検索連動型広告で改善の前に確認すべきアカウントの設定状況とは
検索連動型広告では、過去の経験から具体的な改善施策を進める前に、アカウントの設定状況を確認しておくことが重要です。どんなに素晴らしい改善施策を考えアカウントに反映しても、アカウントの設定が意図と異なっていると最大限の効果を発揮しません。
足元のアカウント設定をしっかり見直し、設定を変更するだけで大きく改善する場合もあります。リスティング広告は、設計と設定が重要だとよく言われています。今回は改善施策に入る前に、確認しておいた方がいい基本的なアカウント設定について解説します。
広告文の最適化設定
Google 広告(旧Google AdWords)の管理画面では「広告配信:広告ローテーション」と表示され、Yahoo!広告の管理画面では「広告表示の最適化」と表示されています。注意点は「コンバージョンで最適化」を選択可能なのはGoogle 広告のみです。
運用で何かしらの意図がない限り、Google 広告の「無期限にローテーション: 掲載結果が低い広告にも、均等に表示機会が与えられます。最適化は行われません」(以下、「無期限にローテーション」と表記)、Yahoo!広告の「無期限で均等に配信(最適化しない)」(以下、「無期限で均等に配信」と表記)の設定はおすすめしません。
参照URL: 広告のローテーションとフリークエンシー キャップを使用する
Google 広告の「無期限にローテーション」、Yahoo!広告の「無期限で均等に配信(最適化しない)」の設定は、表示回数を均等にする意味ではなく、表示機会=広告オークションへの参加を均等にするという意味です。そのため、Google 広告の「無期限にローテーション」、Yahoo!広告の「無期限で均等に配信」を設定しクリック率の低い広告でオークションに参加した場合には、広告が2ページ目表示されてしまうことや、広告がそもそも表示されない可能性も出てきます。
もちろん、決してGoogle 広告の「無期限にローテーション」、Yahoo!広告の「無期限で均等に配信(最適化しない)」の設定してはいけないということではなく、広告検証で意図的に設定している場合はそのままで問題ありません。ただし、検証が終わった後の設定変更を忘れないように注意が必要でしょう。
広告表示オプション
※Google 広告のみの機能あり
ご存知の方も多いと思いますが、広告表示オプションには数種類あります。Google 広告では、サイトリンク表示オプション、コールアウト表示オプション、電話番号表示オプションなど、Yahoo!広告のクイックリンクオプション、電話番号オプションになります。
よく見かける設定としては、特定のキャンペーンのみに設定している場合や、サイトリンク表示オプションのみ設定しており、コールアウト表示オプションが設定されていない場合などです。
広告表示オプションは設定しても表示されない場合があるため、サイト名や会社名など、いわゆるブランドキーワードを登録しているキャンペーンや広告グループのみに設定している場合が多いです。表示回数の多い広義なキーワードで表示されることは少ないので、自然とそうなることは理解できます。
しかし、実際には「転職」などのような表示回数の多い広義なキーワードでも表示されてる場合もありますし、Google 広告では広告表示オプションが広告ランクに影響することが明示されています
広告表示オプションを設定しておけば、上位に表示される可能性も高くなり、クリック単価も下がる可能性があります。広告表示オプションを設定することにデメリットはないことが考えられますので、設定可能な範囲で広告表示オプションの設定をしておいた方がよいと思います。
拡張クリック単価(拡張 CPC)
(※Google 広告のみ)
運用が進むと曜日別や時間帯別で成果の状況を確認したり、さらには曜日×時間帯別で分析をすることがあります。その結果、何曜日の何時に入札を強めればよいかを判断し、その曜日や時間帯の入札を強めることで成果を増加させることを考えます。その時に最初に候補として上がるのが、Google 広告の「広告のスケジュール設定」やYahoo!広告の「曜日・時間帯ターゲティング」の機能です。
もちろん、この機能を使って入札を強めることは可能ですが、デメリットもあります。キャンペーン単位で設定しなければならず、効果が良くない広告グループやキーワードの入札まで上がってしまうことです。良かれと思って設定した結果、効果が悪化することもあります。
効果を出すために、アカウント構成を変更することも選択肢としてあるのですが、作業工数に対しての改善率を考えると現実的ではないことが多いです。このような場合は拡張クリック単価(拡張 CPC)の設定をおすすめします。
拡張クリック単価(拡張 CPC)は、広告グループ、またはキーワード単位に設定した上限入札単価から+30%〜-100%の範囲でオークションの度に自動入札してくれる機能です。この機能のポイントとしては、効果が悪いと判断した場合には-100%を選択をしてくれることです。オークション毎に判断して入札してくれる非常に有効な機能だと思います。なお、この機能を使う場合は、コンバージョンタグの設定が必要になります。
また、拡張クリック単価(拡張 CPC)は、「広告配信:広告ローテーション」の「コンバージョン重視で最適化: コンバージョン率の高い広告が優先的に表示されます」と組み合わせると効果的だと思います。拡張クリック単価(拡張 CPC)を設定しているにも関わらず、「無期限にローテーション」を設定していることも時々見かけますので、念のため確認してみてください。
広告掲載方式の指定
※Yahoo!広告のみ
既に知っている方は知っていると思いますが、Yahoo!広告のキャンペーン設定には「広告掲載方式の指定」の項目があります。少しわかりにくい場所にあるのかもしれません。キャンペーン設定の画面下部にある「その他の設定」内にある「広告掲載方式の指定」の部分になります。「広告掲載方式の指定」には「検索を含むすべての広告掲載方式」と「検索のみ」が選択できます。
「検索のみ」は検索結果ページへ掲載されることは理解できます。しかし、「一覧リンクやキーワードからの誘導先ページ、カテゴリーページなどでの広告表示」の部分はイメージしにくいと思います。カテゴリーページに掲載されている例はこちらで確認して見てください。ページの下部に、下記のように「スポンサードサーチ」と明示されている部分が当該箇所になります。
もちろん、掲載箇所別のパフォーマンスを確認する方法はあります。方法は2つあり、一つ目はYahoo!広告管理画面の分割機能を使った方法です。
もうひとつは、レポートで確認する方法です。
管理画面、レポート共に「ウェブ検索」が「検索サイトの検索結果での広告表示」に該当し「その他広告掲載方式」が「一覧リンクやキーワードからの誘導先ページ、カテゴリーページなどでの広告表示」に該当します。
「検索を含むすべての広告掲載方式」を設定している場合に起こるのですが、入札変更をしていない状況で、審査関連の問題を確認しても問題ないにも関わらず、表示回数が突然少なくなったりすることがあります。その場合は「その他広告掲載方式」での表示回数が落ち込んだことが想定されます。落ち着いて、まずはレポートで状況を確認してみて下さい。
まとめ
検索連動型広告では、改善施策を考え、実行し、結果を分析し、次の施策へつなげるサイクルを作ることはとても重要です。一方で、改善施策以前に、アカウントの設定が理由で効果を最大限発揮できない状況になってしまうのは、非常にもったいないと思います。
日々の改善施策や運用が着実に成果に結び付くように土台をしっかりとさせておくことはたいへん重要です。複雑な変更を実装する前に、実は設定を変更するだけで改善することもあります。この機会にアカウント設定を見直してみて頂ければ幸いです。