運用型広告最適化 事例紹介: 株式会社Gengo
自信を持って前に進めている
※この記事は2018年2月に公開されました。
株式会社Gengo
代表取締役 マシュー 今井 ロメイン様
グローバルマーケティング部長 上田 紀子様
オンライン翻訳サービスをグローバルに展開するGengoは、2016年からアタラの運用型広告コンサルティングを導入しています。同社の代表取締役マシュー様とグローバルマーケティング部長の上田様にアタラの高瀬がお話を伺いました。
■Gengoの事業について
高瀬:まずは御社の事業内容とお二人の自己紹介をお願いします。
マシュー:代表取締役のマシューです。私はアメリカの大学でコンピューターサイエンスと音楽の理論を専攻しており、その繋がりでソニー株式会社(以下ソニー)に入社しました。ご存知の通りソニーは音楽系の技術も扱っている会社で、私はそこでオーディオ系の研究開発に携わっていました。4年間の在籍期間のうち4年目の終盤頃から翻訳の仕事が多くなり、「開発者として雇われたのに、なぜこんなにも翻訳の仕事が多いのだろう?」と疑問に思った事がありました。
同時期に世間ではウェブ2.0が話題になっており、私もウェブを使って何か面白い事をやりたいと考えていました。様々なアイデアを模索する中でソニー時代に依頼された翻訳の仕事を思い出し、ウェブを使って翻訳や言語の壁を取り払うことができるのではないかと思いました。例えばカードソースのようなモデルで翻訳の問題を潰していくサービスを作ってみたいという想いが、現在の株式会社Gengo(以下Gengo)の事業内容を着想したきっかけです。
高瀬:現在、ビジネスシーンの中でも様々な分野に翻訳サービスを提供なさっていますね。
マシュー:立ち上げ当初、ファウンダーメンバーに翻訳のバックグラウンドを持つ者がおらず、実は翻訳業界の事について誰も詳しく知りませんでした。ですから、ビジネスに特化する形ではなく単に翻訳のプラットフォームとして宣伝していたのですが、お客様の要望を聞いていくうちに、明らかに2つのニーズがある事が分かってきました。1つは、専門用語を理解できる翻訳者を探しているという事。例えば医療系の文章や特許などです。
もう一方が、例えばメール文章や商品説明、ブログポストなどのほぼ一般用語しか出てこず、かつビジネスシーンで使える文章の翻訳ニーズです。我々のプラットフォームに集まった翻訳者が得意とするのは一般用語が出てくる文章の方なので、まずはトラベル系やEコマース、カジュアルメディア等のコンテンツの翻訳にフォーカスしました。現在は、徐々に専門用語系の翻訳にも対応できるようになってきています。
高瀬:もともとは開かれたプラットフォームとして始まり、ニーズをくみ取る中で徐々にそれぞれの分野にフォーカスしていかれたのですね。上田さんの自己紹介もお願いします。
上田:Gengoのマーケティング全般を担当する上田です。弊社は現在日本とマニラにオフィスがあり、ヨーロッパ、アメリカにいるスタッフはリモートで働いています。私も普段はサンフランシスコに在住しています。2017年4月にGengoに入社するまではサンフランシスコにある現地のスタートアップでSaaSモデルの会社に所属しており、そこでもマーケティングを担当していました。
■アタラの印象
高瀬:2016年11月よりアタラに運用型広告の運用を任せていただいていますが、我々を選んでいただいた理由をお聞かせください。
マシュー:2016年当時、上田の前任者がデジタルマーケティングを担当しており、彼の紹介でアタラさんを知りました。SEM ・SEOを多言語で運用できる企業を探していたので、英語でのやりとりが可能だとお聞きして、お願いする事になりました。
高瀬:私はもともと英語には抵抗がないのですが、クライアントとしては初めての英語案件でしたので、半ばドキドキしながらやらせていただいた事を覚えています。今もコミュニケーションの基本的な部分は全て英語でやりとりさせていただき、非常に多くの事を学ばせていただいています。
マシュー:私の母国語が英語なので、英語でやりとりできたのは非常に助かりました。
高瀬:実際にアタラに広告運用をお任せいただいていますが、現在どういった印象をお持ちでしょうか?
上田:基本的には非常にタイムリーに対応していただいているという印象です。業務内容的に時差によるタイムラグがあるのですが、すぐに対応していただきたい案件も多々あるので、我々にとっては「迅速な対応」がベンダーさんを選ぶ一番重要なポイントです。アタラさんの場合はいつも素早く的確に対応していただけていると感じています。
高瀬:時差の部分は我々としても特に気を付けている所です。朝起きてメールチェックをすると日本時間の昨夜に喫緊の対応案件が入っているという事もあるので、朝一でのチェックは欠かさないようにしています。一方で、ミーティングに関しては隔週でビデオ会議を行い、資料についてもGoogle ドキュメントで共有できているので、非常に効率的に行えているかと思います。
上田:以前は私もアクイジションだけにフォーカスしていたので様々なトレンドを追えていたのですが、最近は追えていない部分もあるので、トレンドを的確に教えていただけるのも非常に助かっています。
高瀬:各プラットフォームの機能アップデートは頻繁に行われるので、なかなか広告主様のマーケティング担当者の方が全てをキャッチアップするのは難しいかと思います。ですので、そういった部分でも価値を提供できるのは私としても非常に嬉しいです。
■施策内容について
高瀬:Google アナリティクス上で売上もトラッキングしていますが、アタラが運用を担当する以前と比較すると売上や新規アカウント数が増えてきたように見受けられます。
上田:はい。随分効率良く回せるようになってきたと思いますが、まだまだ改善の余地がたくさんあるので、これから頑張っていく必要がありますね。全体で見ると良い方向に向かっていると思います。
高瀬:ありがとうございます。広告経由でアカウント登録したユーザーの売上をトラッキングされたいとご要望いただき、Googleアナリティクスのカスタムディメンションでの設定方法をお伝えしたこともありましたね。実際にトラッキングできるようになった際、マシューさんが「Great!」と言ってくださったのが非常に印象的でした。
マシュー:予算や技術のUIフロー、広告のコンバージョン率など、ウェブサービスの成長に関わる事象はたくさんあるので一つだけ良くなればいいというわけではありませんが、マクロレベルで見た際に、最終的に良い結果にはなっていると思います。季節変動や開発側のUI変更の影響で数字の上下はありますが、SEM方面についてはアタラさんと一緒に進めている現状で全く問題なく、自信をもって前に進めていると思います。
高瀬:最近御社では広告の配信地域を拡大されており、現在は東南アジア、アフリカ、南米にも配信を拡大しています。このようにグローバルに事業展開されているお客様は少ないので、我々としてもこれまで配信した事のない地域に広告を配信し、数字を見て、日々学びや刺激をいただいています。引き続き、新しい地域を開拓される予定なのでしょうか?
