ショッピング向けリマーケティングリスト
2015年10月21日(日本時間で22日)、AdWordsのショッピングキャンペーンでもリマーケティングリスト(以下:RLSA)の利用が解禁になっています。これにより、通常の検索連動型広告と同じように、商品リスト広告やローカル在庫広告でもリマーケティングリストを活用することが可能になりました。
リンク:Inside AdWords: Seize holiday shopping moments with new tools and insights
Googleはここ2-3年、一年で最もEコマースの売上が伸びるホリデーシーズンの第4四半期(10月-12月)に標準を合わせ、新たなツールや機能のリリースを集中させてきています。2015年は「YouTube向けショッピング広告」という大物をはじめとして、「品揃えレポート」や「Shopping Insights Tool」などもその一環だと思われますが、それにさらにもう一つ機能が加わったということになります。
設定方法は通常の RLSA と同じなので詳述は省きますが、これまでの RLSA と違い ショッピング広告は広告文やランディングページ、キーワードはコントロールできない(厳密には微調整は可能)ため、RLSA の応用範囲は自然と入札にフォーカスされやすいと思います。ホリデーシーズンはEコマースの入札は毎年高騰しますが、今年はそれに更に拍車をかけそうな機能が発表されたということになりますね。
ベータテストではCVR5倍のリストも
既にこれまで一部の大手広告主向けにベータテストが行われていましたので、実績もいくつか公開されています。
Rakuten Search のシニアSEMスペシャリストの Yuly Gonzalez氏は、ベータテストの結果を以下のように語っています。
ショッピング向けリマーケティングリストは、我々の運用する Magazines.com で非常に素晴らしい成果を上げました。過去の訪問でコンバージョンしなかったユーザーに戦略的にターゲティングできたことで、結果としてCVRは285%上昇し、CPAは68%下げることができています。これまでテストした中で最も有効だった機能の一つです。
“Shopping remarketing lists have proven incredibly successful for Magazines.com. We’re able to strategically target consumers who did not convert in previous visits, driving 285% higher mobile and desktop conversion rates with 68% lower CPAs, making it one of the most effective features we’ve ever tested.”
Source: http://adwords.blogspot.jp/2015/10/seize-holiday-shopping-moments-with-new.html
WordStreamでは、既にベータテストのアカウント26社のデータをまとめたグラフを公開しています。
Source: http://www.wordstream.com/blog/ws/2015/10/21/shopping-remarketing-lists
上記のグラフでは、リマーケティングリストごとの CTR と CVR が表示されていますが、見て分かるとおり、新規ユーザーのリストとリピーターのリストとではそれぞれの指標で2倍ほどの開きがあります。さらに、カート放棄や過去の購入者に絞れば、その差は5−6倍にもなります。CVRに開きがあるので CPA も当然下がり、多くのアカウントで4分の1ほど低い結果が出ていたとのことです。
「リストの範囲を狭めているんだから当然じゃないか!」という話もありますが、Eコマースの場合、よほどレアな商品でない限り、競合他社でも同じ商品を扱っている場合がほとんどだと思いますので、既に知っているショップかどうか、既にアカウントがあるショップかどうかはショッピング体験において重要な要素であることは間違いありません。大規模のEコマースサイトであればあるほど、RLSA でカバーできるユーザーの範囲は広がるため、この機能の有効性は高いのではないかと思われます。
アメリカでは商品リスト広告の CPC が一般キーワードの CPC を上回っている状況のため、RLSA は入札調整においてすぐに必須機能化すると思いますが、日本では、一般的に商品リスト広告の CPC は、キーワードの CPC より下回る傾向にありますので、今回のショッピング向けリマーケティングリスト機能は、ROIの観点からもアメリカ以上に試しやすいのではないかと思います。利用できるアカウントではぜひ試してみてはいかがでしょうか。