Googleによると、2016年4月時点で、米国におけるEコマースの34%はモバイルから発生しており、モバイルでのショッピング関連検索は(5月のある1日を切り出すと)前年対比で30%増加しているそうです。
Eコマース事業者にとってモバイル対策は最重要課題の一つであり、その中でも急拡大する AdWords のショッピング広告(旧:商品リスト広告)は無視できない存在だと言えるでしょう。
そんな中、Google は 2016年5月17日にラスベガスで行われたイベント上で、ショッピング広告についての幾つかのアップデートを発表しました。
リンク:Inside AdWords: New ways to be there and be useful for mobile shoppers
ショッピング広告は開始以来アップデートのスピードが衰えるどころか加速していますが、今回の発表ではモバイルコマースを強く意識した内容になっています。順にご紹介します。
モバイル画像検索へのショッピング広告の表示
2015年の終わり頃から徐々にテストが始まっていましたが、モバイルの画像検索内でのショッピング広告の表示が正式にスタートしました。モバイルで商品画像をチェックするシーンで、関連性の高い商品がショッピング広告として並ぶことになります。
これは、以前の記事「グーグルのショッピング広告が更に急拡大。次の段階へ移行か」でも指摘しているように、ショッピング広告が急成長する中で前景化していた広告在庫問題を、無理なく解消していく施策の一つだと思います。
今回の変更によって、モバイル経由のショッピング検索を無理なくマネタイズすることが可能になりますし、広告が配信される枠が増え、それが利便性の高さによってユーザーに受け入れられていくことで、広告効果としても更に評価されていく流れになるのではないでしょうか。今後ショッピング広告はますますモバイルを中心に展開されていくと考えられます。
既にヘルプも変更されており、広告の掲載先に画像検索が追加されています。
リンク:ショッピング キャンペーンとショッピング広告について – AdWords ヘルプ
なお、広告側の設定としては特に何もすることはありません。ショッピングキャンペーンの設定で「検索パートナー」への掲載設定がオンになっていれば、画像検索にも自動的に配信されます。
ローカル在庫広告の強化
2013年の末(日本では2014年の9月)に発表された、実店舗の付近にいる買い物客に商品を宣伝できるローカル在庫広告が、さらに強化されるようです。
ローカル在庫広告は、ユーザーが商品を検索すると、その付近で検索した商品を販売している実店舗の広告が表示される仕組みです。クリックすると店舗詳細ページで商品情報を表示できますが、今回のアップデートでは、オンラインで購入して店舗で受取るというオプションを詳細ページで提示できるようになるようです。
他にも、ローカル在庫広告を利用している広告主は、検索結果に表示される「ナレッジパネル」と呼ばれるボックス(PCでは検索結果の右側に表示される詳細情報エリア)に、店舗の商品在庫情報を表示することができるようになったようです。これにより、ユーザーが店舗ごとの在庫情報を確認することができ、オンライン上の行動を、オフラインにつなげることが可能になります。
「買う」ボタンの続報や、Google Express のエリア拡大
2015年の7月に発表されてからあまり音沙汰がなかった「Googleで買う」ボタン(Purchases on Google)ですが、ラルフローレンや UGG 、Stapels などの一部の大手広告主でテストを続けており、ポジティブな結果が出ていることが強調されています。
UGG では買うボタンの実装によってコンバージョン率が約1.5倍まで伸び、CPAは通常のモバイルショッピング広告より25%ほど下がったとのこと。Amazonのワンクリック購入と同じく、購入までのハードルを可能な限り下げることでモバイルEコマースのトランザクションを増やしていく取り組みは、今後も広告主へ広がっていきそうです。(Googleと決済の契約を交わす広告主をどれだけ増やせるかがカギですね)
その他、Googleの即日配達サービスである「Google Express」をテキサス州でもスタートするなど、ショッピング関連のアップデートは物流面にも及んでいます。2016年もショッピング関連ニュースはまだまだ大きなものが控えていそうです。引き続き注目していきたいと思います!