※本記事は、トランスコスモス株式会社 奥野辰広さんからご寄稿頂きました。
アドテクノロジーの進化により、運用型広告における環境も大きく変化した一方で、バナーや動画、ランディングページなど広告クリエイティブ(アドクリエイティブ)の重要性が高まっています。そこで、マーケターにおいても理解することが必要とされる制作者(クリエイター)との関わり方やマネジメント方法などポイントを3つに絞り解説していきたいと思います。
目次
Point1.クリエイティブの重要性
なぜそもそもクリエイティブが重要とされているのか。マーケターがクリエイティブを軽視できない3つの理由を解説します。
●広告配信先(掲載面・ターゲティング)の進化
アドテクノロジーの進展によりDSP/SSPによるRTB取引などデータに基づくリアルタイムな広告配信の定着やスマートフォンを中心とするインフィード広告など広告掲載や広告フォーマットの進化が顕著です。
●生活者を意識したコミュニケーション設計
個別の広告施策(広告キャンペーン)単位での断片的なコミュニケーション設計からウェアラブルデバイスの普及やIOTの拡大など生活者の行動やタッチポイントを意識した広告戦略やコミュニケーション設計が必要です。
●クリエイティブの検証と改善
広告配信先の掲載面や広告フォーマットの多様化など考慮しバナーや動画、ランディングページなど広告クリエイティブのコピーやデザインなどの要素検証を行いパフォーマンスの改善を図ることが大切です。
運用型広告の市場シェアが今後さらに増加する一方で、今まで通り単純に広告運用の最適化だけでは解決できないため広告制作部分と一気通貫で情報を共有しマーケティング課題を解決していかなれければなりません。また、生活者に適切な広告配信を行いコミュニケーションの最適化とパフォーマンス改善につなげることが必要です。
Point2.広告制作と広告運用における課題
広告制作と広告運用における根本的な課題を解決する上で、ツールの導入やシステム開発よりも先にマーケターが理解しておくべき3つの課題について解説します。
●制作作業・スキルの肥大化とコスト削減・業務の効率化
今日、クリエイティブの要求度合いが増加し広告制作の現場に求められる作業量・スキルが膨らむ一方でコスト削減や業務効率化が求められます。そのため自社のリソース以外にクラウドソーシングの活用やニアショア化をすることで、制作コストの削減やルーチン作業の効率化の検討も必要です。
■クリエイティブ制作の要求度合が増える一方で時間短縮とコスト削減も必要
●業務の複雑化を解消し簡素化
広告制作から広告入稿まで各担当者からの指示が複雑化し制作物の確認から修正指示、入稿依頼まで広告制作から広告入稿までのフローをできるだけ簡素化することが急務と言えます。下図の例であれば、広告配信するまでに広告主、広告代理店、メデイアレップ、媒体社とそれぞれのプレイヤーや担当者が複雑化しているためできる限り抜け漏れなく情報共有しメディアプランや入稿規定と一致した内容で適切に指示できているかが重要です。
■広告制作から広告入稿までの業務フローの例
●業務の属人化の解消とナレッジ構築
マネジメント的視点で広告制作や広告運用を見た場合に特定担当者のスキルだけに業務を依存するのだけでなく広告運用に関係する誰もが共通のルールで業務の標準化を図ることも必要です。広告運用(下流工程)のみならず広告制作(上流工程)から連携を図り、関係者全員が共通のルールや共通の認識で業務を推進することが大切です。
■業務の属人化を解消するための共通化と体制とナレッジ構築
また、運用型広告が主流となる中で、広告制作や広告運用に関係する管理コストを抑制するためにも関係者全員で共通化や体制づくりを図るためシステム化やツール導入による統合的な業務の管理を行う仕組みづくりも検討しなればなりません。
Point3.クリエイティブ・マネジメントを進めるには
実際に広告制作と広告運用の入稿、レポーティング業務など業務フローの連携を進めるには、いくつか問題をクリアしなければなりません。ツールの導入やシステム開発を進める上でマーケターが理解すべき2つの検討項目について解説します。
●ツール導入やシステム化について検討
単純に広告運用のROIのみにフォーカスするのでなくツール導入やシステム化を図ることで広告制作や広告運用の作業効率や働き方を変えることで、自社の業務改善やコスト削減につながるか検討します。また、ツール導入がコストに見合うかリスクの洗い出しやシミュレーションも必要です。広告制作や広告運用の統合管理ツールとして、クリエイターズマッチ社の「AdFlow(アドフロー)」などが代表的なツールとして挙げられます。
●ツール導入やシステム化にあたってのハードルと解決策
広告制作と広告運用の業務フローを連携するには、現場で理解が必要になるため小さな積み重ねから組織の理解を得ることが大切です。慣れたやり方やフローを変えるのは大変ですが、懐疑的な人を巻き込んでキーマンの理解を得ることが必要です。また、スモールスタートではじめ共有する体制づくりを行い関係者で良かった点、悪かった点をフィードバックし改善につなげることが重要です。
クリエイティブ・マネジメントの実際と広告運用の未来
最後のまとめとして、著者が実際に取り組んだクリエイティブ・マネジメントのした事例を基に今後の広告運用の未来に考えたいと思います。
●業務の改善から働き方を変え最大化する
著者が実際に広告制作と広告運用の業務連携を図るためにクリエイターズマッチ社の「AdFlow(アドフロー)」を導入し広告制作の管理工数を通常の方法と比較した場合に1時間程度、最大44%の工数削減し部内全体では約30%の工数削減が実現しています。
■クリエイティブ・マネジメントの実際と検証結果
工数削減により、制作時間が短縮されることによって、クリエイターが本来やるべき構成や企画などの上流工程により時間を充てられるようになりました。単純に広告運用でのROIのみにフォーカスするのでなく広告制作や広告運用に関わる作業効率や働き方を変えることで、ROIの最大化を図ることも必要です。
まとめ:広告制作と広告運用の連携が必須の時代
運用型広告は数年でもっとも進化している広告分野のひとつであり、FacebookやTwitter、Instagramをはじめとするインフィード広告などタイムライン上に違和感なく馴染ませるための画像やテキストなど対応したクリエイティブに関しても最適化する必要があります。
また、広告制作するクリエイターと広告運用するプランナー、オペレーターが同じ共通の認識を持つことで、良質なクリエイティブと広告の運用が可能でありデータ分析しクリエイティブと広告運用の最適化を行うことでより事業成果に貢献することが期待できます。
みなさまも是非この機会に広告運用の最適化だけでなくクリエイティブ・マネジメントについて考えてみてはいかがでしょうか。