Criteo Emailの日本における可能性:Criteo アレックス・キベッツさんに聞く

Criteo Emailの日本における可能性:Criteo アレックス・キベッツさんに聞く

CRMメールとの違い

アレックス:広告主がCriteo EmailをCRM的に使うことができる点についても、触れたいと思います。広告主が既存ユーザーに対して、Criteo Emailを使うことをCRMと呼んでいますが、広告主が自社で実施しているCRMと比べて、違いが3点あります。1つは、広告メールの内容が閲覧に基づいたレコメンドになっていること。2つ目は、ユーザーが広告主のウェブサイトを離脱してから1時間以内に1通目の広告メールを送り、反応が無い場合は、タイミングをずらしてさらに1-2通送ります。最後に、メールの送信元がパブリッシャーである点です。そのため、広告主のCRMメールとは異なるパフォーマンスを期待することができます。

 

criteo2

 

杉原:なるほど。では既存のメールのリストも使えるし、自社でメールを持っていない新規ユーザーはサプライサイドのデータを使える、ということですか?

 

アレックス:そういうことですね。

 

杉原:では、その既存のデータをCriteoさんにお渡しする、というような形になっているのでしょうか?

 

アレックス:Criteo Emailは全て、サプライサイドデータベースを利用するため、広告主はメールアドレスをCriteoに提供する必要はありません。ただ、既存ユーザーかどうかを判別するために、ハッシュメールを利用しているので、広告主は、Criteoが提供するタグを通して、ハッシュメールを提供していただく必要はあります。

 

杉原:なるほど、面白いですね。

 

アレックス:次に消費者という視点で説明すると、まず市場感では、メールって消費者にとっては価値が若干なくなってきている状況です。数字を見るとメールが有効な情報を受け取る手段である、という風に理解しているユーザーはだいたい25%から35%しかいません。その一方で、マーケターは「メールマーケティングをもっと有効活用していきたい」と思っているところです。ですので、そこにはギャップがあって、それはなぜかと言うと、シンプルに言うと消費者にとって最適なコンテンツが届いていないからだとCriteoは考えています。どちらかというと、マーケターが届けたい情報が届いてしまっているがために、ユーザーは「メールはスパムが多すぎる」と思っている状況だと思います。さきほどお伝えしたように、Criteo Emailのビジネスモデル上、Criteoは広告メールを配信するたびにコストを支払います。しかし、メール内のコンテンツがクリックされて初めてお金が入ってくるので、ユーザーにとって価値のあるコンテンツを届けられないとビジネスモデルが成り立ちません。現在Criteo Emailが欧米で伸びているということは、Criteoはユーザーにとって価値のある情報を届けることができていると、自負しています。つまり、ユーザーにとっては、より興味・関心が高いコンテンツを受け取れるサービスである、というメリットがあります。

 

杉原:なるほど。説得力がありますね。サプライサイドと広告主と受け取るユーザーのメリットが、それぞれ非常によくわかりました。実際に広告主の方が使いたいとなったときには、どういった準備が必要ですか?

 

既存のデータフィードを転用

アレックス:はい、いい質問ですね。既存の広告主は、ディスプレイで利用しているタグとデータフィードをそのままお使いいただけるので、Email用に必要な準備としては、広告メールテンプレートの作成だけです。作成といっても、テンプレート自体はCriteoが自動生成するので、事前に要素(使用するロゴやテンプレのデザイン)を固めるだけとなります。

 

杉原:今あるデータフィードの内容が使えるんですか?

 

アレックス:今あるデータフィードの内容が使えます。Criteo Email用に少し追加するケースはありますが、現状のものはそのまま活用することができます。

 

杉原:そうなんですか、それはいいですね。クリエイティブをどうするのかな、と思っていたんですが、データフィードをそのまま活用するというところは変わらないんですね。クリエイティブを変えたい場合はフィードを変えればそれでいい、と。

 

アレックス:おっしゃるとおりですね。

 

杉原:わかりました。ということは、メール配信システムとかとの連携は関係ない、ということでしょうか?

 

アレックス:関係ありません。Criteoがクリエイティブを自動生成し、広告メールを配信します。

 

杉原:ありがとうございます。何かサンプルをお見せいただけますか?

 

アレックス:もちろんです。メールの構造は、日本の法律に従って構成しています。日本ですと、送信元の表記が「パブリッシャー」または「広告主byパブリッシャー」という形になります。それから、ドメインがパブリッシャーです。さらに、ユーザーがなぜこの広告メールを受け取ったのかという説明をきちんと入れて、広告が入っていきます。全てHTMLベースのメールです。広告の下にCriteoのオプトアウト、パブリッシャーのオプトアウト、パブリッシャーのお問い合わせ先、という構造になっています。

 

criteo6

 

杉原:これは義務で入れなくてはいけないということですね?

 

アレックス:そうです。広告以外は、法的に必要な形で構成しています。

 

杉原:わかりました。ここが今までで言うとバナーのセクションで、それがメールで送られている、というイメージですよね。

 

アレックス:そうですね。それで、日本だとチャレンジングな部分が2つあります。1つ目は、ハッシュメールという情報を第三者に提供すること。Criteoはもちろん合法的なスキームを提供していますが、今までに日本市場で積極的に行われてこなかったため、心理的なハードルがあります。2つ目が、送信元がパブリッシャーでユーザーに広告メールを送るので、ユーザーにネガティブなインパクトが起きないか、というあたりの懸念がチャレンジングなところです。

 

杉原:なるほど。

 

アレックス:ただ、現在、メールの純広というのは、一部のメディアを除いて、商品としてあまり売れていない状況です。そこで、メールの純広にかかるオペレーションコストをほとんどゼロにしつつ、Criteoのスキームを使ってマネタイズしていただくのは合理的な判断で、すごく理にかなっていると考えています。

 

次のページは「パブリッシャー連携は2通りの方法」

Top