NPO法人 こだまの集いに対する運用型広告最適化を中心としたCSR事例をご紹介します。

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ダブルケアに悩む人と、
行政・相談機関との橋渡しとなる存在へ

NPO法人 こだまの集い
代表理事 室津 瞳 様

ウェブサイト:NPO法人 こだまの集い

「ダブルケア」とは、育児と介護が重なった状態のことを指し、日本においてダブルケアに直面する人は、働きざかりの世代である平均39.6歳であるというのが現状です。

代表理事を務める室津さんも2017年に両親と2人の子ども、同時に4人をケアする立場を経験し、そうした状態で自身の望む形で就労することが、いかにハードルが高いかという実情を知ったといいます。NPO法人こだまの集い(以下、こだまの集い)は、現役世代がダブルケアと仕事を両立できるようにとの願いを込めて、ダブルケア当事者と行政や支援機関との橋渡しとなるべく2018年に立ち上げられました。

アタラは「ダブルケア」というワードの認知拡大や、こだまの集いの活動内容の普及を目的に、Google Ad Grantsを活用した運用型広告最適化をご支援しました。本記事では、アタラマーケティングチームが代表理事の室津さんにお話を伺いました。


子育てと介護が重なったとき、働き方を変えざるを得ない現状

―室津さんご自身と、こだまの集いについて教えてください。

室津:こだまの集いの代表理事を務める室津と申します。こだまの集いは「子育て×介護×仕事」の両立を目指し、多世代が活躍できる仕組みをつくるNPO法人です。

―なぜ、「ダブルケア」を主軸としたNPO法人を立ち上げようと思われたのですか。

私自身はもともと10年ほど介護職に就いていましたが、29歳のときに看護学校に入り直して、看護師として都内の病院に5年間勤務、そこからより地域に密着した医療現場へと職場を変えて働いていました。

ダブルケアについて考えるきっかけになったのは、2017年ころに父が末期がんであると分かったことです。当時、3歳の子どもと、第二子がお腹にいる状態で、フルタイムで看護師の仕事をしていました。

父は、がんが発覚した後、一定期間は小康状態だったのですが、父の介護をしていた母にもがんが見つかり、緊急手術が必要になりました。そこで、母に代わって私がメインで父のサポートをすることに。子育てをしながらフルタイムで働くだけでもハードルが高いのですが、さらに妊娠、介護が重なり、自分のタスクが膨大になりました。当時の私は「どうしたら仕事を続けられるのか」という情報を探していたのですが、明確な答えを得ることはできませんでした。

また、そのころ介護人材向けのスクールにも通っていたのですが、ちょうど卒業論文を書くにあたりいろいろなことを調べるうちに、ダブルケアという概念を知りました。詳しく調べたところ、子育て世代の36.61%に介護が重なるという現状が分かり、ダブルケアは意外とマイノリティな話ではないと感じました。

NPO法人 こだまの集い ダブルケア

―仕事に対して一番脂の乗っている働き盛りの世代が、ダブルケアに直面することで働き方を制限せざるを得なくなる、ということですね。

室津:はい。現状、介護を理由に離職されている方は年間約10万人いらっしゃいます。今ですらこの状況なので、高齢化が進んだ我々の子ども世代が大人になったころには、ダブルケアの人口はさらに増えるでしょう。今のうちから現役世代が仕事を継続するための仕組みを構築するにはまず、当事者の声を行政や介護・保育の支援者に届けるようなサービスを作る必要があると思ったのです。そこで、2018年にこだまの集いを設立しました。



当事者の声を行政や介護・保育の現場に届ける橋渡し

―ご自身の経験がきっかけで設立されたこだまの集いですが、現在はどのような活動をされているのでしょうか。

室津:一つ目が武蔵野大学の渡邉浩文教授と連携したダブルケア研究です。ダブルケアの実態はまだ明らかになっていませんが、国も自治体も今まさに動き出そうとしています。現在は当事者にヒアリングをして、皆さんが望む具体的な支援策を明らかにする共同研究を行っています。

私たちの団体は保育や介護、医療の専門職メンバーで構成されているという特徴があるため、当事者の言葉を専門的な言語に翻訳し、具体的な支援へとつなげる研究です。

二つ目は啓発事業です。一般向けのセミナーを実施し、ダブルケアにまつわる情報を発信しています。子育て世代は、正直なところ介護はまだ先のことだと思っていますし、人情としてあまり考えたくないと思いがちです。ただそうも言っていられない現状において、大変だというイメージを払拭するべく、遊びの要素を交えたワークショップを開催しています。

