投稿数だけでなく視聴数も猛追
以前、「FacebookとGoogleがしのぎを削る動画広告市場の変遷」という記事でも紹介したとおり、動画における Facebook の存在感は急激に増しています。
データ分析を手がける英 Ampere Analysis が先日公開したインフォグラフィックによって、Facebook が動画市場において YouTube を猛追している様子が改めて明らかになりました。
Source: Ampere Analysis ? Understanding the Future of Television
上記のインフォグラフィックで注目すべきは、右上にある四半期ごとの動画試聴回数のグラフです。2014年の第三四半期では YouTube の10分の1程度しかなかった Facebook の動画視聴数は、半年後の2015年第一四半期には YouTube の約半分近くまで急伸しています。
同じデータですが、以下の ClickZ で紹介されていたグラフの方が Facebook の急伸が捉えやすいかもしれません。濃い青で示された Facebook の動画視聴数がこの一年で急激に伸びていることが分かります。
リンク:Facebook Video Views Gaining on YouTube [Study] | ClickZ
Facebookが2015年1月7日に発表した動画利用動向をまとめたレポート記事によれば、ニュースフィードに表示される動画のボリュームは、2013年末から2014年末の1年間で約3.6倍増加したほか、ユーザー1人当たりの動画の投稿件数は75%増加しているとのこと。
画像:Facebook Video: New Universal Language
これまで、Socialbakers の発表のように、企業の動画投稿数における Facebook の優位性はすでにデータが示されていましたが、動画の視聴数においても急激にキャッチアップしていることが、自社発表だけでなくサードパーティの調査からも証明されたかたちです。
なお、Ampere Analysis は、Facebook の動画視聴回数は 2015年末には2兆回に達するだろうと予測しています。これは YouTube の予測動画視聴回数の約3分の2に及ぶことになり、この2社は名実ともに動画市場の双璧となるだろうと考えられます。
投稿者/クリエイターへのインセンティブ設計がカギか
Ampere Analysis が指摘しているとおり、YouTube に有って Facebook に無い大きな機能が、クリエイターへの収益配分です。YouTube は YouTuber と呼ばれるようなクリエイターに収益が分配される仕組みがありますが、2015年6月時点では Facebook にその機能はありません。企業だけでなく個人が積極的に発信する仕組みの整備が、Facebookにとって動画を握るカギになると言えるのかもしれません。
もちろん Facebook は何もしていないわけでなく、既に Verizon との動画スポンサーシップのテストを始めているように、対策に本腰を入れてきていますし、(ユーザーにとって有益かどうかは議論があるものの)TrueView と同じようなプレロールの広告モデルの登場も予想されています。
リンク:Verizon Wireless to Kick Off NFL Video Clips on Facebook
収益面においても、低い CPC が取りざたされている YouTube と、非常に高い CPM を誇る Facebook が、それぞれどのような戦略を採用するのかは注目に値します。
今後、モバイルが動画視聴のメインデバイスとなり、2社がしのぎを削ることによって、数年後の動画市場は今とは違った地図が展開されているかもしれません。引き続き注目していきたいと思います!