Criteo Emailの日本における可能性:Criteo アレックス・キベッツさんに聞く

Criteo Emailの日本における可能性:Criteo アレックス・キベッツさんに聞く

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本インタビューは2015年12月4日に収録した内容になります

 

杉原:今日はCRITEO株式会社のアレックス・キベッツさんにCriteo Emailの日本における可能性を中心にお伺いできればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

アレックス:よろしくお願いします。

 

杉原:では、まずは会社の概要について簡単に教えてください。

 

アレックス:Criteoは2005年にフランスで設立された会社で、リターゲティング広告を主軸にしています。現在、130カ国でサービスを展開していて、23カ国にオフィスを構えています。日本オフィスは2011年に設立されました。規模感で言うと、2015年の11月にQ3の発表をしているのですが、過去12ヶ月の売上高が11億ユーロを超えてきているので、1ユーロ130円換算でだいたい1400億円超えという規模感になってきています。

 

杉原:この数字はグローバルですよね?

 

アレックス:そうです。日本の数字は公表していません。あとは、グローバルでパブリッシャーは1万2000社、広告主は9250社と取引をさせていただいて、継続率も90%を超えているので、非常にご満足いただけているサービスを提供できていると自負しています。

 

Criteo Emailを2016年上半期にローンチ予定

杉原:ありがとうございます。では次に、アレックスさんがどういうお仕事をされているのか教えてください。

 

アレックス:私はBusiness Development Managerというタイトルですが、主にCriteo Emailビジネスの日本での立ち上げを担当しています。グローバルで定めているCriteo Email Business Developmentのミッションは2つあり、1つ目はCriteo Emailというビジネスを立ち上げるためのサプライサイドのデータベースの構築、2つ目は実際に今セールスが売っているクロスデバイスという商品の売上促進に繋がるデータの獲得。具体的にやることは、Criteo Emailとクロスデバイスの両方に関して、Cookieとハッシュメールの両データがCriteoとしては必要になるので、それを獲得していくこと。もう1つは、Criteo Emailビジネスに必要であるメールアドレスをご提供いただけるサプライデータベースの構築です。

 

杉原:それはコマーシャルメールのプロバイダーということですか?

 

アレックス:日本ですと、メールアドレスの売買市場が無いため、会員を保有していて、メールアドレスといったユーザーデータを使ってマネタイズをしていく意向があるパートナーを中心に、データベースを作っている状況です。例えば、ポータル、ポイントサイトやブログメディアといったサービスを提供しているパブリッシャーになります。

 

杉原:メールプロバイダだけではない、ということですね?

 

アレックス:そうですね。会員のメールアドレスを所有している会社。また、会員のメールアドレス宛に広告メールを配信できる会社。両社またはいずれかが、お取り組み対象のパートナーとなります。

 

杉原:なるほど。それは大事なポイントですね。

 

アレックス:僕の場合は、先ほどお伝えした2つのミッションをやっていくというのが大前提です。さらに、日本はまだ立ち上げフェーズなので、全体のプロジェクトマネジメント、本社との連携を通した事業計画の策定、セールスと連携しながら販売戦略を作っていく、ということも進めています。

 

杉原:まだ始めている段階なんですね?

 

アレックス:そうですね。セールスの販売戦略は、代理店と広告主との対話から、徐々に作っていっている段階です。

 

杉原:ローンチというと、どのあたりでイメージされていますか?

