米国時間の3月11日、Facebookが新しいプロダクトであるトピックデータを発表しました。ここ最近のFacebookのリリース情報はすごいですね。
リンク:Topic Data: Learn What Matters to Your Audience
トピックデータとは?
トピックデータは、Facebookユーザーのアクティビティ(どのようなイベントやブランドに興味を示しているのか)を指し、今回の発表はユーザーの個人情報を保護したまま広告主にデータを提供する、という内容です。トピックデータを活用することにより、Facebookはもちろん他のチャネルでもより良い意思決定が行え、自社製品のロードマップを構築することができるようになる、と伝えています。
Facebookは「誰に」広告を出すか、を高い精度でコントロールできる媒体ですが、さらに「どのタイミングで」出せばいいのかわかるようになれば、ユーザーのニュースフィードには「いま」欲しい情報 or 製品が表示される機会が増えます。
ニュースフィードに配置できる広告は限りがあり、在庫そのものを増やすことはユーザーエクスペリエンスに良くない影響を与えるでしょうから、このように効率良く配信するためのプロダクト開発に着手したのでしょう。
トピックデータの活用例
・ヘアケア製品を販売する事業者の場合:髪の毛のケアについて話している人々のデモグラフィックを確認することができ、自社のターゲットとなるユーザーへの理解を深めることができる。
・アパレル関連の小売業者の場合:ターゲットのユーザーが、どの洋服の購入を検討しているか確認できる。
・ブランド製品の場合:人々が自社や業界についてどう思っているか分析できる。
この手のデータはこれまでサードパーティー企業から入手できましたが、その多くはボリュームが少なく、有意義なデータとは呼べませんでした。一方、トピックデータはデータをグループ化し、トピックにまつわる全てのアクティビティ(メッセンジャーを除く)を提供してくれます。初めて実用的なオーディエンスデータを受け取ることが出来る、というわけです。
※広告のターゲットとして直接利用することはできないようです。
トピックデータでどこまで細かい情報を得られるかまだわかりませんが、例えば「”車”に興味を持っているユーザーで、これまでは国産車のコンテンツを中心に閲覧していたが、ここ最近でドイツ車への関心が高くなっている」、であったり「◯◯県に済んでいる◯◯〜◯◯歳のユーザーの外食のトレンドは中華」といった具体的なデータが確認できれば、アカウントを設計する時点である程度予算をフォーカスするオーディエンスが決められるため、非常に有用なデータになると思います。
上記アパレル業者の例では、検討段階にある特定の製品を確認できるとされていますので、利益率が高い製品をレコメンドして広告を出すなど、用途は未知数です(粒度と精度によりますが)。
ユーザーの個人情報は保護されたまま
他のインサイト同様に、トピックデータに使用されるすべての情報は匿名化して集計されます。カスタムオーディエンスを作成した時に、データがハッシュ化されるのと同じ要領ではないかと思われます。
パートナー企業《DataSift》
トピックデータ開発にあたり、データ業界のリーディングカンパニーである DataSift と提携した、と伝えています。DatasiftはTwitterとも提携していますので、これでSNSの両雄とパートナーになった形になります。
利用開始にあたって
いまのところ、US、UKの Datasift のパートナー企業が利用可能になるようで、日本で使えるようになるのはまだ先になりそうです。また、トピックデータを利用するにはFacebookの承認が必要、とも記されています。じっくりテストした上でグローバルで展開されるのでしょう。
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元記事の最後は「我々のプランでは、慎重に反復処理を行い、実用性を高めていくつもりです。」と締められており、”Move Fast”のFacebookらしからぬ思慮深さに、個人のデータの取扱いの難しさが垣間見えた気がします。トピックデータが洗礼されたプロダクトになれば、広告を出す前の調査が格段に行いやすくなりそうなので、日本でのローンチが楽しみです。