上田:そうですね。現在テスト的に様々な地域に配信して、どの地域が効率的なのかを見極めている段階です。全ての地域で今後も継続配信するかは今の所わかりませんが、基本的にはヨーロッパ、アメリカ、日本を中心としたアジアが軸となるので、その中でどうアロケーションしていくかが今後の課題です。
高瀬:アカウント登録は獲得できても翻訳の注文に繋がらないケースもあるので、当社としてもそこを見極めながらアロケーションして運用していきたいなと思っています。
上田:言語のペアも現在急激な勢いで増やしている所です。公式サイトのローカライゼーションについても現在は5ヶ国語ですが、今後8ヶ国語に増やし、その後基本的には30ヶ国語程度、主なページをローカライズしていく方向で進めています。ですので、辺鄙な地域でもランディングページとして使えるようになっていくと思います。
高瀬:広告としても誘導する先が増えればできる施策の幅が広がるので、非常に楽しみですね。
■事業展望とアタラへの期待
高瀬:今後の事業展望について伺いたいのですが、一番新しいサービスとしてトランスクリプション(音声の書き起こし)サービスをローンチされましたね。
マシュー:昨年のテーマの一つとして、翻訳のビジネスをよりヘルシーに回せるような形を作るという目標がありました。また、会社全体をどのようにして成長させるかを模索する中で、話題に上ったのがAIやマシンラーニングの技術でした。AIと言ってもテクノロジーとしてオープンソースのツールがたくさんある中で、我々はどのようにして付加価値を付けるのか。それを考えた際に、AIはトレーニングデータがとても重要であり、トレーニングデータは人力で作るものだという点に着目しました。結果的に、翻訳に特化したプラットフォームから、AIのトレーニングデータも提供できるようなビジネスへと成長させるというのが、昨年のもう一つのテーマとなりました。
そして2018年のテーマは、昨年から始めた取り組みの精度をより高めることです。例えば、音声をテキスト化する技術を扱う企業からの依頼で、自動的に作られた会話音声をネイティブの翻訳者が聴いて、きちんと理解できるかどうかの〇×テストを実施しました。その結果データをお客様に返し、自動的にテキストからスピーチを作るエンジンをより良くするお手伝いをしました。つまり、AIのエンジン精度を向上させるために必要な、人力のインプット部分をもっと弊社がサポートしていきたいのです。
高瀬:プルーフリーティングもスタートされましたよね。
マシュー:機械翻訳の精度が飛躍的に向上しているので、機械翻訳のアウトプットも人力で翻訳した文章も、どちらも添削していきます。
高瀬:プルーフリーディングは個人的にとても面白いと感じていて、結果的に翻訳サービスを利用するフックになるのではないかと思います。機械翻訳を利用した場合でも、ビジネスで使うとなるとその精度に不安な部分が残る。そうした際にプルーフリーディングにかけることで利用者の方に安心感を与えられますし、欠けていた部分を補う事もできます。今後、アタラに期待する事はありますか?
上田:地域を拡大してさらに絞り込んでいく場合において、スピード感が一番のキーポイントになると思います。時差はありますが、引き続き迅速に対応していただけると非常に助かります。またアクイジションを今後どんどん広げていきたいので、ひとつのチャネルをオプティマイズしつつ様々なチャネルを試していきたいと思っています。
マシュー:クライアントプラットフォームのビジネスは基本的にまったく新しいビジネスを立ち上げるイメージなので、当然キャンペーンも全てこれまでとはまったく別キャンペーンで売っていく事になります。その中でどういった新しいキーワード、新しいターゲティングで絞っていくのか、またどのようにコミュニケーションしていくのかを決める必要があります。
高瀬:翻訳という軸だけではキーワードを拡げにくい部分もありましたが、トランスクリプションなどの新しいビジネスであればキーワードを発掘する余地は十分にあると思います。
マシュー:昨年、あるお客様が作った広告をターゲットの国の言葉に翻訳した後で、我々に評価してほしいという依頼がありました。直訳すれば意味は通るが、ターゲットの国ではあまり使わない表現などのチェックですね。このように、弊社プラットフォームの様々な使い方を提案していければと考えています。
高瀬:弊社としても引き続き広告運用の部分で新しい施策をご提案できればと思います。本日はどうもありがとうございました!※本記事の内容、所属等は公開日時点のものです。