望顧客にリーチするための新機能と、アプリのインストールやリエンゲージメントを促進するための新たな手段を提供いたします」というコメントと共に新機能を発表しました。
リンク:Facebook のアプリ広告がよりリッチに、より効果的に
アプリ広告における Facebook の影響力は非常に大きいため、アプリを扱う広告主にとっては重要なアップデートだと思います。順を追ってご紹介します。
1.「アプリイベントの最適化」配信を提供開始
インストールの先に発生する、購入や登録をはじめとするアプリでのイベントを最大化するための機能がリリースされました。パワーエディタと広告API経由でのみ利用可能で、アプリイベントを発生させる可能性の高い人に広告を配信することができるようになります。Facebook が持つ膨大なユーザーデータを基にターゲティングされますので、精度にも期待できるのではないかと思います。
ベータ版を利用した企業によるコメントも寄せられています。
“モバイルアプリインストール広告の新機能により、最終的なビジネス目標に最適化しやすくなりました。アプリ内でエンゲージメントしてくれそうな人にFacebookでリーチすることで、イベント単価を80%削減し、結果として生涯価値を5倍にできました。”
PennyPop、Head of Growth、Chris Chow氏
“Facebookでは、最もリーチしたい人たち、つまり有料ユーザーになってくれる可能性が高い人たちを狙ってリーチすることができます。アプリイベントの最適化によって、コンバージョン単価を32%削減し、ユーザーあたりの収益は22%改善しました。”
Smule、User Acquisition、Eugenia Kovalenko氏
2.モバイルアプリ向けのダイナミック広告とキャンバス広告が利用可能に
● ダイナミック広告
アプリ向けのダイナミック広告では、ウェブサイトで特定の商品に興味を示したユーザーに、その商品を掲載したモバイルアプリインストール広告を自動的に配信し、さらにアプリの初回起動時にディープリンクを設定することでその商品を表示させることが可能になります。
これまでもウェブサイトカスタムオーディエンスを利用することで特定のユーザーにリターゲティング広告を配信できましたが、ダイナミック広告を使うことでより関連性の高い広告を表示させることができますので、より広告のパフォーマンスが向上するのではないかと思います。
● キャンバス広告
これまではウェブサイト向けに提供されてきたキャンバス広告が、今後はアプリのインストールやリエンゲージメントの促進でも活用することができます。App Store や Google Play に直接遷移させるわけではなく間に1クッション挟むことになりますので、これまではアプリの魅力を伝えきれていなかった場合などはキャンバス広告でランディングページを作り込むことによってインストール率が改善するのではないでしょうか。一連の挙動をまとめた動画が以下になりますのでご参照下さい。
利用開始にあたって
アプリイベントの最適化はパワーエディタと広告APIを使うことで世界中の広告主が利用可能です。英語のみですがドキュメントも公開されましたので こちら を参考にして下さい。ダイナミック広告とキャンバス広告のモバイルアプリインストール目的およびモバイルアプリエンゲージメント目的への対応は、今後数週間かけて行われるそうです。
今後ますます企業のモバイル対応も進み、消費者の端末にインストールされるアプリの数も増えてくることが予想されますので、ユーザーとのエンゲージメント強化は業種を問わず取り組まなければいけない課題になるでしょう。ユーザーに合わせて適切なコミュニケーションを取れるよう、最適なメニュー・フォーマットを選び、アカウントを設計することが重要になってくるのではないかと思います!