ビジネスダッシュボード構築支援事例紹介:大和ハウス工業株式会社

収集データ=事実を分析、
その結果に基づき意思決定する
データ経営管理の継続・向上を目指して

アタラの評価ポイント

・脱Excel、データ活用のためのグラフの選定・設定などデータの民主化に向けたストーリー作りで伴走
・結果、1年弱という短期間で全国のエリア経営者に導入を実施、活用開始へ

 

大和ハウス工業株式会社
経営戦略本部 経営企画部 経営支援室 経営支援グループ 上席主任 百武和則様

経営戦略本部 経営企画部 経営支援室 経営分析グループ 主任 田島克彦様

経営戦略本部 グループDX企画部 上席主任 藏前房志様

経営戦略本部 グループDX企画部 主任 川越大樹様

コーポレートサイト:https://www.daiwahouse.co.jp/

 

大和ハウス工業株式会社は、住宅事業をコアに、マンション、商業施設、事業施設、環境エネルギーなど幅広い事業を全国、そして海外にて展開しています。同社ではビジネスの当事者が自律的にデータ活用法を発想し、自ら実践していく「データ活用の民主化」の実現に取り組み、そのデータを活用するためにDomoを導入されました。Domo導入にあたり、アタラではビジネスダッシュボード構築をご支援しました。

本記事では導入経緯や、どのようなデータを可視化されているのか、導入により実感されている効果などを伺いました。

 

個別データ分析からデータ分析結果の共有と高度利活用環境の構築が急務

御社の企業概要のご紹介をお願いいたします。

藏前:大和ハウス工業は1955年「建築の工業化」を理念に創業し、高度経済成長期の住宅の需要増大にスピードで対応すべく、プレハブ住宅メーカーとして成長してまいりました。その後も建設業を軸に事業を多角化しながら業績を拡大し、2024年4月にはグループ企業497社、約71,000人の従業員からなる企業へと成長しました。これからもコア事業のさらなるシェア拡大に加え、事業領域と事業地域の拡大によって、経営ビジョンに掲げる「人が心豊かに生きる社会の実現」を目指しております。

皆さまの自己紹介もお願いいたします。

百武・田島:私たちは経営支援室に所属しております。経営支援室は経営支援グループと経営分析グループに分かれており、経営支援グループがエリア経営者に対して、経営分析グループが経営トップに対して、適切なタイミングで経営判断に資する情報を提供することにより、経営のかじ取りをサポートしております。また、管理会計のデータ取集・分析した結果を事業経営戦略のために共有しています。

エリア経営者とは、どのようなお立場なのでしょうか。

田島:弊社では、全国を11のエリアに編成し、本店・支社を各エリアの統括拠点としております。そのエリア長が、社内では「支社長」と呼んでいるエリア経営者になります。その傘下に、エリアの各事業所を支店として配置する体制とすることで、経営支援とともにガバナンス向上のための管理監督機能を図っています。

ありがとうございます。藏前様、川越様、続いて自己紹介をお願いいたします。

藏前・川越:私たちはグループDX企画部に所属しています。私は、経営戦略、事業戦略を踏まえた事業/組織横断DXのテーマに関するプロジェクトの企画立案、および実行を担当しております。

弊社でIT、DXを担当する部署が大きく三つあり、一つが従来からある情報システム部で、CADや会計システムなどの大規模システムの担当をしています。もう一つが建設現場のDX化を進める建設DX推進部、そして、経営戦略という視点で大和ハウスグループのDX活用を進めるのがグループDX企画部です。

ご依頼いただいた当初、貴社ではどのような課題を抱えていらっしゃったのでしょうか。

藏前:弊社には高度経済成長期の中で生き抜き、大きく成長してきたという自負があります。しかし、データ戦略という点では、経営支援情報として社内外のデータ入手探索と課題の抽出、データから得られる施策の特定、データ加工を行い、その結果を基に資料を作成していました。しかし、どの作業も属人化しており、業務負荷も高まっていました。