NPO法人 こだまの集い ダブルケアワークショップ

オンラインワークショップの様子



Google Ad Grantsを使って、助けを必要とするより多くの人にリーチを広げたい

―アタラでは、CSRの一環として、Google Ad Grantsを活用した運用型広告の最適化をご支援しましたが、そもそも広告を出してみようと思われたきっかけは何だったのでしょうか。

室津:私は今まで医療と介護を専門分野としてきたので当然ダブルケアについても知っていたのですが、法人化して事業を進めていく上で、もっと多くの人にダブルケアという概念や情報を知ってもらう必要があると思うようになりました。ダブルケアに悩んでいる方に「こういう支援をしている団体があるよ」と知ってもらわなければ、手を差し伸べられないのです。

そんな折に、アタラのCEOである杉原さんがアドバイザーを務めるコワーキングスペースfactoriaにおいて、杉原さんにご相談する機会があり、Google Ad Grants(Googleの非営利団体向け広告プログラム)の活用方法や、実際にアカウントを構築して運用するためのノウハウを教えていただくべく、コンサルタントの高瀬さんをご紹介いただきました。

―Google Ad Grantsは、どのように活用されたのでしょうか。

室津:Google Ad Grantsを運用する背景には、もちろん広告経由での流入を増やして当団体や「ダブルケア」というキーワードの認知を広げ、メッセージを発信する目的がありました。ただ他にも、どのようなキーワードで当団体ウェブサイトにユーザーが流入する傾向があるのかをつかんで分析し、より多くの方にリーチするためのSEOやウェブサイトのUI改善を実施する目的もありました。

高瀬さんには目的を伝え、それを実現するためのアカウント構築や管理画面の見方、運用調整の方法やアドバイスをいただく形でご支援いただきました。

―実際に運用してみて、分かったことはありますか。

室津:まず、触ったこともなかったGoogle Ad Grantsの仕組みや、どのように運用すればよいのかが理解できたということが大きな成果です。我々を含む多くの非営利団体は、活動分野に対する専門的な知識は豊富に持ち合わせているものの、それをどう広く発信していくかという部分においてはプロではありません。

現在、ダブルケア支援を行う団体は全国に約15団体しかありませんが、他の団体にも今回教えていただいたことのエッセンスを共有し、業界全体で認知の底上げを行っていきたいと考えています。

また、流入するキーワードの傾向を見ていると、当団体のウェブサイト上の表現が社会のニーズと少しずれているということが分かりました。例えば、子育てや介護については詳しく触れているものの、仕事に関するメッセージ性が薄いなど。現在はその分析内容を基に都度ウェブサイトを改修しています。

―ダブルケアという、今後誰もが直面しうる課題の解決を支援されている貴団体をご支援できたことを、アタラとしても嬉しく思います。

室津:アタラさんに教えていただいたことを活用、他団体にも横展開して、助けを求めている人が必要な相談機関につながれるように今後もリーチを広げていければと考えています。

ダブルケア支援の制度は現状まだ整備されていない部分が多いのですが、現役世代が活躍するために今後も有益な情報を届けられる団体であり続けたいと思います。



サポート内容

Google Ad Grants(Googleの非営利団体向け広告プログラム)

NPO法人 こだまの集い 代表理事 室津 瞳 様 アタラ合同会社 高瀬優

 

アタラ合同会社 高瀬優
同事例を担当するコンサルタント
高瀬優
マネージャー/コンサルタント
国際基督教大学(ICU)を卒業後、総合電機メーカーで自社製品の法人営業ならびに販売推進業務に従事。その後、自身がリーダー、マネジメント、ならびにドラマーを務める音楽バンド活動に専念し、CDの全国流通や全国ツアー等積極的に活動を行う。アタラに参画後は、BtoB、BtoC問わず、国内はもちろんグローバルに事業を展開する広告主の運用型広告全般のコンサルティング・オペレーションを手掛ける。また、定期的に海外カンファレンスへ参加し、業界動向に関する記事執筆やイベント登壇をしている。MarkeZine Day 2018 Spring 登壇 電子書籍『海外カンファレンスの歩き方』著者

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