検索連動型広告の入札変更時の注意すべきポイントを事例から解説
運用型広告は、実施したすべての施策が良い結果に結びつくとは限りません。しかし、良い結果に結びつかなかったからと落ち込んでいる時間はありません。何が良い結果に結びつかなかったか客観的に分析し、もう一度チャレンジすることが大切です。
しかし、施策の実施時に知っていれば防げることは、防ぐことが大切です。特に運用型広告に携わって間もない人にとって、何が落とし穴になるのか、わからないことも多いと思います。今回は検索連動型広告の入札変更時の注意すべきポイントを、よくある事例から解説します。
入札調整をすると、獲得単価が高くなる?
検索連動型広告では、アカウントに登録しているすべてのキーワードを日々注視することは難しく、「コンバージョンが多く注視すべきキーワード群」と「その他のキーワード群」に分類して運用を進めます。「コンバージョンが多く注視すべきキーワード群」は、日々注視しているので随時入札調整を実施します。しかし、「その他のキーワード群」の入札調整はある一定の頻度になります。
注意すべきポイントは「その他のキーワード群」のコンバージョンに結びついているキーワードに着目し、コンバージョン数の拡大を狙う場合です。
コンバージョンに結びついているキーワードの平均掲載順位が低く、目標獲得単価から上限入札単価を上げる余地があれば、入札強化をします。しかし、1週間後に確認すると平均掲載順位は高くなり、平均クリック単価も上昇したが、コンバージョンに結びつかなかった結果獲得単価が高くなり、入札を戻すということはよくあります。
広告運用者としては、少しでもコンバージョンを増加させたい意図で入札強化をしたのですが、意図通りの結果になりませんでした。なぜ、このような結果になってしまったのでしょうか。
コンバージョンに結びついたキーワードを因数分解
コンバージョンに結びついていたキーワードの入札を強化した気持ちは理解するのですが、しっかりとコンバージョンしたキーワードを因数分解して確認しておくことが大切です。
・マッチタイプを確認し、検索クエリを確認する
まず、コンバージョンに結びついたキーワードのマッチタイプを確認します。完全一致の場合は検索クエリと登録キーワードが完全に一致している。または表記ゆれの範囲でコンバージョンに結びついています。しかし、フレーズ一致と部分一致の場合は、コンバージョンに至った検索クエリを確認しましょう。
念のために検索クエリを管理画面で確認する場所を確認しておきます。Yahoo!広告、Google 広告共にキーワードタブ内です。
また、実際に確認できるデータにはYahoo!プロモーション広告とGoogle 広告で違いがあります。
Google 広告のカラムで赤枠で囲った「キーワード」の部分が、Yahoo!広告のカラムにはありません。ユーザーが実際に検索した検索クエリは、Yahoo!広告では「検索クエリー」、Google 広告では「検索語句」です。赤枠の「キーワード」は、アカウントに登録しているキーワードです。(ヘルプ:検索語句レポートについて)
Yahoo!広告では、ユーザーが検索した検索クエリがどのキーワードに紐付いたか明確になっていません。Yahoo!広告で確認する場合は、下記の様にコンバージョンに結びついたキーワードを選択し「選択したキーワード」から確認してください。
アカウントに登録しているキーワードだけではなく、検索クエリまでしっかりと確認しておきましょう。キーワードと検索クエリがあまりにもかけ離れている場合、偶然のコンバージョンかもしれません。キーワードだけではなく、検索クエリまで確認しておきましょう。
・コンバージョンに結びつく頻度は?
また同時に、コンバージョンが偶然か否かの確認が重要です。たまたま部分一致で表示された時に、コンバージョンに至る場合もあります。「その他のキーワード群」はコンバージョン数が多くないため、入札を強化するか、現状を維持するのか判断が難しい場合が多々あります。
通常の運用でキーワードレポート抽出期間は、当月、過去30日や過去7日間を選択します。しかし、コンバージョン数が多くないその他のキーワード群」ではレポートの抽出期間を、3ヶ月くらいまで延ばして確認した方が判断がしやすくなります。毎週コンバージョンに結びついていないが、1ヶ月に1回コンバージョンに結びついているキーワードもあります。逆に、先週に偶然コンバージョンに結びついた場合もあります。確認する粒度は週別で問題ありません。ある一定の頻度でコンバージョンに結びついているキーワードか否かを把握しておくことが大切です。
・上位掲載をすればコンバージョンは増えるのか?
ここまでマッチタイプ、検索クエリ、コンバージョン頻度を確認してきました。最後は、入札を強化し上位掲載をすればコンバージョンが増加するのか?を考えます。
当然、入札を強化すれば平均クリック単価が現状よりも高くなる可能性があります。また、クリック数も増加することが予測されます。コンバージョン率(CVR)が現状と同じだとしても、平均クリック単価が高くなれば、獲得単価は現状よりも高くなります。クリック数は増加してもコンバージョンに至らない可能性もあります。入札強化をするか否かの判断はとても難しい問題です。
上位掲載すればコンバージョン率が増加するのか?掲載順位に関係なく一定のコンバージョン率なのか?下位掲載の方がコンバージョン率が高くなるのか?業界によって異なります。また、単体キーワードと掛け合わせキーワードで異なります。運用中のアカウントが、どのパタンに当てはまるかを把握しておくことは重要です。
Y(縦)軸がコンバージョン率、X(横)軸が平均掲載順位です。上記の場合、平均掲載順位がおおよそ6位前後でコンバージョン率に変化が見られます。6位以下の場合は、獲得単価が許容できる範囲で入札した方がよい傾向があると判断ができます。このような傾向をキーワード属性単位で把握していると判断に迷いがなくなります。
まとめ
検索連動型広告の入札調整でよく見かける失敗事例を入り口に、入札調整前に確認すべきポイントを解説してきました。入札調整は検索連動型広告の基本的なスキルですが、獲得単価や掲載費用に直結するとても重要なスキルです。勘に頼らず明確な根拠をもち、傾向を把握した入札を実施することは大切です。勘に頼った入札調整では再現性が低く安定した結果に結びつきません。運用型広告のスキルは再現性を重視して身につけることをお勧めします。