その資料作成にも非常に時間がかかっていました。ガバナンスのために、データ抽出を情報システム部に依頼するケースがあり、ダッシュボードを構築するとなると、情報システム部と協議を重ねて作成する時間が必要となります。さらに、現場はITのプロではなく、IT部門では現場のプロではないので、どんなに話し合って作っても想定通りのダッシュボードができあがらないこともありました。その修正も含め、長期間たってやっとできあがっても、世の中のほうが変わってしまっていたり、欲しかったのとは違う情報ができてしまったりという状況でした。

田島:3年ほど前に管理会計の業務に就き、管理会計のExcelで作成された膨大な量の一覧表を読み解くのに苦労しました。エリア別・事業所別・事業別に、利益計画の受注・売上・利益の見通しや、進捗に関する指標、利益に影響する原価率や固定費、そして人員などをまとめた一覧表なのですが、それを一目見て課題を発見するには、その表への慣れだけでなく、経験による察知能力も必要でした。これらの情報を、より多くの人に分かりやすく共有するには、表だけでなくグラフ化するなどして、見せ方を変える方法を取り入れることも必要だと考えていました。

 

経営戦略本部 経営企画部 経営支援室 経営分析グループ  主任 田島 克彦様

 

ヒトがデータの事務的業務から解放され、その先の前向きな改善対応に集中できる環境構築のためにDomoを導入

 解決策としてDomo導入を検討されたのでしょうか。

藏前:そうですね。弊社では、ビジネスの当事者が自律的に「目的を達成するためにデータをどのように活用するかを発想し、自ら実践していく」状態を「データ活用の民主化」と定義しています。その実現のために、第7次IT中期計画では人・仕組み・データそのものを包括的に取り込んだ施策を展開しています。

 

データ活用の民主化とは
大和ハウス工業株式会社「DXアニュアルレポート2023」より
https://www.daiwahouse.co.jp/ir/dxar/2023/back_office/data_utilization/index.html

 

そうした、どの担当者でもデータ活用・実践ができるデータドリブン環境構築のためには、経営支援を行う部門の担当者がエリア経営者とともに「何が高度な経営戦略策定に活用できるか」を、トライアンドエラーを繰り返しながらブラッシュアップしていく必要がありました。そのために探していたのが、簡単に作成・修正ができるBIツールです。Domoシステムはノーコード・ローコードでデータ加工・ダッシュボード作成ができるツールであり、簡単な教育を実施することで、経験がなくても編集者になれることから導入しました。

アタラにはどのような経緯でお問い合わせをくださったのでしょうか。

川越:Domoの導入を検討する際に、導入コンサルを必要としていました。グループ会社である大和物流株式会社においてDomoを経営戦略で導入している実績があり、その導入、活用にあたって、アタラさんならばクイックな実装サポート、伴走型のコンサル支援ができることを知り、依頼させていただきました。企画段階で相談をさせていただいた際、大和物流株式会社の事例を交えながら対応や準備に関するアドバイス、ご支援をいただきました。

ありがとうございます。アタラは課題に対して、どのようなコンサルティングを実施しましたか。

川越:伴走型の支援として、ユーザー部門が自走できるよう、ダッシュボード設計のレクチャーや、効果的なカードの選定・作成のレクチャーをいただきました。

アタラ 村田:Excelで膨大なデータをすでに扱われていたことや、操作面も含め、すでにデータリテラシーをお持ちだったこともあり、慣れたExcelからDomo利用へ切り替えを促進するためのストーリー作りやグラフの選定、コミュニケーションツールとしてDomoを使っていくためのお手伝いをさせていただきました。

藏前:初期の頃はITと現場、アタラさんと弊社とのすり合わせを丁寧に行ったこともあり時間がかかりましたが、ある程度進んだところからはスムーズに進行し、他社様から「そんな短期間でそこまでDomoで作りこんでいるのか!」と驚かれました。

