強力なエンジンと秀逸なテクノロジー
まず、エンジンに関しては、 鈴木氏の「パフォーマンス」という言葉へのこだわりから分かるように、その目的からぶれることなく地道に改良を加えてきた結果が全体の業績に現れている形です。費用対効果を実現するという意味では現状ではかなり他社をリードしているのではないでしょうか?
予測やレコメンドの精度などキモの部分に関しては、独自のゾーンに入ってきたように感じます。今回の事業説明会では触れませんでしたが、最近DataPopという、データフィード/クリエイティブ最適化のエキスパート集団で構成される米国の会社を買収しました。これにより、クリエイティブ最適化のエンジンにも磨きがかかると思われます。
COS Optimizer投入による売上金額最大化はニーズは十分あると考えられ、一定の効果が見れれば、さらに予算がCriteoにシフトすることも十分考えられますね。
個人的にはPCでの成功を収めた後、モバイルソリューションの市場投入に時間をかけた印象を持っていましたが、iOSへの配信も独自技術でクリア。加えてクロスデバイス、Facebook、ネイティブ、メールなど、マルチチャネルも拡大し、ソリューションの幅を広げているため、こちらに関しても効果次第ではさらなる利用が促進されると考えてもおかしくないと思います。
運用者フレンドリーな機構
元々Criteoはデータフィードとアカウントの構築ができれば、Optimizersによる最適化機能により日々の運用負荷は比較的かからないほうかと思います。今後COS Optimizerが実装されても同様です。
マーケターは全体施策を考えたり、データフィードに流す商品データベースの属性情報をより最適化することに時間を費やすことができます。マルチデバイス配信が実現した際に、どんなデータが見れて、どんな運用アクションが考えられるのか、興味があるところです。
ITとマーケティングの融合を推進
欧米と比較して、日本のEC、旅行、不動産等の商品点数が多い業種におけるでデータフィード活用はなかなか進みませんでした。これは例えば欧米のECサイトなどですと、AmazonなどのECサイト系、ショッピング比較エンジン(CSE)系、Google PLAやCriteoなどの広告系、アフィリエイト系などデータ連携先が無数にあり、データフィードで一斉に配信しないと有効な網を張れないという事情があります。
ところが日本はある程度限られているので、各連携先に対して手作業更新するか、連携する商品データを売れ筋のみに限定してしまうという形を取っていました。そこで出てきたのがCriteoです。費用対効果が高いので、各社ともデータフィードの構築を進んで実施しました。その結果、あっという間に現在のCriteoのクライアントベースができてしまいました。
これは実は画期的なことだと思っていて、商品データベースという社内のITシステム部門の管轄にあったデータ資産を外部のマーケティング利用のために活用する環境ができたということになります。いわゆるマーケティングとITの融合です。
これは実際はいろいろな社内のハードルがあり、なかなか実現しづらいのが現実なのですが、日本においては特に、Criteoがその重い扉を押し開けたといっても過言ではありません。
今回、もう一つ画期的だと思ったことは、マルチデバイス配信を、広告主企業から提供を受けるユーザデータから実現するという点です。 これはつまり、もう一つの企業のデータ資産であるCRMにあたると思います。こちらを安全に活用し、かつ高い費用対効果を実現できれば、より一層、マーケティングとITの融合に対する壁が取り除かれ、企業のデータドリブンマーケティングがより一層推進されると考えています。
Criteoに関しては、秀逸なテクノロジーだけではなく、その仕組み自体が業界の流れを変えるほどのインパクトを持ち始めているという点でも注目に値すると思います。