4月22日、米IAB(Interactive Advertising Bureau)はPwCと共同で、毎四半期発表している米インターネット広告に関する調査の、2015年通年のレポートを発表しました。
2015年の米国におけるインターネット広告売上高は前年対比で約20%増加し、過去最高の596億ドル(前年は495億ドル)に達したとのこと。リーマン・ショックからのV字回復を果たした2010年から数えて6年連続で2桁成長となり、しかもその成長速度が加速していることを示しています。
牽引しているのは ーもうわざわざ言うまでもないですがー モバイルです。2015年のモバイル広告売上高は前年対比で66%増加の207億ドルに達しており、IABのレポートの中で定義では、Search(PCの検索)を抜いて最も大きなカテゴリに成長しました。
それは、以下のグラフでも明示されており、モバイルを抜いた場合の成長率と、モバイルを含めた成長率とを比べると、その差は一目瞭然です。モバイルの複合成長率(CAGR)は100%ですが、モバイルを抜いた場合はそれが9%まで下がります。市場の成長性の核となる部分をモバイルが担っていることが分かります。
モバイル広告の内訳にはそれぞれ検索・ディスプレイ・その他という内訳になりますが、検索とディスプレイが大半を占めています。モバイルの検索とPCの検索を合算すると市場規模のちょうど半分を検索が占めることになります。また、モバイルの中ではディスプレイ広告(動画を含む)は、モバイル自体の規模が急増しているにも関わらず、割合を 49%→53% と拡げているため、成長がより加速していることが分かります。
その他のハイライトとしては、やはりもっとも成長著しいと言われるソーシャル広告が挙げられています。
ソーシャル広告は、過去4年間の平均で55%の成長率を誇っており、特に直近の半年(2015年7−12月)は大幅にジャンプアップしています。FacebookやInstagram、Twitterなどへの広告出稿がスタンダード化してはしばらく経ちますので、実感として非常に分かる数値になっていますね。
そして、動画広告も重要な成長ドライバーの一つなのは間違いありません。ただ、IABの定義ではPCのみが動画広告(Digital Video)として切り分けて集計されており、ここ1−2年で最も盛り上がっていると思われるモバイル動画は含まれていないため、数字を見るときは注意が必要です。
上記は各カテゴリの市場全体における割合を経年で示したグラフですが、グラフで示してしまうと動画(Digital Video)が他のカテゴリほどには伸びていないように見えてしまうので注意です。実際には、モバイル動画はモバイル広告(Mobile)の中のディスプレイ広告(Display)に含まれていますので、内訳は分からないものの、おそらく非常に伸びていることが想像されます。(いずれにせよ完全に切り分けるのは現在のIABの定義では不可能なので想像するしかないのですが…)
IAB の CEO である Randall Rothenberg は、「モバイルの強烈な成長は、マーケターにとっての重要性の上昇を示すものだ」と、発表の場で伝えており、併せて動画の成長についても言及しています。モバイルがプライマリデバイスとなり、検索やソーシャル、動画や位置情報などのさまざまなカテゴリと繋がっていくことで、インターネット広告自体のイノベーションが市場規模を広げ、自らの定義も変容させていることが、データからも見て取れるレポートになっています。
PDF資料は以下のページに格納されていますのでご確認下さい!
リンク:
IAB Internet Advertising Revenue Report Conducted by PricewaterhouseCoopers (PWC)