Domoを導入して、どのような活用をされていますか。

百武:まずは全国のエリア経営者に導入を進めました。現在、展開しているダッシュボードの一つが「攻めと守りのバランス経営評価シート」を高度化した「経営支援ダッシュボード」です。

このダッシュボードは「攻め(売上・利益などの財務数値)」の情報と「守り(健全経営の指標などの非財務情報)」の情報に、マーケットの情報を加えたものです。社内外の情報を整理してひとまとめにしたことで、複数の情報を掛け合わせた経営判断の材料として提供しています。

導入したエリア経営者の皆さまからは、Domo導入についてどのような反応がありましたか。

百武:経営数値と健全度経営の両面に応える実態把握と分析が必要とされる中、本取り組みは有益である、という感想をもらいました。こうした活用を進めるために、パソコンだけではなく移動中などにタブレットでも利用できるように改修したのも、大きかったように思います。

また、エリア経営に役立てるため、固定費・マーケット情報・健全度評価などの詳細情報も提供してほしい、タイムリーな現場改善に活用できるよう、リアルタイム性を向上させてほしい、といった声もありました。こうした新たな要望が来るところに、データドリブン経営が浸透し始めたという実感があります。

データを活用することへの意識が明らかに高まってきているのですね。アタラは導入に対して伴走型のコンサルティングを提供させていただきましたが、その効果はどうだったでしょうか。

川越:伴走型で早期にDomo利用の習熟度を上げることができ、開始から1年で全国エリア経営者への展開がスタートできました。

中でも、作り手側のスタッフが目的とするカードを作成するためのレクチャー会を何度も開催していただいたことが、よかったと感じています。

ありがとうございます。

 

現在はデータの民主化の土台ができた状態。さらなる活用を目指す

では、差し支えのない範囲で今後の展望をお聞かせいただけますか。

田島:まずはエリア経営者へのリリースでしたが、配下の事業所経営者・経理責任者まで展開し、経営判断と現場のコミュニケーションツールとしての活用を目指しています。

また、他部署のデータ分析とも協業し、同じデータで部署に適した確度で可視化された情報を活用することで、作成手間を削減し、データ活用の拡張を実現したいと考えています。

藏前:「データの民主化」の土台の一部ができた状況で、データ活用としてDomoによるデータ分析の高度化の推進を始めることができました。住宅のように、土台の上に建物が建ち、インフラがつながり、家具が入って、引っ越しをして、生活が始まって、初めて家に住み生活をしているという実感が生まれます。この住んでいるという状態までもっていくことがデータドリブンな環境になるということだと考えていますので、さらなる活用を進めていきたいと思っています。

経営戦略本部 グループDX企画部 上席主任 藏前 房志様

経営戦略本部 グループDX企画部 上席主任 藏前 房志様

 

最後に、今後アタラに期待することをお聞かせください。

藏前:大和ハウスグループは建設業を主体とした複合事業を扱っています。当グループ経営に対して、未来経営ができるダッシュボードのコンサルティングや、建設業が直面している2024年問題(2024年4月より建設業でも時間外労働時間の上限規制が適用になることにまつわる問題のこと)の解決の一助となるETLによるデータ加工のシステム化の支援による効率化提案を期待します。

 

※本記事の内容は公開日時点、所属等はダッシュボード作成時点のものです。

 

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アタラ合同会社 村田直哉
同事例を担当するコンサルタント
村田直哉
コンサルタント
リクルートに新卒入社し、営業職、事業統括職、DX推進担当職を経験。ミッションの異なるさまざまなポジションを経験する中で「データを仲立ちに横断組織をディレクションする」ことに興味を持つ。一方で、DX推進がうまくいかない企業の事例を見聞きする中で、コンサルタントとしてそうした負の解消をしたいと感じるようになり、2021年にアタラに入社。 データドリブンな企業風土づくりを実現するべく、BI導入支援のみに留まらないさまざまな課題解決のできるディレクターを目指している。Domo認定ビジネス・テクニカルコンサルタント。

 


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