Facebookの開発者カンファレンス「F8」の発表内容まとめ 2016年版

Facebookの開発者カンファレンス「F8」の発表内容まとめ 2016年版

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2016年4月12日〜13日(米国時間)に、Facebookの開発者カンファレンス「F8」が開催されました。2日間で数千人が来場したほか、100万人以上がオンラインで動画を視聴した盛況ぶりだったようです。2日間で非常に多くの発表が行われましたので、ダイジェストで内容をまとめます。

リンク:
・世界をつなげる技術 | 開発者カンファレンス「F8」2016:1日目発表内容まとめ
・開発者カンファレンス「F8」 2016:2日目発表内容まとめ

● 今後10年間の開発ロードマップ

初日の冒頭はCEOのマーク・ザッカーバーグ氏がキーノートで今後10年の技術開発のロードマップを発表しました。

F8_2016_Roadmap

今後5年間はメッセンジャーやFacebook内の検索機能、2014年に総額218億ドルを超える金額で買収した WhtasApp、近年目覚ましいユーザー数の増加を見せる Instagram など既存の製品にフォーカスし、10年後には AI や VR/AR など、 テクノロジーの分野においても開発を進めていく方針のようです。

キーノートの動画はこちら:

● Live API

通常の動画の3倍長い視聴時間を実現しているライブビデオの API が提供開始されます。そのエンゲージメントの高さからニュースフィードでも優先表示される仕様(※)に変更されています。専用のページも設けられていますので、詳しくは こちら をご参照ください。

参考記事:Facebookがニュースフィードの仕様をアップデート ─ライブビデオが優先表示される仕様に

● Bots for Messenger

今やグローバルで月間アクティブユーザーが9億人以上と巨大なプラットフォームになった Messenger に、ボット機能が登場します。

F8_2016_02

発表の中では、「天気や交通情報など自動で定期的に配信する情報や、レシートや荷物の配送状況の通知、リアルタイムな自動応答などのカスタマイズされたやりとりまで、コミュニケーションを求めている方々一人一人と直接やりとりできるボットを設置可能となります。」と伝えています。

また、本機能は AI と自然言語処理を搭載しており、単純な情報発信だけでなく会話の中で機械学習し、自動のカスタマーサポートやコンテンツの提供も可能にします。既に ベータプログラム も開始されており、特に制限もなく利用を開始できます。

● Facebook Surround 360

Facebook では以前から360度対応の動画をサポートしていましたが、今回はその動画を撮影するための3Dカメラの開発が発表されました。デスクトップではマウスをドラッグするだけ、モバイルでは端末を傾けるだけと直感的な UI になっていますが、デザイン用のスペックと動画をつなぎ合わせるコードは2016年夏に GitHub で公開予定とのことです。

※専用ページは こちら

F8_2016_360
画像:TechCrunch

● Profile Expression Kit

サードパーティーのアプリを通して自分のプロフィール動画を作成できるツールです。今回の発表時は MSQRD、Boomerang by Instagram、Lollicam、BeautyPlus、Cinemagraph Pro by Flixel、Vine の6つのアプリが限定ベータテストのパートナーとして選出されています。

※専用ページは こちら

● Free Basics Simulator / Demographic Insights

自社のサービスが Free Basics(新興国などのインターネット環境向上が目的で Facebook が発足した、特定のサイトやサービスへのインターネット接続を無料にするプログラム)の環境下でどのように動作するかを確認できる開発環境シミュレーターと利用者のインサイトツール提供を発表しました。もともと Internet.org という “Connecting the world” をフィロソフィーにした、「インターネット環境を持たない人々をオンラインにすること」を目標として立ち上げたプロジェクトですので、利用にあたりコストは当然発生しません。

F8_2016_Free-Basics

※専用ページは こちら

● Account Kit

アプリにログインする際、電話番号かメールアドレスを入力するだけでエントリーが完了するツールです。一見 Facebook には得が無いように思えるプロダクトですが、上述したロードマップの「Ecosystem」はまさにこういったプロダクト開発に当てはまるでしょう。

※専用ページは こちら

● Facebook Analytics for Apps のアップデート

アプリの解析を無料で行える Facebook Analytics for Apps (アプリ版 Google Analitics と解釈していただければ概ね相違ないかと思います)ですが、すでにグローバルで45万以上のアプリに実装されているようで、今回はよりブレイクダウンしたインサイトやアプリ内通知、プッシュ機能などが追加されました。

Facebook-Analytics-for-Apps_01

アップデート後のインサイトではOS、地域別の売上やユーザー数のほか、トータルの売上額、オーダー数、オーダーしたユーザーの数、1ユーザーあたりの売上などが直感的に把握できるようになっています。

