前回は広告アカウントの構造と各ポイントを解説いたしましたので、今回はターゲティング設定にフォーカスします。
Facebookで使用できるターゲット設定は現時点で三種類あり、
1. コアオーディエンス
2. カスタムオーディエンス
3. 類似オーディエンス
に分かれます。
それでは、それぞれの設定を解説していきます。
コアオーディエンス
まず、デモグラフィックやサイコグラフィックで設定したターゲットをコアオーディエンスと呼びます。リーチしたいユーザーをピンポイントに指定して、かつ正確にターゲティングできるのは実名制ならではの強みです。
この特性を活かし、オーディエンスをセグメント化していきましょう。大切なのは絞り込みすぎず、幅をもたせることです。どのセグメントにはどのクリエイティブが効くのかを繰り返しテストしてください。
汎用的なキャンペーン例としては、年齢を10歳程度でセグメントし、男女別の広告セット内に3〜5のクリエイティブを分けた広告を作成する方法です。
この構成でまずは1周間から2週間程度検証期間を設け、セグメント毎あるいはクリエイティブ毎に評価を行いましょう。効果が悪い広告は削除し、効果が良いものに関してはセグメントの細分化やクリエイティブの追加を行ってパフォーマンスの向上を図ります。このPDCAサイクルを高速で回し、段階的にアカウントを最適化させていくことが重要です。
カスタムオーディエンス
自社の顧客データ(メールアドレス、電話番号、FacebookユーザーID、モバイル広告主ID)とFacebookのユーザーデータをマッチングさせ、オーディエンスを作成できるのがカスタムオーディエンスです。
過去に自社サイトで製品を購入したことがあったり、自社のサービスを利用したことがあるFacebookユーザーに広告を配信できますので、コアオーディエンスよりCVRが高くなる傾向があります。出稿の方法に関してはこちらをご参照ください。
上記の方法に加え、Facebookのタグを自社サイトに設置することによって、過去に自社サイトに訪れたことのあるユーザーに広告を表示させる機能が備わっています(ウェブサイトカスタムオーディエンス)。いわゆるリターゲティング広告です。
ウェブカスタムオーディエンスのロジックですが、“Facebookのユーザーデータとウェブページに設置したタグがマッチングした状況に限り、オーディエンスとして追加”されます。タグを設置したはいいものの、なかなかマークが溜まらないというのはよくあるケースです。PCであればFacebookにログインしているブラウザから、モバイル端末であればネイティブアプリ内のリンクからアクセスする状況を作らなければいけません。短期間にオーガニックでマークを溜めることは非常に難しいかと思いますので、ウェブカスタムオーディエンスはあくまでコアオーディエンスのオプションとして考えるのがベターでしょう。
また、リスティング広告のリマーケティング同様、ウェブサイトカスタムオーディエンスで出稿する際は各ページごとにタグを設置し(タグは1種類のみの発行で問題ありません)、離脱したページ別にクリエイティブを作成しましょう。ウェブサイトのトップページだけ見てFacebookに戻ったユーザーと、カートに商品を入れたユーザー、過去に商品を購入したユーザー、それぞれでアプローチの仕方は変わってくるはずです。
なお、カスタムオーディエンスは、広告を表示しないユーザーを指定する用途にも対応できます。既存顧客でなく完全に新規ユーザーからのコンバージョンがほしいケースはこの機能を使って配信しましょう。
類似オーディエンス
この機能は、上記カスタムオーディエンスやFacebookページにいいね!しているユーザー、コンバージョン計測時のコンバージョンピクセルのデータを元に、名前通り類似するオーディエンスを作成する機能です。
例えば、自社のFacebookページにいいね!しているのがファッションに興味がある30代女性が中心であれば、ページのファンに似たユーザーをFacebookが抽出します。コアオーディエンスでデモグラフィックをセグメントするのと違い、Facebook上での行動や普段頻繁に閲覧しているコンテンツ等、登録しているデータ以外も反映されてオーディエンスが作成されますので、元となるデータ量が潤沢な場合は非常に強力なターゲティング機能になります。作成の方法はこちらをご参照ください。
※オーディエンスとして作成できるのは1カ国のみで、複数国のユーザーを同一のオーディエンスに含めることはできませんのでご注意ください。
特に、コンバージョン獲得が目的の広告を出稿している場合、コンバージョンしたユーザーの類似オーディエンスへの配信は、コアオーディエンスと比較してパフォーマンスが良いケースが多く見られます。もちろん、モバイルアプリインストール広告やFacebookページのいいね!を獲得する広告も同様です。
類似オーディエンスに関しては、作成時にボリュームを選択できるようになっています。
また、類似オーディエンスは作成してから完成するまで最長で24時間かかりますので、その点も考慮した上で出稿の準備を整えてください。
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ここまでFacebook広告のターゲット設定を解説して参りましたが、基本的にどの設定を活用してもオーディエンスのボリュームは大→小で配信していくのが効率的です。まずは大きい枠に向けて出稿をスタートし、効果を確認してから次の施策を展開しましょう。また、少なくとも1週間程度は効果測定のため変更を加えないことを推奨します。
最後に、カスタムオーディエンスや類似オーディエンスは非常に強力で精度の高いターゲティング機能ですが、そういった設定のみで出稿すると総コンバージョン数が頭打ちになりがちです。LTV向上のためカスタムオーディエンスを使って再購入を促進するなど、Facebook広告を活用するシーンは様々かと思いますが、収益の最大化が目的のマーケティング施策でFacebook広告を活用する場合は、コアオーディエンスからもコンバージョンを獲得できるようA/Bテストを繰り返し行なっていくのが最善のプランだと考えます。