 

アレックス:ローンチは2016年の上半期が目標ですね。

 

杉原:なるほど。わかりました。では次に、サービスの内容についてご説明をお願いします。

 

広告メールのリターゲティング商品

アレックス:Criteo Emailは、シンプルに言ってしまうと広告メールのリターゲティング商品です。歴史からお伝えすると、2014年2月にTedemisという会社をフランスで買収したのですが、もともとTedemisが提供していた広告メールのリターゲティング商品を、今はCriteoのプラットフォームに統合して、既に欧米で展開しています。展開している地域で言うと、US、UK、フランス、イタリア、スペイン、ドイツです。APACではまだ展開しておらず、まずは日本からということで今ローンチの準備を進めています。

 

もう少し具体的にお話すると、広告主が運営をしている例えばeコマースサイトにユーザーが訪問したときに、このユーザーがいろいろ閲覧するじゃないですか。その後、離脱したときに実際に閲覧したデータに基づいて、パーソナライズされた広告メールを配信することができる、というのがこの商品です。

 

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特長をパブリッシャーと広告主、ユーザー(消費者)に分けてお伝えします。まずパブリッシャーというと、シンプルに言ってしまうと新しいマネタイズの収益源です。今までパブリッシャーは、広告の枠売りかユーザーからのサブスクリプション・課金というのがメインの収益源でした。日本市場は結構成熟してきているので、得られる収益というのは頭打ち感があります。最近、パブリッシャーが新しい収益源を探している中で、ユーザーデータというキーワードが挙がってきています。ユーザーデータを使ってマネタイズしていこうというものです。実際に今、上手くいっているのかというと、そんなにまだお金はできていないという状況です。その中でCriteoは、Criteo Emailという新しい商品をパブリッシャーに提供することで、ユーザーデータをマネタイズしていただけるスキームを提供しています。既に欧米では実績がある商品なので、そういう意味では、お取り組みするメリットが高いものだと思っています。

 

次に広告主へのメリットなのですが、シンプルに言ってしまうとセールスを高められる商品です。今、ディスプレイ広告のリターゲティングをご利用いただいているのですが、ディスプレイ広告だけではリーチしきれない新規ユーザーや既存ユーザーに対して、商品やサービスのレコメンドができます。特に強みになるのは、新規ユーザーの獲得ができることです。「新規」は、広告主のウェブサイトは訪問したことがあるが、会員登録はしていないユーザーを意味します。具体的に言うと、例えば、広告主のウェブサイトを会員登録をしていないユーザーが訪問したとします。いろいろ閲覧した後に離脱すると、広告主がこのユーザーをリターゲティングする方法は、今はディスプレイ広告しかありません。それを広告メールでも可能にしていきます。そのため、このユーザーがパブリッシャーのウェブサイトに現れなくとも、広告主のウェブサイトを離れた段階で、Criteoは1時間以内に広告メールで商品やサービスのレコメンドを送ります。広告メールを使って、新規ユーザーの獲得ができるソリューションは、日本に無いですし、欧米でも全く同じモデルは存在しません。

 

杉原:それはなぜでしょうか?

 

アレックス:このソリューションを提供するために、2つの参入障壁があるからだと考えています。一つは、広告メール内の商品やサービスのレコメンドを可能にするCriteoレコメンドエンジンの存在です。Criteoは広告メールを配信するたびに、パブリッシャーにCPMで報酬をお支払いします。つまり、メールを配信した分だけ、コストが発生します。しかし、配信した広告メールをユーザーが開封して、メール内のコンテンツをクリックして初めて、CPCベースで広告主から料金をいただきます。つまり、ユーザーにとって価値のある情報を届けた上で、その内容にユーザーが興味を示してくれないと収益が入らないので、このビジネスモデルを成り立たせる配信レコメンドロジックの精度が、参入にあたっての大きなハードルになります。

 

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杉原:そこはもともとのCriteoさんのテクノロジーでカバーされていると。

 

アレックス:そうです。Criteoがディスプレイ広告で培ったレコメンドロジックを適用して、開封率やクリック率を高めています。

 

2つ目は、プライバシー対応です。各国によって法律が異なるので、各国の法律を理解し、合法性をきちんと満たした上で、サプライサイドのデータベースを構築していくことが大変です。各国で弁護士や知識人と合法的なスキームを整理して、パブリッシャーに対して適切な説明を行いながら、開拓をしていく力技の面もあるので、実際やってみて、かなり労力を有するビジネスモデルであることを痛感しています。

 

杉原:そうですよね、確かに。
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