部分一致(セッションベース)の終了
2015年7月15日、AdWords の検索語句レポートのマッチタイプ欄に表示される「部分一致(セッションベース)」が、2015年8月24日以降はなくなるというアナウンスがありました。今後はすべて「部分一致」に統一されるようです。
リンク:Important change to the “Broad match (session-based)” match type label On or…(Google+)
今回の変更は「レポートをシンプルにするため(”To simplify the way we report on match types, it’ll be removed from all of our reports, including historical reports.”)」と説明されおり、8月24日以降はそのクエリが「部分一致」か「部分一致(セッションベース)」かを判断できなくなります。
今後は過去の分も含めて確認ができなくなりますので、もし必要な場合は前日までに検索語句レポートをダウンロードしておいて下さい、とのことです。
部分一致(セッションベース)とは
ところで、この「部分一致(セッションベース)」とは何ぞやということですが、正確に(でも分かりにくく)表現すると、以下のような説明になります。
「同一セッションの中で複数の検索クエリがあった場合、そのセッション内に入札していたキーワードとマッチする検索クエリが(比較的短いスパンで)あった場合、当該クエリと入札キーワードが一致していなくても、広告がオークションに入り、クリックもしくは多くのインプレッションを獲得していた場合に検索語句レポートに表示されるマッチタイプ」
この説明だと余計分かりにくいと思いますので、具体例をちょっと示します。ぜひご自身のブラウザでも検索してみて下さい。
まず、「沖縄 旅行」と検索。
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同じ検索結果で、その次に「那覇 ホテル」と検索。
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これで、Googleは「この人、沖縄行く気満々の人だ」という認識をしました。
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同じ検索結果で、今度は「旅行」と検索して下さい。
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そうすると、検索結果に出る広告は、沖縄関連のものが多いと思います。
通常の検索連動型広告の考え方では、検索クエリが「旅行」なので、「旅行」というキーワードで入札している広告主の広告が並ぶはずですが、この場合は、同じセッションで沖縄関連の検索を複数回行っているので、過去のクエリが考慮され、「沖縄」や「那覇」を含むキーワードがトリガーとなって広告が表示されている、ということになります。
「旅行」というキーワードに入札していなければ完全一致ではなく部分一致ですし、同一セッション内のみ「旅行」というキーワードではなく「沖縄 旅行」といったキーワードにマッチングしているので、「部分一致(セッションベース)」と表示されるということです。
これは関連性を考慮して部分一致の解釈を広げるための仕様で、ずいぶん昔から導入されている機能です。Googleが膨大な検索履歴を保持してリアルタイムに分類しているからこそ可能な仕様ですね。
今回の変更にともなう影響は
変更としては小さなものですし、多くの広告運用者にとって業務上に大きな影響はないように思われますが、個人的にはあまり歓迎できない仕様変更だなと考えています。
理由は、これまでは「部分一致キーワードで、一定量の意味の広い検索クエリをセッションベースで拾っていた場合、それがセッションベースによるものか部分一致の精度によるものか、はたまたアカウント構成や入札単価による影響かが判断可能」でしたが、今後はそれが分からなくなるからです。
そのため、単純に検索語句レポートを見た場合に「部分一致の精度が悪くなった」とか「じゃあ完全一致除外しておくか」と早合点する可能性が増えることにもつながってしまうおそれがあります。
本来はデータを見ながら判断すべきところですが、どうしても「入札していないキーワードで出ている」という印象になりやすいため、中長期的に見ると表示機会の減少や除外キーワードの余計な設定につながってしまうかもしれません。(もちろんこういった議論はあったはずなので、杞憂なのかもしれませんが)
APIも変更
ちなみに、今回のアナウンスに合わせて AdWords API にも変更があります。
リンク:Google Ads Developer Blog: Removal of MatchType.BROAD_SESSION in AdWords API reports
管理画面の仕様変更と同じく、”MatchType” のカラムにある “BROAD_SESSION” がなくなり、今後は “Search query performance(検索語句レポート)” では “broad (session-based)” の代わりに “broad” の値が返されるようになります。
検索語句レポートを API や AdWords Script を利用して作成している場合は、ご注意下さい!