広告運用トレーニング事例紹介: 株式会社朝日広告社
自動最適化が進む時代の、「これからの広告運用者の価値」を考えるためのトレーニング
アタラの評価ポイント
※このインタビューは2020年4月に公開されました。
株式会社朝日広告社
デジタルメディアセンター プログラマティック部 部長 仲野秀悟様
コーポレートサイト
https://www.asakonet.co.jp/
創業96年という長い歴史を持つ総合広告会社である株式会社朝日広告社。デジタル広告分野の強化や若手メンバーの教育を見据え、アタラの広告運用トレーニングメニューをご導入いただきました。本記事では、プログラマティック部 部長の仲野様に、ご導入の経緯から、受講者の実際の声までを伺いました。
■運用型広告の知識で100点を取るのではなく、100点の成果を出すための考え方を知る
―まずは、貴社の事業内容について教えて下さい。
仲野:当社は、2024年に創業100周年を迎える総合広告会社です。社名ゆえに新聞広告の会社と思われがちなのですが、デジタル領域は黎明期の1996年から取り組み始め力を入れています。最近ではデジタルを軸としたマーケティング戦略やキャンペーンのプロデュース、環境構築などメディア以外の分野のご相談も多数いただいておりご支援させていただいています。
私はその中でも、デジタルメディアのプランニングと施策実行を担うデジタルメディアセンター プログラマティック部に所属しています。
―アタラの「広告運用トレーニングメニュー」は、何がきっかけでお知りになられたのでしょうか。
仲野:アタラさんとのご縁は10年以上前にさかのぼります。当時、マスとデジタルを統合分析するためのアトリビューションダッシュボードを一緒に開発させていただきました。それ以降もアタラさんから学ばせていただく事は多く「広告運用トレーニングメニュー」もまずはご相談させていただいたといった経緯があります。
―今回、アタラのトレーニングメニューをご依頼いただいた経緯を教えて下さい。
仲野:2020年3月に電通が「2019年 日本の広告費」を発表しましたが、それによるとネット広告費が初めて2兆円を超え、テレビ広告費を上回りました。つまり、今や各デジタルプランナーが当たり前のように運用型広告について知っている必要があるため、当社も運用型広告のトレーニングや研修には注力していますし、各メンバーとも一定のレベルには達していると思っています。
しかし、テストで100点を取ることができても、実際の運用やプランニングで100点の成果が出せるかというとそうではないと思います。実現場で100点の成果を出すためには、長年の経験やカンが必要です。
とはいえ経験を積むには時間がかかるため、メンバーに若い層も増える中どうすれば良いか悩んでいた際に、アタラさんのオウンドメディア『Unyoo.jp』で清水さんが連載されている「プラットフォームの思想を知れば、これからの広告運用が見える」という記事を読み、ピンときました。
■プラットフォームの思想を知ることで、機械学習任せではなく自ら考えられる人材を育成する
―Unyoo.jpの清水の記事から、経験不足を補うためのトレーニングの着想を得られたということでしょうか。
仲野:はい。現在プラットフォーム側も進化が著しく、機械学習による自動化が進んできています。私は10年以上運用型広告の現場にいるため、昔の細かい手運用があって現在の自動化の流れがあると理解できていますが、新しく広告運用の現場に来たメンバーにとっては自動化された環境が当たり前です。すると「こういう場合はこう」「この場合はこの機能を使う」といった具合に、思考がパターン化されて自ら原因を追求しなくなりがちだと思います。
プラットフォーム側にもそれぞれに開発背景があり、どんなことを大事にして設計されているのかを知ることで、どのように機械学習が最適化されるのかが理解できますし、それが分かればおのずと自分で考える力もつくはずです。その思考にたどり着くには本来長年の経験が必要ですが、すでに熟知されている方の話を聞けば、自身の考えの方向や向かっていく先が見えてくると思い、今回「プラットフォームの思想」をテーマにしたトレーニングをお願いしました。
■座学+グループワークで「これからの広告運用」の視点を養う
