Facebookの 2015年第三四半期(7−9月:以下「Q3」) ベンチマークレポート が米Nanigansから発表されましたのでご紹介します。
リンク:Facebook Carousel Ad, Mobile Spending Grow in Q3 2015 [Report]
目次
ハイライト
■1広告主あたりの広告予算が増加
まずは出稿金額に関するレポートですが、前四半期に比べ16%広告予算が増加したようです。2015年のQ3はアップデートの嵐でしたので、新製品ラッシュが効いたのでしょうか。
■グローバルでCTRが改善
北米を除く地域の平均CTRが前期比+17%、前年同期比+96%と伸長しています。2014年Q4から4期連続で改善しており、今期に関しては特にアジア太平洋地域の伸び率が最大だったようです。
■モバイルへの出稿がさらに増加
今期は出稿額全体でモバイルが占めた割合が73.4%となり、前期比で+10%、前年同期比は+18%となりました。モバイルに配信されている広告のうち60%がEコマースの広告主で、そのEコマースの広告主がモバイルへの出稿割合を14%増加させたことが大きな要因となっています。
■カルーセル広告の利用率増
最大5つのアイテムをスクロール表示させるカルーセル広告はやはり人気の様子で、全体の出稿額のうちカルーセル広告に費やした割合が前期比+55%となっています。8月に発表された Dynamic Product Ads の機能強化(※)などが背景にあることが想定されます。
※関連リンク:Facebook、Dynamic Product Adsのアップデートを発表
CTR
グローバルのCTRは0.96%となり、前期比で+9%、前年同期比で+69と堅調な伸びを見せました。これは2013年Q3から Nanigans が当調査を開始してから最も高い数値とのことです。
Eコマース業界では前期比+11%、前年同期比+47%で、こちらも Nanigans の調査史上最高値となりました。
一方、ゲームアプリ業界は3期連続で低下傾向になり、前期比−1%、前年同期比は-16%となっています。なお、CTRは右肩下がりですがエンゲージメント率の方は2015年に入ってから横ばいの数値となっているそうです。
CPC
グローバルにおけるCPCは$0.54となり、前期比で+18%、前年同期比では+2%に留まっています。2014年のQ1からは2014年Q4を除いて$0.50 – $0.54の間で推移しています。
Eコマース業界、ゲームアプリ業界のCPCは下図の通りで、いずれも前期比、前年同期比ともに上昇しました。ゲームアプリはもちろん、Eコマースも広告枠の少ないモバイルへの出稿が増えているため、相場そのものが上がってきている可能性が考えられます。特にゲームアプリは今期CTRも落ちていますので合点がいきます。
CPM
グローバルのCPMは$5.15に達し、”2013年Q3に Nanigans がデータを公開してから最高値”とのことです。筆者が運用するアカウントもキャンペーンによってはQ2と比較して200%近くまで高騰しているキャンペーンもありましたので、実感としてわかりやすい数値です。
Eコマース業界、ゲームアプリ業界についてはEコマースの上昇率が高く、前期比+66%、前年同期比+70%でした。なお、デスクトップアプリを取り扱う広告主は右側広告枠等デスクトップ固有のプレースメントにおいて出稿金額が減少したそうです。やはりデスクトップでもニュースフィードに集中しているのでしょう。
地域別の動向
Nanigans が地域を(1)アメリカ、(2)欧州、中東、アフリカ、(3)アジア太平洋地域 に分けて独自に調査を行ったデータも紹介させています。
各地域の広告アカウント(Nanigans経由の出稿のみ)の数百万ドル分のキャンペーンを分析して得られた結果だそうですが、(3)アジア太平洋地域 におけるモバイルへの出稿比率は他の地域に比べて一回り大きく、CPCなど各指標も他地域に比べ増加しています。アメリカ本国を超える1億人以上のユーザーを擁するインドを始め、ベトナムやフィリピン、インドネシアなどもユーザー数が伸びてきているため、広告主の数も必然的に増加しているのでしょう。
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今回のレポートではカルーセル広告の伸びとアジア太平洋地域限定のデータが印象的でした。
文中でも触れましたが、カルーセル広告の利用シーンは大半が Dynamic Product Ads かと思われますので、それだけデータフィード広告のニーズがあるのだと感じます。実際に Facebook for Business で Dynamic Product Ads の成功事例を検索すると、2015年10月28日時点で、299件の事例が紹介されています(言語を英語に切り替えていただくとグローバルの事例が全て確認できます)し、今年5月にフルローンチされたことを考慮すると短期間で成功事例を量産している形になります。
また、アジア太平洋地域のCTR、CPC、CPMが突出して増加しておりましたが、ユーザー数も確実に伸びてきていることから、広告媒体としてというよりもFacebookというプラットフォームそのもののバリューが高まっているように思います。日本のユーザー数は人口に対して20%弱と多い方ではありませんので、広告機能ももちろんですがユーザーの伸びに期待したいところです!