Facebook-Analytics-for-Apps_02

Facebook-Analytics-for-Apps_03

画像:Facebook for Developers

いつの間にか日本語版のドキュメントも大量に公開されています(こちら)。

● Quote Sharing

アプリやウェブサイトで閲覧したコンテンツから特定の文章などを引用し、共有できる引用付きシェアツールが公開されました。このダイアログ機能はJavaScript用、iOS用、Android用Facebook SDKで実装でき、ユーザーの全デバイスに対応します。また、ユーザー側の挙動としてこれまでは「シェア」ボタンを押すと新しいタブが開いていましたが、今後はJavaスクリプト用SDKでコードを追加 or 既にシェアボタン設置済みのページは設定を変更すると iframe でシェアダイアログを開く仕様に変更されましたので、よりシームレスにシェアすることができます。

※専用ページは こちら

● Save Button

これまでは Facebook 上で公開されている記事や商品を後から確認することができるようになっていた機能ですが、今後は Facebook の外で公開されている情報に関しても Facebook の「保存済みリスト」に登録することができるようになります。

デモ動画:

なお、日本のローンチパートナーにはメルカリ楽天の2社が選ばれています。

と、ここまでが初日に発表された主な新機能になります。2日目は今後の注力分野について、CTOのマイク・シュローファー氏からアップデートの説明が行われました。

● Connectivity Lab

コネクティビティ・ラボは、

未だインターネットにつながっていない人々や、十分なインターネット環境が行き届いてない人々に、より良いインターネット体験を提供できるよう、様々な新技術を研究・開発しています。

という説明にあるように、上述した Internet.org と非常に近い思想のもの研究・開発が行われているプロジェクトで、今回は「Terragraph」と「ARIES」の2つが発表されました。Terragraph は、都会の人口密集地に向けた無線システムで、ARIES は人口密度が少ない地域で電波を最大化するためのプロジェクトで、いずれもコンセプト段階だそうです。

F8_2016_Terragraph
画像:Engineering at Facebook

※専用ページは こちら

● AI

Applied Machine Learning (AML)というチームが AIを中心に据えよりパワフルになる Facebook 体験の将来像を説明しました。具体的には、より高品質な翻訳、コンテキストで画像の内容を把握/識別し画像を検索する機能、リアルタイムでの動画識別といった機能の実現に向けて日々研究しているそうです。

Bots for Messenger でも AI を搭載していますし、今後さらに進歩していくことでしょう。

※専用ページは こちら

● Social VR

Facebook は VR を単なる仮想現実としてではなく、「人と人がどうつながり、シェアができるのかといったことや、VR技術の進歩によって、仮想現実が情報通信プラットフォームとしてどのような役割を果たすのか長期的な可能性を模索」しているそうです。実際に専用のチームも立ち上げているようで、仮想現実の中でどう実在感(プレゼンス)と、 周辺環境との相互作用(インタラクション)を組み合わせられるかについての研究や、仮想現実の中で声とボディランゲージでどうコミュニケーションが取れるかといった研究が行われているようです。

● Open Source

2015年、Facebookは React Native という iOS と Android をターゲットプラットフォームにした開発を可能にさせる SDK を公開しました。React Native はもともと “learn once, write anywhere.” という思想のもと、プラットフォームごとに新しい言語やフレームワークを覚える必要はなく、React Native を覚えればどのプラットフォーム向けにもコーディングできるようになる(JavaScript で書いたコードが iOS や Android などのネイティブアプリとして動かせる)というものです。公開当初は “huge step backwards(かえって退化している)” 等と批判もありましたが、Facebook のネイティブアプリの一部が React Native を使って開発されていたり、エンジニアの学習コストを大幅に抑えられること、他の JavaScript フレームワークにも React の思想が反映されるなど、現在では主流に近づきつつあります。

F8_2016_reactive-native

そういった背景のもと、今回は以下の機能が発表されました。


1. Windows向け React Native

2. すべての Samsung スマートテレビで動くTizen向け React Native

3. ログイン、シェア、アプリ用アナリティクス、グラフAPIなどの機能を組み込むことを可能にするReact Native向け Facebook SDK

また、モバイル環境での Facebook の UX をより良いものにするために内部ツールの開発も当然進行させており、モバイルアプリの性能を高めるために利用できるプロジェクトをいくつかオープンソース化されています。詳細はエンジニアブログ で記載されていますのでご参照ください。

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以上が2016年の F8 で発表された主な内容になります。これほど一気に新機能(しかも主力級)を発表した年は無かったように思いますが、ご紹介したもの以外にも Embedded Content のアップデート(レンダリングの速度が約2倍)や Sharing for devices API (IoT機器からシェアダイアログが開けるAPI)の公開など細かな新機能も盛り沢山でした。取り残されないよう、引き続きキャッチアップしていきたいと思います!

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