―確かに、各プラットフォームの機能アップデートも激しいため、現場のメンバーは機能を使いこなすことにフォーカスしてしまいがちだと思います。思想を知ることで、近視眼的になりがちな視野を広げるトレーニングを今回実施させていただきました。トレーニングの形式はどのような形だったのでしょうか。
仲野: まず前編では座学でプラットフォームの背景や、それを踏まえてどう向き合うかを講義していただきました。後編では前編の内容をもとにグループで出された課題について考えるというグループワーク形式で進めていただきました。
―グループワークの課題はどのようなものだったのでしょうか。
仲野:運用改善というよりはもう少しマーケティング視点で、業種を設定してペルソナから設計するというものでした。設計したペルソナ像が、企業に対して何を思っているのか、企業はどんなサービスを提供できるのかを分解していき、そこからクリエイティブやキーワードを導き出していきました。機械学習ではなく人間が担う部分とは何かに気づかせてもらえるようなワークショップでした。
普段は部署の中で、縦軸でチームになって動くことはそこまで多くなく、横軸で営業・マーケ・クリエイティブ・デジタルプランナー・メディアプランナーといったチームでプロジェクトを進めています。今回のようにデジタルプランナーだけのチームになることはあまりないため、個々人の考え方やレベル感を知る意味でもグループワーク形式は非常に良かったです。また、各グループの発表後に「私ならばこう考える」という清水さんの考え方の見本も示していただけたので、経験の浅いメンバーも考え方のコツを掴めたのではないかと思います。
―グループワークは、普段の業務ではチームにならない方の考え方を知る良い機会になったのではないかと思います。今回のワークテーマであるペルソナ設計は普段の業務でも行っていらっしゃるのでしょうか。
仲野:普段の業務においては、我々というよりはマーケティングやストラテジックプランナーがペルソナやコミュニケーション設計を行い、我々がそれをもとにデジタル施策を実行に落とし込み回しています。 ただ、回すことだけが自分の仕事だと考えると数字に対する努力に終始してしまうので、ペルソナも含め、全員でクライアントビジネスについて意識する必要があるというのは、今回のトレーニングで非常に学びだったと思います。
―受講者の皆さんの反響はいかがでしたか。
仲野:トレーニング後にアタラさんにアンケートをとっていただいたのですが、機械学習による自動最適化が進む中で、自分たちは何を価値にしていくかという部分は、皆考えるようになりましたね。プラットフォームの特性を最大限に活かしつつ、自分たちがさらにそれを良くするためにクリエイティブや戦略、アイディアを考える時間が、運用型広告を扱う側にも重要で、それが今後の価値になっていくということに気づけたという意見が若手からも挙がっていました。そこに気づくには時間をかけて経験を積む必要があると思うのですが、今回のトレーニングを通して最短距離でステップアップできたと思います。
―ポジティブなお声をいただけて、非常に嬉しいです。今後、アタラに期待されることはありますか。
仲野:今回はGoogle広告を軸に実施いただいたのですが、別のプラットフォームとの思想の違いについても講義していただきたいですね。そういう意見は受講者からも多く挙がっています。また、今回はベースの考え方をレクチャーしていただくために前半を座学の時間に費やしましたが、今後は実践形式の比重を重くしたトレーニングなどもお願いできるとより多くの学びが得られるのかなと考えています。
―今回のように受講者全員で参加いただくセミナー形式のほかに、アタラでは個別でのトレーニングメニューもあります。ぜひまた、アタラのトレーニングメニューをご活用ください。
同事例を担当するコンサルタント
特に運用型広告×コーチングを絡めた「人」に寄り添ったコンサルティングを心がけており、伴走型インハウス・広告運用トレーニング・アトリビューション分析を得意としている。
書籍「運用型広告 プロの思考回路」、「海外カンファレンスの歩き方」 MarkeZineでの執筆など多数。
・アドテック九州登壇
・コーチング塾Integrity 卒業